【】レッドブル&HRC密着:マシンストップでガレージに緊張感。幸運も味方につけ復活の初日“全セッショントップタイム”
6月29日
2024年F1第11戦オーストリアGPが開幕した直後、レッドブル・ホンダRBPTに緊張が走った。
フリー走行1回目が始まって約30分後、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がホームストレート上でスローダウンし、マシンを止めてしまったからだ。
止まる直前、フェルスタッペンとピットにいるレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼは無線でこう交信していた。
フェルスタッペン「エンジンが止まりそうなんだけど」
ランビアーゼ「アンチストールに入ってしまったようだ」
フェルスタッペン「アンチストールに入ったのなら(エンジンは)止まらないはずじゃない? ちょっとデフをいじっただけなのに……」
その後、マシンは完全にホームストレートで止まってしまったため、セッションはここで赤旗が提示。フェルスタッペンのマシンはコースマーシャルによってピットレーンに入れられ、その後メカニックたちによってガレージに戻された。
レッドブルとホンダ・レーシング(HRC)の関係者が肝を冷やしたのは、第9戦カナダGPでフェルスタッペンのパワーユニットにトラブルが起きていたからだ。
その後の調査で、カナダGPに投入したフェルスタッペンの3基目の主要4コンポーネント(ICE(エンジン)、ターボ、MGU-H、MGU-K)のうち、少なくともひとつは使用不可能な状態になってしまった。
今後、ペナルティを受けるかどうか、受けるとしたらどのグランプリで受けるのかについて、レッドブルとHRCのスタッフは今まさに話し合っている最中。そんななか、ふたたびフェルスタッペンが止まってしまったのだから、ガレージ内が緊張感に包まれるのは当然だった。
しかし、赤旗が解除されると、ほどなくしてフェルスタッペンはコースインした。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう説明する。
「センサーの問題だった。ピットウォールのジャンクション(コンクリートウォールの切れ目)に近い場所でマシンが止まってくれたのは幸運だった。今週末はスプリント・ウィークエンドで、フリー走行は1回しかない。もしトラブルが深刻であのまま走り始めることができず、時間を失っていたら悲惨なことになるところだった。ガレージに戻ってきてから、センサーをリセットしてふたたび走り出すことができたのはラッキーだった」
フェルスタッペンもこう振り返る。
「フリー走行でセンサーに小さな問題があったけど、すぐに解決することができて良かった。クルマは予選に向けて本当に力強く、プッシュすることができていたからね」
その言葉どおり、フリー走行で首位発進したフェルスタッペンは、直後に行われたスプリント予選でも、SQ1からSQ3までの全セッションでトップタイムをマーク。スプリント予選1番手となった。
「いろいろあったけど、全体的に見れば、いいスタートが切れたことは間違いない」
今年行われた過去2回のスプリントでともに勝利しているフェルスタッペン。スプリント3連勝の期待がかかる。
(Masahiro Owari)