ついに王者が決まる最終戦。フェルスタッペンは「うまくいくレースもそうでない時もある」と巻き返しを誇る/F1第24戦木曜会見
最終戦アブダビGPドライバー会見には、この週末に運命が決まるチャンピオン候補の3人、ランド・ノリス(マクラーレン)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が出席した。
まずは決戦に臨むための準備、心構えについて。
Q:このなかのひとりが、日曜日の夜に世界チャンピオンになります。最終戦に向けての準備、心構えを聞かせてください。
ノリス:「基本的には、いつもの週末と同じだよ。特別なことは何もしていない。前の週末を振り返って、明らかによくなかった点や、自分たちのミス、そして一見するとわかりにくいけれど改善できる部分をチェックする。いつもやってるレース後の分析、そして次のレースへの準備だね。ただ今週末は、スタッフ全員が少しワクワクしている。その違いはあるね」
フェルスタッペン:「娘と少し時間を過ごして、来年のGT3に向けたことをいくつか考えたり、シムチームのことも少し整理したり、それくらいかな。別に特別なことはしていないよ」
ピアストリ:「僕はGT3チームを運営していないし(笑)、普通に過ごしていたよ。レース間隔も空いていなかったしね。あとはマーケティングデーが1日あって、それはけっこう楽しかったな」

Q:今年を振り返って、タイトルを逃した、あるいは逃しそうになった決定的な出来事はあったでしょうか?
ノリス:「小さな出来事はいくつもあった。たとえばカナダがそうだった。あれは完全に、『自分が悪かった』と手を挙げるしかない。かなりのポイントを失った。中国の予選では不運もあった。でもそういうのは、誰にでもあることだ。ザントフォールトでのリタイアやラスベガスの失格裁定は、不運というより、チームとして十分な仕事ができなかったということだね。なので決定的な何かひとつがあるというより、自分自身、そしてチームが十分にできなかった部分がいくつかあった、ということだ」
フェルスタッペン:「結局は、全24戦の1戦1戦ということだと思う。うまくいくレースもあれば、そうでないレースもある。そして多くのレースで、勝負できるほどのペースがなかった。それでも今、ここにいる。その意味では、今季の自分たちの戦いぶり、特に後半戦での巻き返しを誇りに思っているよ。なので特定のひとつの瞬間は、挙げられないね」

ピアストリ:「残念だけど、いくつか選べる瞬間はあったね。でもそれは誰にとっても同じで、完璧なシーズンなんて存在しない。だから『ここで何点失った、あそこで何点失った』と切り分けるのは意味がない。もちろん僕自身、やり直したいレースはいくつかあるし、チームとしても同じだと思う。でも『これが一番痛かった』というような決定的なひとつはないね」
マクラーレンのふたりが自身やチームのミスや不運を挙げていたのに対し、フェルスタッペンは悔いのないシーズンを送っていると胸を張る。実に対照的なコメントだった。続いてチームメイトについて。
Q:ランドとオスカー、お互いのどんな点を尊敬していますか? そしてマックス、2026年は新しいチームメイトを迎える立場として、いいチームメイトとはなんでしょうか?
ノリス:「彼の全体的な姿勢だね。常に冷静で、落ち着いている。そこは本当に尊敬している。チームメイトという関係は簡単に壊れるものだけど、僕たちはうまくやっている。それは誇りだよ。コース上では全力で競い、ヘルメットを脱げば人生を楽しむ。それが大事だ。10年後も、同じことを言っていると思うよ」

ピアストリ:「尊敬するのは、彼の車のコレクション(笑)。追いつきたいね。という冗談はさておき、コース上の出来事を持ち込まず、外では普通に接することができる点だ。それこそがランドの強みだと思う」

フェルスタッペン:「チームと一緒にクルマを開発できること。ドライバー同士の理解。オープンで、隠し事をしないこと。最も重要なのは、チームを前に進めること。仲良しである必要はないし、プロフェッショナルであることが重要だね」
最後に今週末のレース展開について、かなり生々しい質問が飛んだ。
Q:ランドに質問です。もしレース終盤、あなたが4位、オスカーが3位、マックスが首位という状況になった場合、オスカーに譲ってもらうことを期待したり、望んだりしますか? それについて話し合ったことはありますか?
ノリス:「話し合ってはいないね。正直、そうしてもらえたら嬉しいけど、お願いはしない。それはオスカー次第だから。では、逆の立場ならどうするか? 僕ならそうするかもしれない。でもオスカーに、それを要求するつもりはないし、そもそもフェアじゃないよね。もしそれでマックスが勝つなら、それはそれ。おめでとうと言って来年を見る。人生が変わるわけじゃない。マックスがふさわしいチャンピオンだったということだ」
Q:オスカー、その想定について考えたことはありますか?
ピアストリ:「今の質問はランドに聞いたものだよね。お互い、話し合っていないので、何を期待されているのかわからないと答えようがないかな」
初めてのタイトルがすぐ目の前にぶら下がっているチャンピオン最有力候補が、「逆の立場なら、僕は譲るかもしれない」と答える。偽善的に聞こえかねないコメントだが、あのノリスなら本当にそうするかもしれない。一方ピアストリは、やや余裕がない印象だった。いずれにしても、どんな結末が待っているにせよ、気持ちのいい展開を期待したいところだ。
