株主になってモータースポーツを応援?! 経済面で一歩踏み込んだ『推し活』
モータースポーツファンならば誰もが大なり小なり、“推し”の存在があると推察致します。自動車メーカーやドライバーやチーム、あるいはレースクイーンやスポンサーが対象というファンもいらっしゃるでしょう。
ファンの“推し活”は、サーキットへ足を運ぶ、イベントに顔を出す、グッズを購入するなどの行動として現われます。では、もう一歩足を踏み込み、『自動車レースに関わる会社の株主になって“推し”自動車メーカーやチームなどを応援』という手法はいかがでしょう?
10月6日(月)の東京株式市場は、自由民主党・新総裁に高市早苗氏が選出されて初の取り引きとなりました。市場はこれを好感したのか、日経平均株価(日経225)は一時4万8000円を超え、終値でも過去最高値更新となる前日比2175円高の4万7944円76銭となりました。
7日(火)の終値は前日比6円12銭高の4万7950円88銭に留まり、8日(水)の終値は前日比215円89銭安の4万7734円99銭。それでも9日(木)は反発して、終値は前日比845円45銭高の4万8580円44銭でした。終値で4万8000円台に乗せたのは史上初めてです。
ところが10日(金)は反落して、終値は前日比491円64銭安の4万8088円80銭。しかも、東京株式市場が閉ったあと、公明党は自由民主党との連立から離脱すると発表しました。週末3連休明けとなる14日(火)の東京株式市場は、いったいどのような反応をするのでしょうか。
このように右往左往の東京株式市場ですが、そもそも過熱感のあったところに先行き不透明な政治のニュースが降り注ぎ、もしも株価が大きく下げたら買い時と言えるかもしれません。では、具体的にどのような会社の株式購入がファンの“推し活”になるのでしょうか、見ていきましょう。
候補となり得る会社の株価情報は下記のとおりです(10月10日終値時点)。なお、会社名の後ろに括弧付きで記した4桁の数字は、“証券コード”あるいは“銘柄コード”とも呼ばれるもの。この“数字”と“株価”を検索エンジンに打ち込めば、会社の最新株式情報にたどり着きます。
企業名(証券コード) | 株価 | 配当利回り(会社予想) | PER(会社予想) | PBR(実績) | Mix係数 | 株主優待 |
---|---|---|---|---|---|---|
トヨタ自動車(7203) | 2、895.5円 | 3.28% | 14.2倍 | 1.05倍 | 14.91 | 〇 |
本田技研工業(7267) | 1、556円 | 4.50% | 15.57倍 | 0.54倍 | 8.4 | 〇 |
日産自動車(7201) | 358.1円 | 0.00% | − | 0.26倍 | − | × |
SUBARU(7270) | 3、057円 | 3.76% | 13.97倍 | 0.83倍 | 11.59 | × |
オートバックスセブン(9832) | 1、528円 | 3.93% | 14.63倍 | 0.91倍 | 13.31 | 〇 |
東京ラヂエーター製造/TRS(7235) | 1、274円 | 3.57% | 9.62倍 | 0.55倍 | 5.29 | 〇 |
ウェッズ(7551) | 618円 | 4.37% | 7.57倍 | 0.59倍 | 4.46 | 〇 |
KDDI(9433) | 2、354.5円 | 3.40% | 12.52倍 | 1.82倍 | 22.78 | 〇 |
NTT(9432) | 152.8円 | 3.47% | 12.16倍 | 1.34倍 | 16.29 | 〇 |
Keeper技研(6036) | 3、615円 | 1.66% | 13.70倍 | 5.47倍 | 74.93 | 〇 |
サイバーエージェント(4751) | 1、660円 | 1.02% | 27.12倍 | 4.88倍 | 132.34 | 〇 |
自動車メーカーは4社を採り上げました。トヨタ自動車と本田技研工業(ホンダ)は配当を実施しているだけでなく、抽選ながら自動車レース観戦の招待も実施しています。トヨタはWEC世界耐久選手権と全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパー耐久、本田技研工業はスーパーGTのほかにホンダジェット体験会も。なお、経営再建中の日産自動車(ニッサン)は、残念ながら配当も株主優待もありません。
一方、モータースポーツにスポンサーする上場企業どうでしょう? スーパーGTに参戦しているTEAM IMPULのスポンサーを務める東京ラヂエーター製造(TRS)は、配当を実施しているだけでなく、1単元100株を保有すると500円相当のオリジナルQUOカードを貰えます。さらに1000株を1年以上継続保有すると、スーパーGT観戦チケットが抽選で貰えます。
同じくスーパーGTに参戦しているTEAM UPGARAGEは、母体がアップガレージグループとして上場しています。配当を実施しているだけでなく、1単元100株を保有するだけで3000円相当のお買い物割引クーポン券、抽選でスーパーGT観戦チケット(グリッドウォーク/駐車券付き)を各大会2組が貰えます。
スーパーGTだけでなくスーパーフォーミュラでもスポンサードを実施しているオートバックスの母体オートバックスセブン。こちらは配当を実施しているだけでなく、株主優待としてオートバックス限定Vポイントが保有株数に応じて貰えます。1単元100株で1000ポイントを頂けるという内容です。
同じくスーパーGTに参戦しているTGR TEAM WedsSport BANDOH。アルミホイールを中心に自動車用品の卸売を展開する同チームのメインスポンサーであるウェッズは、配当を実施しているだけでなく、お買い物券やQUOカードを株主優待として用意しています。
「そんな二桁万円の投資は無理!」という方は、スーパーフォーミュラに参戦するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGに関連してNTTなどもあります。NTTドコモはNTTの完全子会社で、NTTの10月10日(金)の終値は153円。1単元100株なので、1万5620円で株主になれます。配当も実施され、1単元100株を保有すると2年以上3年未満の保有で1500dポイント、5年以上6年未満の保有で3000dポイントが貰えます。
F1ファンに向けては前出の本田技研工業以外、F1の運営権を持つリバティメディアが米国のNASDAQに上場しています。FWONA(リバティ・メディア・コーポレーション・フォーミュラ・ワン)は10月10日(金)の寄り付き前時点で95ドル33セント。1株単位での取り引きが可能で、日本円にすると1万4567円42銭とお手頃です。しかし、ドル円という為替の影響を受けますし、株式初心者には少々ハードルが高いでしょう。
では、積極的な“推し”が無いモータースポーツファンにはサイバーエージェントなども選択肢になるでしょう。こちらは配当を実施しているだけでなく、モータースポーツ番組の配信に積極的なABEMA TVへ経営的に深く関与しています。そして株主優待として、1単元100株を保有すれば3ヵ月の利用料無料クーポン、5単元500株以上を保有すれば12ヵ月の利用料無料クーポンを貰えます。
いずれにせよ、自動車メーカーや/チームのグッズを買って応援する以外にも、自動車レースに関わる会社の株主になって、配当や優待を毎年頂きながら応援というかたちがあるのです。銀行預金は相変わらずの低金利でなかなか増えない、その一方で円安が進んで日本円の価値がますます低下し、並行して物価高も進んでいるのが実情です。
日本政府はNISAという仕組みを用意して、銀行預貯金から株式投資へ日本国民に奨励しています。もし、ファンの皆さんが低金利の銀行預金で「ぜーんぜん利子が付かないなー」と感じていらっしゃるとしたら、株式投資はひとつの手段。もちろん、株式投資は自己責任です!