2023.11.16

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:速さだけではない、ポールポジションから優勝につなげる安定性の高さ


(c)XPB Images
 世界選手権タイトル獲得後も勢いが止まらないマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。油断のない走りでメキシコシティGP、サンパウロGP(ブラジルGP)でも勝利したフェルスタッペンの週末をスイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーが振り返る。
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 カタールで3度目の世界選手権タイトル獲得を決めたあと、マックス・フェルスタッペンはこう語った。「コンストラクターズとドライバーズの両選手権の防衛に成功して、最大の目標は達成された。だけど、もうこれで僕らがアクセルを踏み込むのをやめると思う人がいるとしたら、その考えは大間違いだ」

 まさに有言実行。26歳のワールドチャンピオン、フェルスタッペンは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのアメリカGP、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスのメキシコGP、そしてインテルラゴスのアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェで開かれたサンパウロGPを立て続けに制したのだ。
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 その過程で、彼はいくつかの個人記録も更新した。シーズン最多ポールポジション(サンパウロGP終了時点で11回)、シーズン最多勝(17勝)、シーズン最多リードラップ(922周)、年間最多ポイント(424点)。さらに多くの記録がこれに続くのは間違いない。また、驚くべきことにマックスは、過去15回のポールポジションをすべて優勝に結びつけている。

 ブラジルでのフェルスタッペンは、あらゆる面で世界王者の貫禄を見せつけた。「タイヤがすべてと言ってもいいようなレースで、僕らはここでもタイヤの能力を最大限に引き出すことができた。特にレースの後半でね」

「タイヤのデグラデーションがとても大きくて、ずっとマネージメントをしていたし、絶えずステアリングの修正が必要だった。世間の人は、僕らが楽に勝ったと思っているだろうけど、実際にはそんなことはなかった。1秒たりとも気が抜けない戦いだったんだ」

「しかも、時折ノリスが背後に迫ってきたから、油断はできなかった。ただ、日曜にはプラクティスの時よりも路面温度が下がったので、いろいろな面で少しだけ楽になったのは確かだ」

(c)XPB Images

 メキシコでは3番手グリッドからスタートしながら、1周目のターン1に入る時にはトップに立っていた。2021年のレースで、メルセデスのルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスを相手に見せたのと同じ“マジック”だった。

 その後、マックスはレースを完全に支配した。レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは言う。「今年、一番進歩したのはそこだ。成功する可能性が高いと見た時にはアタックするが、決して無理はしない。そういう意味で、マックスは見事な辛抱強さを示している。適切な時期を待つことができるんだ。こういう言い方もできるだろう。彼は必要とされる速さでドライブしていて、ただできる限り速くドライブしているのではない」

 このドライバーとクルマには、時として小さなトラブルに見舞われても、どうにかできるだけの速さがある。フェルスタッペンはテキサスでブレーキに問題を抱え、ハミルトンの追撃に遭いながらも、辛うじてトップの座を守りきった。もっとも、結局のところハミルトンは、再車検でプランクの過大な摩耗を指摘されて、失格となったのだが。

 さて、残るラスベガスとアブダビのレースを、マックスはどう戦うつもりなのだろうか。「何も変わらないよ。僕が望むのは、ひとつひとつのレースを楽しむこと、そしてできる限りいい成績を手にすることだ。結果として、それが優勝なら理想的だね」

「今シーズンの展開を振り返ってみると、いまだに自分の頬をつねってみたい気分になる。去年のオフの時点では、これほどのことを達成できるなんて夢にも思っていなかった。だから、僕は時々チームのみんなに言うようにしているんだ。『このすべてがどれほど特別なことか、しっかり心に留めておこう。ここまで僕たちがやってきたことを、一歩引いて客観的に評価してみるべきだ』ってね。ラスベガスとアブダビについては、とにかくエンジョイしたいと思っている。そして、やはりどちらも勝ちたいね!」

(c)XPB Images

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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