平川亮が予想する2026年F1新規定下の鈴鹿攻略「ヘアピンから電気エネルギーをどのように使い切るか」
2026年F1第3戦日本GPの初日となった3月27日(金)、フリー走行1回目(FP1)開始を控えるなか、TGRハースF1チームのリザーブドライバーを務める平川亮の囲み取材が行われた。まだ2026年型マシンの実車走行はないが、今季もFP1出走予定があり、シミュレーターで準備を重ねる平川は、大幅な規則変更が実施された2026年型マシンの走らせ方、戦いの難しさについて話した。
グランドエフェクト規定下だった2024年から2025年にかけて、マクラーレン、アルピーヌ、ハースの3チームから計6回のFP1経験がある平川。FP1だけではなくTPC(Testing of Previous Cars/旧車テスト)でも幾度とF1マシンをドライブしてきたが、いずれもグランドエフェクト規定下のマシンだった。
平川は、2026年のマシンの難しさを「一番はサーキットの特性によって乗り方が変わるところだと思います」と、話した。
「鈴鹿での決勝の場合だと、セクター1などでしっかりとエネルギーマネジメント(回生による充電)をしないと、エネルギーをうまく使い切れないのかなとは思います」
なお、今回の日本GPでは、当初予選では1周あたり9メガジュールのリチャージ(回生)が許可されていたが、これが8メガジュールへと引き下げられることになった。これにより、予選に関してはリフト・アンド・コースト(電気エネルギーを効率良くリチャージするために、アクセルを戻し/リフト、惰性/コーストで走行する走り方)などを通じたリチャージを行う必要性が軽減されることになる。
「1メガジュール分回生しなくていい、つまりリフト・アンド・コーストをやらなくていいというのが、ドライバー目線では一番大きい影響ですね。予選中にリフト・アンド・コーストするのは少しおかしいよね? ということで変更がなされたのだと思います」
「なので、決勝は最高速(の出るホームストレート)からのターン1とか、デグナーひとつめ(ターン8)とかでもリチャージするとは思いますが、(当初計画していた予選でのリチャージに比べれば)そんなに多くはないと思います」と、平川。

規則変更により2026年のF1からはDRS(ドラッグ・リダクション・システム)がなくなっている。代わりに、FIA国際自動車連盟が大会ごとに指定するストレートモードゾーンという区間内であれば、前後のウイングが可変し、低ドラッグ状態となるストレートモードが使用できる。なお、日本GPではホームストレート、ターン14(スプーンカーブ出口)からターン15までのバックストレートの2カ所がストレートモードゾーンに指定されている。
このふたつめのストレートモードゾーンについて平川に聞くと「ヘアピン(ターン11)からシケイン(ターン16〜17)までビックブレーキングポイントがなく、長いストレートみたいな感じですよね」と話す。
「スプーンカーブ(ターン13〜14)で少しは回生できたりするので、僕的にはスプーンの入り口(ターン13)や出口(ターン14)でもオーバーテイクはできそうです」
「ただ、スプーンカーブでオーバーテイクするために電気エネルギーを使ってしまうと、スプーン出口(ターン14)から130R(ターン15)で使う電気エネルギーがなくなってしまいます。ただ、そこは『ストレートモード』で少しは誤魔化せるのかなと。ですので、僕的にはスプーンの入り口やヘアピン直前の200R(ターン12)でバトルがあるのかなと予想しています」

「(シケインでも)オーバーテイクできなくはないと思います。ただ、それをするにはスプーンカーブまで電気エネルギーを温存するために遅く走ることになります。そうなると、シケインでのオーバーテイクという姿はイメージが湧かないかなと。結局は130R手前から速度が落ち続けるので、現実的じゃないのかなという気もします」
どんなバトルができるか? という予想に関しては「おそらく全車ヘアピンでバッテリーが満タン状態です。そこからシケインまで100パーセントのバッテリーをどのように使い切るか、という戦いになります。そこはその時の風向き、クルマのセッティングで変わってくると思います。“どっちのストレート”で電気エネルギーを使うのか、ですね」と、平川。
なお、1周走る際、2025年までクルマと2026年のクルマ、ステアリング上のボタンやダイヤル操作の操作量の違いを聞くと「2倍に増えたかもしれません」と、平川。
「ストレートモードはストレートモードゾーンの前でボタンを押せばプリセレクト(待機/ストレートラインゾーンを過ぎるとボタンが効く)できるのですけど、サーキットによってはストレートモードゾーンが3〜4カ所ありますし、その上でセッティングを細かく変えなければいけないので、ステアリング上のボタンやダイヤル操作に関しては倍に増えたかもしれません」

そんな平川は今年もTGRハースでリザーブドライバーを務め、TPC、そしてグランプリウイークのフリー走行1回目についても出走予定があるという。
「本当は開催がなくなったレース(4月に予定されていたバーレーンGP、サウジアラビアGP/中東情勢悪化に伴い中止に)のひとつでFP1に乗る予定でした。そこに向けて練習していたので、残念でしたね」と、明かした平川。代わりのFP1出走ラウンドについてはまだ決定されてはいないが「どこかで乗ると思います」と話した。
「去年までのクルマは(開発方向やセットアップ)は決まって、そのなかで0.001秒を削ってタイムを出すという走りでしたが、今年のクルマは何かしらの操作を間違えずに実施できないと、簡単に1秒遅くなります。そこはトリッキーだなと思いますけど、乗ってみたいですね」
当初、今年はF1日本GPとWEC世界耐久選手権の開幕戦『カタール1812km』がスケジュールバッティング(その後中東情勢悪化により開催中止に)していたため、2026年F1日本GPでの平川のFP1出走がなかったのは残念だが、今季いずれかのグランプリで平川が再びコースに出る機会を楽しみに待ちたいところだ。
