2026年F1第4戦マイアミGP FIA会見 左からカルロス・サインツ(ウイリアムズ)、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、アイザック・ハジャー(レッドブル)

【】技術規則の調整は「魔法の解決策ではないが理にかなう」複雑すぎるエネルギー管理の改善に期待/F1第4戦木曜会見

5月1日

 1カ月のブランクを経て、再開された2026年シーズンのF1。今週末の第4戦マイアミGPから、開幕3戦で明らかになったエネルギーマネージメント関連の不具合や安全上の問題に関して、技術規則の微調整が行われる。ドライバーたちはどんな印象を持ったのか。

Q:まず全員に質問です。今回のグランプリに向けて行われた技術規則変更について、どう感じていますか?

ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ・レボリュートF1チーム):そうだね、いい仕事をしてくれたと思う。(他車との)接近速度の差を小さくする試みとか、予選でよりプッシュできるようにすることとか、全体的にシンプルになって、より扱いやすくなってる印象だ。実際にコースを走って、どういう挙動になるのか、改めて学び直すことになると思う。もちろん事前にシミュレーションはしているけれど、現実は少し違うこともあるからね。どう感じるか、どう機能するかを見るのが楽しみだよ。

セルジオ・ペレス(キャデラックF1チーム):確実に前進だと思う。あらゆる面で改善しようという姿勢、マシンのフィーリングや予選の面でもよくしようとしているのは、とてもポジティブだと思う。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム):今回の変更は、正しい方向への一歩だと思う。ただ、問題をどこまで解決できるかという点では、パワーユニット(PU)のハードウェア自体を変えない限り完全には解決できないだろうね。それでも確実に前進ではある。

2026年F1第4戦マイアミGP FIA会見
2026年F1第4戦マイアミGP FIA会見 左からオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、セルジオ・ペレス(キャデラック)、ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)

 第2部に出席した3人も、概ね好意的な意見だった。

カルロス・サインツ(アトラシアン・ウイリアムズF1チーム):これで突然すべてが変わる『魔法の解決策』だとは思わない。でも今回の変更はどれも理にかなっているし、少しでもドライビングが楽しくなる方向に働いてくれるといいね。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム):カルロスと同じ意見だ。この変更ですぐにすべてがよくなるわけではないけれど、正しい方向へのいい第一歩だと思う。スポーツ全体のために、みんなで取り組んでいる。まずはいいスタートだし、次にどんなステップが来るのかを見ていきたいね。

アイザック・ハジャー(オラクル・レッドブル・レーシング):たった3レースで変更が行われたのはいいことだと思う。これだけ早い段階で対応できたのはポジティブだし、改善に向けてしっかり取り組み、僕たちの声を聞いている証拠だ。ただ、マイアミのサーキットはあまり代表的じゃないし、パワーユニットにとって特別に厳しいコースでもない。なので変更の効果を見極めるのは、ちょっと難しいかもしれないね。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)&アイザック・ハジャー(レッドブル)
2026年F1第4戦マイアミGP FIA会見 アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)&アイザック・ハジャー(レッドブル)

 続いて、新しいF1を彼らは好きなのか、嫌いなのかという質問が飛んだ。ピアストリは前日、2008年にルイス・ハミルトンがタイトルを取ったマクラーレンのマシン『MP4-23』をデモランしたばかりだった。

Q:新時代のF1で好きな点と嫌いな点はなんですか?

ピアストリ:クルマはずいぶん変わったけど、「僕はまだF1ドライバーだ」と言える。そこはいいところだね(笑)。悪い点は……難しいな。2008年のクルマに乗ると、ああいう要素を取り戻せたらおもしろいと思う。現状としては、改善に向けて動いている段階だね。

ペレス:子供の頃にマリオカートをたくさんやったから、この時代に向けた準備はできていたよ(笑)。

ヒュルケンベルグ:今のクルマはかなり違うけど、それがおもしろい部分でもある。学び直してアドバンテージを見つける楽しさがある。ただ難しい点としては、特に予選ラップでのエネルギー管理などが複雑すぎること。小さなミスが大きな結果に繋がる。そのあたりは今回の調整で改善されることを期待しているよ。

 ピアストリとペレスのコメントが特徴的だが、「もっとドライバーの腕を活かせるマシンにして欲しい」という思いが強いのだろう。一方、第2部の3人は、比較的好意的な意見だった。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2026年F1第4戦マイアミGP FIA会見 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

アントネッリ:シャシー面では、軽量化やコンパクト化で運動性能が上がったのがいい点。より扱いやすく、生き生きしている。ただPUはまだ最適化の途中だね。

ハジャー:追走しやすくなり、オーバーテイクもしやすくなったのいい点。特に低速コーナーでのバトルが改善された。

サインツ:空力面は非常にいい。ここ10年でベストのひとつだと思う。ただドライビング中にエネルギー管理など考えることが多すぎるのは、純粋なレースという意味では少し複雑すぎると感じるね。

アイザック・ハジャー(レッドブル)
2026年F1第3戦日本GP アイザック・ハジャー(レッドブル)

 今年のF1はやや軽くなったとはいえ、768kgもある。安全性の問題や、大きく重いバッテリーが大きく影響しているが、ドライバーは依然として重すぎると感じているようだ。

Q:ニコ、今年の軽量化されたマシンは楽しめていますか?

ヒュルケンベルグ:正直、30kg減っても劇的には感じないかな。ただ全体のバランスが変わって、違うフィーリングにはなっている。低速では少し機敏かもしれないけど、マシンによる部分も大きいね。

Q:どれくらい軽くなれば、明確な差を感じるのでしょう?

ピアストリ:正直、50kg以上、できれば100kg近くは必要だと思う。理想は600kg台に戻すことだね。エンジンやバッテリーを簡素化すれば軽くできるけど、でもそれがいいかは別問題だね。

 今回の規約微調整は、はたしていい方向に向かう第一歩となるのか。その辺りも週末の見どころのひとつになりそうだ。

ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
2026年F1第3戦日本GP ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)


(Text : Kunio Shibata)