2014.06.30

【毒舌パドック裏話】
オーストリアGP編(1):『お前が作れば彼らはやって来る』


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■『お前が作れば彼らはやって来る』
 ディートリッヒ・マテシッツさんよ、まあそうガッカリしないで、ちっとは元気出しなよ。だって、こないだのオーストリアGPは、F1史に残るくらいの素晴らしい大会になったじゃないか。《フィールド・オブ・ドリームズ》という映画で、ケビン・コスナー演じる主人公は、「お前が作れば彼らはやって来る」という“天の声”を聞いた。

 まさにあれと同じことを、あんたはやり遂げたんだ。見事にサーキットを作り上げ、その結果週末には9万人を超える観客が集まった。オークションを初めとする魅力的な企画が満載、景色もいいしアトラクションも盛りだくさんで、訪れる人を決して飽きさせることがない、飛び切り素敵なレースウィークエンドを演出してくれた。

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 バーレーンや中国など立派な施設が売り物のGPは多々あるが、新規に加わったそういうサーキットはどこも同じで個性というものが感じられない。

 その点あんたが作り上げたレッドブル・リンクには、60年代、70年代のトラックが持っていた“心”が感じられる。よくぞやってくださった、この場を借りて一言お礼を述べておこう。

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■苦虫オヤジたちが会心の笑顔
 古き佳き時代を演出するという意味で、ニキ・ラウダ、ヘルムート・マルコなどの古参兵にF1カーをドライブさせたアイデアがまた良かった。もっとも、この企画に一番喜んでいたのは当人達だったかもしれない。
 メルセデスが勝っても、少しも嬉しそうではなかったラウダ。マルコだって、レッドブルが勝ちまくっていた頃に喜色を表に出したことがあったかどうか。
 ニキとヘルムートの笑顔をTV画面とかで見たという人がいったい何人いるだろう、たぶん一人もいないはずだ。
 そんな彼らが、F1マシンから降りたあとで見せた会心の笑顔。あの子供のような天真爛漫な表情を見れば、二人につきまとう“苦虫オヤジ”のイメージも多少は変わるはずだ。

 ゲルハルト・ベルガーをデモランのゲストに加えたのは、苦虫系のダークな雰囲気を緩和する狙いもあったのだろうか。スキーで上腕を骨折、その影響で片手での運転となったが、天性の明るさがもたらす人気は相変わらずだ。
 そこでふと思ったのは、ゲルハルトが片腕だとして、ニキは片方の耳がないこと。でもって、ヘルムートは知る人ぞ知る隻眼だから、これって“片っぽ繋がり”だったのだろうか…?

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