2023.10.06

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:連勝記録ストップも、鈴鹿では別次元の走りで盛り返し


(c)XPB Images
 5月のマイアミから9月のモンツァまで連勝を続けていた間も、マックス・フェルスタッペンはいつも謙虚にこう語っていた。「連勝は自慢していいことだと思う。ただ、僕はどんな連勝記録にも、いつかは終わりが来ることを知っている。それは避けられない運命だ」

 そして、彼の連勝の終わりは、シンガポールGPの夜に訪れた。マックスはレースを振り返って言う。「あの週末全体がおかしな感じだった。結局、最後までセットアップが決まらず、かなりの苦戦を強いられた。素晴らしい週末がずっと続いたあとの、本当にひどい週末だった」

 過去2年の世界選手権王者フェルスタッペンは、マシントラブルに見舞われた春先のジェッダ以来となるQ2落ちを喫した。そして、11番手グリッドからスタートしたレースを、どうにか5位でフィニッシュした。
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 マックスは、こう語っている。「僕らが日本でどこまで盛り返せるか、興味津々というところだったね」

 どう盛り返したかは、ご存知のとおりだ。フェルスタッペンは通算29回目(23年シーズン9回目)のポールポジション、レース中のファステストラップ、そして通算48勝目、今季13勝目を記録した。鈴鹿では昨年に続いての2連勝だった。

 彼の表情は晴々としていた。「日本へ来た時点で、自分自身にいくつかの目標を与えていたんだ。僕らがシンガポールで遅かったのは、フロアの剛性に関するFIAの新しい技術指令書に対応する必要があったからだと言う人たちもいた。僕は彼らが間違っていることを証明したかった」

「つまり、シンガポールで負けたのは一度限りのことで、サーキットの性格によるものであることを示したかったんだ。そして、僕たちの本来の実力を発揮して、エンジンパートナーであるホンダと熱心な日本のファンのために、ホンダのホームコースで開かれる日本GPでどうしても勝ちたいと思っていた。それを達成できて、心から満足しているよ」

 レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、レッドブル・レーシングのエースが見せた円熟したドライビングに大いに満足していた。「私たちはここ鈴鹿で、つまりパートナーであるホンダの母国でコンストラクターズタイトルを勝ち取り、この驚くべきシーズンの戦いに決着をつけた。これ以上の決め方はなかっただろう。マックスのパフォーマンスも素晴らしかった。スタート直後にはふたりのマクラーレン・ドライバーの挑戦を跳ね除け、その後はレースのペースを支配した」

 フェルスタッペンによれば、あの圧倒的なドライブにも2つの反省点があったという。「スタートでは、後輪のホイールスピンがほんの少しだけ多すぎた。それで右からはオスカー・ピアストリ、左からはランド・ノリスに迫られることになったんだ。『オーケー、こいつはめっちゃタイトになりそうだ!』と思ったよ。でも、何とかリードを守ることができた。その後はタイヤコンパウンドに関して、僕らの選択が正しかったのかどうかが気になった。他のみんながハードを2セット持っていたのに対し、僕らはレースに向けてミディアムを2セット残すことにしていたからだ。だけど、最終的にはすべてうまく行った」

 マルコは言う。「今年マックスは、スピードという点ではまた新たな次元へ進んだ。しかし、それ以上に感心させられるのは、彼があのような明るさと自信に満ちた落ち着きを同時に示しながら、やすやすとレースを支配しているように見えることだ。そして、もやはタイヤマネージメントの点で彼の右に出る者はない」

 マックスの次なる目標は何なのだろうか。「ああ、カタールで僕自身の3度目のタイトルを決めたい。もう単純にそれだけだよ」

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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