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【】F1第7戦技術解説:フェラーリのアップデートは失敗だったのか(1)正しい評価を妨げたふたつの要因
5月23日
2024年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPに、フェラーリは大規模なアップグレードを持ち込んだ(フロントウイング、リヤウイング、サイドポッドインレット、コーク/エンジンカバー、フロアエッジ、ディフューザー、リヤサスペンション)。しかし期待されたようなリザルトにはならず、シャルル・ルクレールが3位、カルロス・サインツが5位だった。F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルがフェラーリSF-24のアップグレードを分析、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。
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フェラーリはエミリア・ロマーニャGPに大型アップデートを投入したが、成績ははっきり言って残念なものだった。確かに他の要因の影響を受けたとはいえ、レッドブルやマクラーレンに追いつくには不十分な進化といえた。
■優勝争いに絡めなかった一方、「アップデート自体は期待どおり」とルクレール
![フェラーリSF-24](https://cdn-image.as-web.jp/2024/05/23081047/asimg_1-f1-technique-imola_ferrari_1-copy_45664e7b7688a1e.jpg)
イモラに投入された大規模なアップデートは上の写真で示されているように、レッドブルスタイルのエアインテーク、薄くなったサイドポンツーンなど多岐に渡った。しかしティフォシたちの熱い期待に反して、フェラーリは奇跡を起こすことはできなかった。それでもシャルル・ルクレールは、「予想されたすべての利益をもたらした」と、反論する。
「この開発に期待していたものは、すべて実現されたと言っていい。でも新しいパッケージの場合はいつものことだけど、ポテンシャルが最大限に発揮されるには、まだあと1、2レースが必要だ」
■サーキット特性がフェラーリのパフォーマンスに影響
イモラの週末、SF-24が本来発揮すべきパフォーマンスは、二つの要因に混乱させられた。
まず第一にこのサーキットは、フェラーリ製パワーユニットに適していなかった。フェラーリ独特の小径ターボは、コーナー立ち上がりからすぐに強大なパワーを供給できる点が大きな強みだ。しかし一方で、高回転域でのパワーが不足する。さらにルクレールによれば、チームはエネルギー回生の設定に誤りを犯した可能性があるという。
「僕たちはマクラーレンやレッドブルとは、若干異なるパワー戦略を採っていた。その影響は、特に予選で甚大だった。ターン2からの下り、長いストレートで、完全にタイムを失っていたんだ」
フェラーリを悩ませた二番目の要素は、SF-24が去年型に比べ、縁石を乗り越えた際の衝撃吸収性が低いことだと、ルクレールは指摘する。
「イモラは縁石が多いコースだ。なので衝撃吸収性にやや難ありの今年のフェラーリだと、アップデートの真価が完全に評価できない可能性があった」
「対照的なのがレッドブルだ。彼らの強みの一つは、どんな縁石でも難なくいなしてしまうことだ。僕も同じラインを取ろうとしたけど、全然無理だったね」
今回の残念な結果は、跳ね馬がさらに開発を急ぐ必要性を浮き彫りにした。マクラーレンがマイアミで投入したアップデートがもたらした目覚ましい結果に比べると、フェラーリのそれはかなり見劣りしてしまう。ポールシッターのマックス・フェルスタッペンに対するルクレールの劣勢の程度は、過去6レース中のものと同じだったのだ。
ただしフェラーリの今回のアップデートは、単純にダウンフォースを増やすといったものではないとのことだ。
去年のSF-23は、予測不能な挙動が大きな欠点だった。特にロングランでのコンディション変化に、空力が敏感に反応してしまう。それが決勝レースでの、タイヤ劣化の原因となった。
SF-24はこの弱点の修正を、最大の目標に掲げている。確かにイモラのアップデートは、レッドブル優位の構造を覆すことはできなかった。しかしマシン挙動をさらに安定させ、ルクレールとサインツが自信を持って限界まで攻められることを、開発陣は目指している。
(第2回に続く)
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)