2024.04.18

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:フリー走行での苦戦を素直に認める「セットアップで自分の考えを押し通したけど……」


(c)XPB Images
 F1第4戦日本GPで勝利し再び力を示したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。しかし、プラクティスの段階ではセットアップに苦戦していたという。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがフェルスタッペンのレース週末を語る。
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 鈴鹿を訪れた日本のファンは、強烈な既視感を覚えたに違いない。2022年、2023年と同様に、ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペンが日本GPを制したからだ。

 オーストラリアではブレーキのトラブルに見舞われ、連勝記録を断ち切られたマックスとレッドブル・レーシングは、鈴鹿で「通常業務」を再開した。バーレーン、サウジアラビアに続いて3度目のワンツーフィニッシュを飾ったのである。だが、通算57勝目をあげたフェルスタッペンにとって、今回は少しばかり勝手が違ったようだ。

 マックスは言う。「鈴鹿へ来てから、プラクティスではいまひとつクルマに満足できなくて、予選の前にセットアップに手を加えた。あくまで照準はレースに合わせながら、予選でもうちょっといい感じになるのを期待してのことだった」

「だから最初の2〜3周は、プラクティスの時とは違うバランスに慣れる必要があった。でも、それからクルマはどんどん良くなっていって、最終的にはレースを思うがままにエンジョイできたんだ。僕らにとっては最高の結果だった」

 彼としては、これでひと安心というところだろうか。「安心とは言えないね。メルボルンでの出来事は、ちょっとした不運なトラブルだった。そして、基本的に一点モノのレースカーでは、ああいったことがいつ起きても不思議ではない。いつでも万事順調なのが当たり前と思ってはいけないんだ。とはいえ、このクルマに鈴鹿で勝てる力があることは分かっていたし、こうしてそれを実証できた」
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 フェルスタッペンは、プラクティスで苦戦した責任が自分にあることを率直に認めている。「セットアップに関して、あることを試したんだ。レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーズは疑問を感じて、『本当にやるべきだと思う?』と言っていたんだけど、僕は自分の考えを押し通した。そして、結果としては僕が間違っていた。でも、彼は『だから言っただろう』みたいなことは一切口にせず、僕の間違いを責めたりしなかった。お互いのことを十分に理解しあっているから、そんなことを言いあうまでもないんだ」

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーで、フェルスタッペンの後ろ盾でもあるヘルムート・マルコは、日本GPでのセットアップについて内情を明かしてくれた。「鈴鹿にアップグレードを持ち込んだが、金曜午後のプラクティスセッションで雨が降り、新しいパーツに関する作業の時間が足りなかった。クルマ、路面、気温のバランスはとてもデリケートなもので、今回は気温や路面状態の変化が大きかったこともあって、方向性を見失いやすい状況だった」

「予選に向けて、ウイングのセッティングを変えることで対処したのだが、その変更は実際には少々やりすぎだった。そこを修正することで、最終的には再び最強のクルマに仕上った」

 マックスはすっかり満たされた気分で、日本を離れることができた。「メルボルンでのこともあって、まずはここでしっかり勝ちたかった。それに鈴鹿で最高の成績をあげて、パートナーであるホンダへの感謝を示すことが、僕にとっては重要だった。ポールポジション、ワンツーフィニッシュ、レースでの最速ラップという結果は、その意味でも文句なしだったと思う」

 チームボスであるクリスチャン・ホーナーのスキャンダルの余波もあり、フェルスタッペンが移籍を望む可能性も取り沙汰されているが、マルコはまったく心配していないという。「マックスは生粋のレーサーであり、そういうドライバーはいつでも最速のクルマを求める。そして、現状で最速のクルマを作っているのはレッドブル・レーシングだ」

(c)XPB Images

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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