2015.07.06

F速分析:チャンピオン経験者の判断力


 こうなってしまうと、ハミルトンがウイリアムズを抜くためには、ピット戦略を上手く行うしか手はありません。しかも今回は、戦前から1ストップが主流と言われており、そのチャンスは1回きり。1回ということは、失敗はもちろん許されませんし、その際に交換するハードタイヤで、チェッカーまで走り切らねばならないということを意味します。つまり、ハードタイヤの寿命ギリギリの周回数を残してピットに入り、コースに復帰したら飛ばしに飛ばし、新品タイヤのメリットを活かしてライバルの前に出る……ということを成功させなければならないわけです。

 ハミルトンはこれを、19周目に実行します。上位4台の中でいち早くピットに入り、素早くハードタイヤに交換。翌周にマッサとロズベルグもピットインしますが、彼らがコースに復帰した際、ハミルトンは約3秒先行していました。タイヤを交換してコースに復帰した周(アウトラップ)のハミルトンのラップタイムは1分56秒349。一方、マッサとロズベルグのアウトラップのタイムは1分58秒台であり、ハミルトンは新しいタイヤを履いたことによるラップタイムの向上と共に、ここで約2秒稼ぐことができたため、このピットストップで大きなリードを築くことができ、勝利をグッと手繰り寄せることになったわけです。

 一方、この時に対抗策を取ることができなかったのがウイリアムズです。ハミルトンがピットに入る周の中盤、ハミルトンへの「BOX!」という無線が国際映像でも流されました。ウイリアムズのピットも、この無線は聞いていたはず。ならばマッサかボッタスのどちらかをハミルトンと同時にピットインさせ、ハミルトンの前を抑えることを狙うべきでした。シルバーストンはモナコほどではないものの、コース上でのオーバーテイクは難しいコース。それならば、コース上でのポジション重視は鉄則です。それができなかったというのは、後に雨で失速することになるとはいえ、ウイリアムズの最大の失策だったという他ありません。

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