2024.04.03

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:リタイア後も冷静さは失わず「重要なのは同じことが起きないように対策をすること」


(c)XPB Images
 F1第3戦オーストラリアGPでリタイアを喫しついに連勝がストップしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。フェラーリも競争力を示してきており、日本GPでの戦いも目が離せない状況だ。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがオーストラリアGPの週末を語る。

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 F1は様々なサプライズを数多く生み出してきた。2024年オーストラリアGPの開始直後の出来事も、そのひとつと言っていいだろう。ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペンが、まずはレースをリードしながら愛機RB20の異常を訴え、まもなくマシンの右後輪が白煙を吐き始めたのだ。

 現世界選手権王者がどうにかピットまで帰ってきたとき、クルマの右後輪からは炎が上がっており、ピットロードでブレーキディスクが粉々に砕け散った。ブレーキキャリパーピストンが正しく戻らなくなり、ブレーキが過熱して万事休すとなったのだ。

 かくして、マックスは10連勝によって選手権のリードをさらに拡げるどころか、その後のレースを観客のひとりとして眺めることしかできなかった。最終的にはカルロス・サインツが優勝を飾り、シャルル・ルクレールがこれに続くというフェラーリのワンツーに終わったが、もしこのふたりの順位が逆であれば、ルクレールが選手権でもフェルスタッペンを抜いて首位に立つところだった。
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 マックスは2023年にほぼ文句なしのシーズンを送り、今季序盤戦の様子を見る限り、選手権の状況が昨年とほぼ同様になるのは確実と思われていた。しかし、そうした予想を繰り返し否定してきたのは、他ならぬ彼自身だった。「こうして達成してきたことを、僕らは誇りに思っていい。ただ、その価値をしっかり噛みしめる必要があると思う。これほどの成功が続くなんて、このスポーツではめったにないことだからね。状況は急激に変化する可能性があるし、競争相手も眠っているわけではない」

 実際、もしブレーキキャリパーのトラブルがなければ、フェルスタッペンはメルボルンのアルバートパークで間違いなく勝てたかというと、そうとばかりも言い切れない。今回、フェラーリ勢は予選で速かっただけではなく、プラクティス中のロングランでも侮りがたい競争力を示していたからだ。

 マックスは言う。「クルマの何かがおかしいことは、スタートしてすぐに気づいた。いくつかのコーナーで、限界には達していないのに普通ではないような滑り方をしたんだ。リタイアしたあと、データを調べてみた段階で、レースのスタート時点からブレーキに問題があったことが明らかになった」

「キャリパーピストンが正しく戻っていなかった。ちょうどハンドブレーキを引いたまま、乗用車を走らせてしまったときのような状態だ。だから、クルマのコントロールが難しくなっていて、何かがおかしいと感じた」

 フェルスタッペンのDNF(リタイア)は、2022年のオーストラリアGP以来のことだった。だが、彼は少しも動揺することなく、落ち着いている。「それはもちろん、レースを最後まで走りたかったとは思うよ。だけど、結局のところF1は高度にテクニカルなスポーツだから、トラブルが起きる可能性はいつだってある。何よりも重要なのは、どこがおかしくなったのか理解することであり、同じことが二度と起きないように対策をすることだ」

 レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、レースを振り返って、こう語った。「マックスが最後まで走っていたら、どんなレースになったかは誰にもわからないが、それほどプッシュしなくても、サインツには楽について行けたと言っていた。しかし、クルマが燃えたことに関しては、もっとひどい結果になっていた可能性もあった。右後輪まわりのコンポーネントがいくつかダメになっただけで済んだのは幸運だったよ」

 次のレースは鈴鹿だ。元グランプリドライバーでトヨタに所属したこともあるティモ・グロックは、このサーキットをよく知っている。「素晴らしい高速コーナーがいくつもあるという点で、鈴鹿はレッドブルのマシンにはもってこいのコースだ。日本ではマックスが強いだろうと予想している」

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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