【】2026年の開催を諦めないバーレーン&サウジアラビア。シーズン後半の開催は“12週間で10戦”の過酷日程を招く恐れ
5月13日
F1は不確実性への対応が苦手だ。それは長年にわたって、F1の最高権威者であったバーニー・エクレストンが時間厳守、プレゼンテーション、プロ意識にこだわったことにより、綿密かつ正確な計画が確立されてきたからだ。F1を世界的なスポーツへと押し上げたエクレストンは約10年前にリバティ・メディアによって追放されたが、彼が築き上げた基準はリバティの下でも維持されている。
だからこそ、第16戦スペインGP以降のグランプリの数やスケジュールに関する不確実性に対して、パドックでは大きな不安が広がっている。
以前にも報じられたとおり、サウジアラビアは2026年のグランプリをカレンダーに復活させようと必死に働きかけており、バーレーンも今年レースを開催しようと静かにロビー活動を行っている。これらのグランプリのうち、ひとつでさえ2026年のカレンダーに組み込むことの難しさは立証されているが、F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリの立場をさらに複雑にしている、目に見えない問題もいくつかある。

まず、カタールGPまたはアブダビGPを予定されていた週末とは異なる週末に変更することは、プロモーターの業務に深刻な支障をきたすだろう。当初の日程のチケットはすでに多く販売されており、航空券、宿泊、チケット、ツアーを含むパッケージツアーも多数売れている。もしレース日程が1週間ずらされたら、これらを購入した人全員が別の時期に休暇を取り直すということはないだろう。全員に払い戻しを行い、その後チケットやパッケージを再販するのは容易ではない。カタールとアブダビがグランプリ開催に投じているような費用を考えると、他者のニーズに配慮するために自分たちが犠牲を払うべきだとは思えない。
そして各チーム、FIA、F1、ピレリ、DHL、その他のサプライヤーからの船舶貨物の輸送というデリケートな問題がある。各チームの物流部門は冬の間に、1月初旬から年末までの6〜7セットの貨物の海上輸送ルートを綿密に計画してきた。最初の船便は、1月2日にヨーロッパを出発して2月末にメルボルンに到着し、カタールとアブダビに送るふたつの便は2027年1月中旬に拠点に戻る予定だ。綿密な計画に基づいてすべての段階を進めているため、アゼルバイジャンGPとシンガポールGPの間に、バーレーンやサウジアラビアで利用できる海上輸送手段を急遽確保することは不可能だ。もちろん、すべての機材を延期されたグランプリの開催地まで空輸することは可能だが、輸送コストは大幅に増加し、予算制限のコンプライアンスに直接的な影響を及ぼすだろう。
さらに、12回の週末に10回のグランプリを詰め込むことで、現場で働く人々に残された休みはわずか2回の週末だけになると、健康にも影響するだろう。もしバーレーンGPとサウジアラビアGPをシーズン後半に開催するとなると、まずアゼルバイジャンからスタートして、バーレーン、シンガポールと立て続けに移動した後、1週間の休暇を挟んで、オースティン、メキシコシティ、サンパウロへと移動する。その後再び1週間の休みを経て、極寒のラスベガスに向かい、暑いサウジアラビア、カタール、アブダビへ続くことになる。
プロのアスリートでない人にとって、これではあまりにも過酷だ。近年目にしてきたように、ラスベガスがカレンダーに加わって以来、多くのドライバーがカタールやアブダビに到着した際に体調を崩していることからも、このスケジュールはドライバーにとっても困難なものだ。

(Text : GrandPrix.com)

