2021.07.29

【F速プレミアム】
F1コラム:対照的になってきたアロンソとオコンのパフォーマンス


(c)XPB Images
 6月に私はフェルナンド・アロンソがいかによくやっているかについて語ったが、それは十分ではなかった。天気とアロンソのレースパフォーマンスの両方に夏が到来したようだ!つまり、アロンソのドライビングがヒートアップして見えるということだ。一方でエステバン・オコンのドライビングは冷え込んできている。それは残念なことだ。なぜならオコンのパフォーマンスは、アルピーヌとの新契約締結の発表の後に落ち始めたからだ。もしくは気持ちが緩んだのだろうか?いずれにせよ、先月はガレージの反対側でアロンソがレースごとに素晴らしいパフォーマンスを発揮していた。
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 アルピーヌにとって、地元レースである第7戦フランスGPは常に重要なものだ。オコンとアロンソには確実に競争力のあるマシンを用意するための大きな努力が払われた。しかし、予選になってみると、Q3進出を果たしたのはアロンソだけだった。オコンはレースではあまり目立つことはなく、チームのスピリットを輝かせたのはアロンソだった。9番グリッドからスタートして8位入賞という結果はそれほどのものではないかもしれないが、優れたオーバーテイクと自信に満ちたドライビングによって、アルピーヌのチームスタッフたちは2度の世界チャンピオンがいることを思い出すことになった。実際、出来の悪いピットストップがなければ、アロンソは6位でフィニッシュできたかもしれなかったのだ……。

 第8戦シュタイアーマルクGPはアロンソにとって直近の数戦で最も強みを出せないレースだったかもしれない。着実に予選を進んでふたたび8番グリッドからスタートしたが、フィニッシュしたのは9位だった。それでもオコンの結果に目を向けることは重要だ……。土曜日は17番手となり(オコンはQ1で敗退し、アロンソは同じマシンでQ3に進出したのだ!)日曜日のレースでは14位だった。レッドブルリンクでの2回目のレースである第9戦オーストリアGPでは、アロンソは予選では運に恵まれず、最初のラップでは最終コーナーのトラフィックに阻まれてQ3進出はならなかった。アロンソは14番手から10位まで追い上げたが、一方のオコンはファーストラップで接触があり、その後リタイアした。

(c)XPB Images

 だが“真の”アロンソが見られたのは第10戦イギリスGPだ。このシルバーストンでの週末は通常のF1レースと大きく違っていた。金曜日の予選の翌日にはいわゆる予選スプリントレース(17周の短距離レース)があり、日曜日に厳密な意味でのグランプリが続いた。シルバーストンにおいて、2005年と2006年の世界チャンピオンであるアロンソは、これまでの人生でずっとそうしてきたかのように、新しい週末のシステムを最大限に活用した。金曜日の予選ではQ3にわずかな差で進出できなかったアロンソだが、ショートレースでアドバンテージを取るやり方は分かっていた。ドライバーとして、アロンソは常にタイヤ温度をすぐに上げることに長けており、最初から速さを出すことができる。また、彼のスタートはいつも優れていることで有名だ……。

 もちろんショートレースでアロンソは、最初の数コーナーでできる限り順位を上げるためにソフトタイヤを履いていた。そしてそれがうまくいったのだ!他のほとんどのドライバーが安全策をとって中古のミディアムタイヤを履いていたが、アルピーヌのマシンはまるでバターを切るようにフィールドを走り抜け、ファーストラップのうちに11番手から5番手にまで浮上した。タイヤにデグラデーションが出ると、その順位を維持するのは不可能になったが、2台のマクラーレンにオーバーテイクされた後、アロンソは金曜日は11番手だったものの、日曜日に向けたグリッド順では7番手につけた。

 最終レース自体は出来事は少なかったが、アロンソはピットストップでタイヤを交換した後のアウトラップでランス・ストロールをオーバーテイクするなど、いくつか素晴らしい動きで強い印象を残した。なぜアロンソが今も侮れない勢力なのか、マシンに性能があればさらに力を発揮できるドライバーであるのかということを週末全体が証明していた。結論として、この5戦でオコンがたった2ポイントを獲得したのに対し、アロンソは17ポイントを獲得したのだ。前途有望な若手より“老犬”を贔屓することには大きな違いがあるが、それはアロンソの献身を示している。たとえ彼が2022年により関心を持っていてもだ。

 今後何が起きるか考えずにはいられない。まずはこれからの数戦のことだ。まだ12レースと、多くの新しい状況が待っている。ある時点では、アロンソがふたたび速さを出す可能性に疑いを持つこともあるだろうが、彼の能力に再度驚かされることもあるだろう。結局のところ、2021年に40歳になり、翌シーズンを終える頃には41歳になっているレーシングドライバーの話をしているのだ。彼はキミ・ライコネンとともに昔ながらのドライバーの最後の生き残りであり、彼が現在のF1に立ち向かっているのを見るのは素晴らしいことである。

(c)XPB Images

 しかしながら、私が共有したいのは、正確にどのレースに注目するべきかということと、その理由についてだ。まず第一に、新しいサーキットがあるということだ。アロンソがザントフォールトやサウジアラビアで走行するのを目にすることで、彼がいかにして新しい状況(来年の新車のように)に適応するか感じることができるだろう。また私は、鈴鹿でアロンソとオコンを比較することに興味を持っている。力量が重要となるこのような難易度の高いコースで、アロンソがオコンより速いとしたら、それは非常に重要なことになる。そして最後に、雨天時のレースや予選セッションだ。理由は明らかだが、それを目にするのは興味深いことだと確信している。こうしたすべての状況を鑑みて、シーズンが終わるまでにアロンソはランキングでトップ10入りできるだろうか?

(Alex Garcia/Translation: AKARAG)

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