圧倒的有利なノリスは表彰台でタイトル確定も、「ポイントリーダーが王座に就く保証はない」と苦労人のアロンソ
2度のF1チャンピオンでアストンマーティンのドライバーであるフェルナンド・アロンソは、2025年F1世界選手権を争っている3人のドライバーはいずれも、これまで23戦で積み重ねてきたポイントに関係なく、最終戦アブダビGPで、極めて厳しい戦いに直面することになると警告した。
タイトル争いの修羅場をくぐり抜けてきたベテラン、アロンソは、2005年にライコネンとの激闘を制し、2006年にはミハエル・シューマッハーとの争いに勝ってタイトルを獲得した一方、2007年、2010年、2012年にはいずれも最終戦でタイトル争いに敗れるという大きな失望も味わっている。その経験から、今週末にランド・ノリス、マックス・フェルスタッペン、オスカー・ピアストリが直面するであろうプレッシャーについて語るには最適の立場にある人物といえる。

アロンソは、タイトル候補者は今、「難しい状況」にあると述べ、その理由として「水曜日にいくつかのイベントをこなし、木曜日になるとメディアが同じ質問ばかり繰り返すからだ」と説明した。「気持ちを切り替えて普通の週末として扱おうとしても、外部から常に刺激が入り、特別なレースなのだと思い知らされる」とアロンソは述べた。
「間違いなくストレスは増し、プレッシャーも大きくなる。しかし結局のところ、バイザーを下ろしてガレージを出た瞬間、自分のドライビングスタイルやテクニック、そして良い走りをして勝ちたいという欲求は、それほど変わらない。走り方が変わるわけではない。彼らにとっては、マシンの中では普通の週末だ。ただ、マシンの外では違う週末になると思う」

誰が新チャンピオンになるかという予想を求められたアロンソは、その質問をかわし、「3人のドライバーが最後まで争ったのは2010年以来だ。予想するのは難しい」と語った。さらに「ランキング首位のドライバーは、結果の上で少し余裕があるから有利だと人は考えがちだが、F1は予測不可能だ」と慎重な見方を示した。
「2010年当時、セーフティカーが出たが、その時、入らなかったのは間違った判断だった。先週もセーフティカーが出たが、やはり利用しなかったのは誤りだった。しかし、こうしたことはF1のレースでは起こり得る。だから、たとえチャンピオンシップをリードしていても、何も保証されているわけではない」
「推測は常にあるが、答えるのは難しい。ただ、マックスが信じられないほど素晴らしいドライバーであり、マシンから最大限の力を引き出していること、そして今年彼が勝ったいくつかのレースは、必ずしもマシンの力だけによるものではなく、彼自身の力によるものだったことは、誰もが分かっていると思う。昨年もそうだった」
「何が起こるかは分からない。僕自身の経験から言えば、誰もが『最高のマシンさえあればチャンピオンになれる』と言うし、誰もがそうした自信を持っている。しかし、これは答えられない問題だ」
フェルスタッペンがタイトルを獲得できなかった場合、それは「最も優れたドライバーが世界チャンピオンにならない」という事態を意味すると思うかという問いに、2005年と2006年のチャンピオンであるアロンソは、微笑みながら、こう答えた。
「それは過去19年間ずっと起きてきたことだ。だからそうなるなら、次は20回目になるだけだよ」

アブダビを前にした3人のポイントは、ノリス408点、フェルスタッペン396点、ピアストリ392点となっている。ノリスは表彰台に上れれば、無条件でタイトルを獲得する。