2025.12.05

誹謗中傷の標的となったアントネッリ、フェルスタッペンらのサポートに感謝「彼は本当に親切だった」


アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) 2025年F1第24戦アブダビGP
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 メルセデスのF1ルーキーであるアンドレア・キミ・アントネッリは、カタールGPが終了するとすぐに、多くの憎しみのこもったメッセージと非難を浴びた。匿名のソーシャルメディアユーザーらは、レース終了まであと2周というところで4番手を走っていたこのイタリア人ドライバーが、ランド・ノリス(マクラーレン)を故意に先行させたと非難したのだ。

 メルセデスのドライバーに実際に何が起こったのかということを、『F1 TV』がレース終了から数分経ってやっと放送したという事実と、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼがフェルスタッペンに伝えた「アントネッリに何が起きたか分からないが、単純に道を開けて、ノリスを通したように見える」というメッセージがあったことで、余計にインターネット上での非難のメッセージが爆発的なものになった。

■「本当につらかった」とアントネッリ

 その後ヘルムート・マルコ(レッドブル・モータースポーツコンサルタント)は、「キミはノリスに2度手を振って先に行かせた」と繰り返し主張したが、数日後にはレッドブルもソーシャルメディアの騒動における自らの役割について謝罪し、マルコはこのコメントを撤回せざるを得なかった。

 今週末のシーズン最終戦のためアブダビ入りしたアントネッリは、カタールGP後の数日間は自分にとってかなり厳しかったと認め、「レース後にああいうコメントをもらうのは、簡単なことではなかった。特にライバルを追い抜かせるような、自分なら絶対にしないようなことについてのことはね」と説明した。

 19歳のイタリア人は次のように繰り返した。「僕は3番手を争っていて、懸命にプッシュし、(ウイリアムズのカルロス・)サインツのDRS圏内に入ろうとしていた。埃っぽいトラックのなか何周も走って、一生懸命プッシュしていた。ミスが起こったのは、当然だけどラップごとに少しずつプッシュしてタイヤが限界に達した瞬間だ。そのせいでランド(・ノリス)に追い抜かれてしまった」

4番手を争うアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)とランド・ノリス(メルセデス) 2025年F1第23戦カタールGP

 メルセデスのドライバーは、「ああいうコメントをもらったのは本当につらかった」と述べ、「レッドブルとFIA国際自動車連盟の声明を見ることができてよかった」とつけ加えた。

 さらにアントネッリは、「GP(ジャンピエロ・ランビアーゼ/マックス・フェルスタッペンのレースエンジニア)も僕に話しに来てくれたし、マックスにも説明できたのでよかった。でも、それ以外にもたくさんのサポートをもらった。それはうれしかったし、起こったことを忘れて今週に集中することにも間違いなく役立った」と明かした。

 このルーキーは、フェルスタッペンが彼に連絡を取ってきたことを明かし、次のように語った。「マックスは何が起こったか見ていたから、何も気にしていなかった。彼はサポートも示してくれて、本当に親切だったよ」

「彼のメッセージにはいくつか悪い言葉が含まれていたので、彼が何を言ったのか正確には言えないけれどね。でも彼はただ、『こういう人たちは頭が悪いから心配しなくていい。とにかく仕事に集中するんだ』と言ってくれた。彼は大きなサポートを示してくれたんだ」

■SNSで嫌がらせを行う人々を激しく非難

 今後ソーシャルメディアに対する姿勢を変えるつもりがあるかと尋ねられたアントネッリは、最善の方針が何であるかあまり確信が持てないようだった。

「もちろん人との交流は重要だ」と認めつつも、「週末はなるべく見ないようにしている。もちろん、気を散らされたくないし、仕事に集中したいからね」と注意を促した。

「レース後、友人から何が起こっているのかを教えてくれるメッセージをたくさん受け取った。最初は気づかなかったし、その後、もちろん見に行った。見るのはつらかったけれど、今はもう忘れてしまった」と締めくくった。

オリバー・ベアマン(ハース) 2025年F1第23戦カタールGP

 元チームメイトで同じくルーキードライバーのオリバー・ベアマン(ハース)は、友人への支持を声高に表明し、匿名を装ってソーシャルメディアを使い、他人を侮辱したり脅迫したりする人々に対する自身の意見を隠さなかった。

「僕はそのレベルの批判に直面したことはないが、それはメルセデスではなくハースのようなチームに所属しているからということもある」とベアマン。

 20歳のイギリス人ドライバーは次のように語り、嫌がらせをしている者たちを激しく非難した。「一般的に、スクリーンの向こう側いる人たちはひどくて、本当に最低だ。彼らは誰かにそのようなことをするべきではないと思う」

「F1に長くいる人たちは、そういうことに慣れていることはわかる。ルーキーにとっては、そういう批判を受けるのは初めての経験かもしれないが、こうした誹謗中傷を受けるのはまったくもって冗談でしかない」と認め、最後に次のように述べた。

「そのような批判は容認されるべきではないし、FIAがそれを阻止するためにできる限りのことをしているのは知っている。問題は、そのような批判をする哀れな人たちだ。レースだけではなく、私生活でも人を傷つけるような人がいるなんて冗談のようだ。そうした人たちは本当に最低だ」



(autosport web)

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2025-12-05更新

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