2025.10.11

株主になってモータースポーツを応援?! 経済面で一歩踏み込んだ『推し活』


2025年スーパーGT第5戦鈴鹿のGT500決勝スタートシーン
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 モータースポーツファンならば誰もが大なり小なり、“推し”の存在があると推察致します。自動車メーカーやドライバーやチーム、あるいはレースクイーンやスポンサーが対象というファンもいらっしゃるでしょう。

 ファンの“推し活”は、サーキットへ足を運ぶ、イベントに顔を出す、グッズを購入するなどの行動として現われます。では、もう一歩足を踏み込み、『自動車レースに関わる会社の株主になって“推し”自動車メーカーやチームなどを応援』という手法はいかがでしょう?

 10月6日(月)の東京株式市場は、自由民主党・新総裁に高市早苗氏が選出されて初の取り引きとなりました。市場はこれを好感したのか、日経平均株価(日経225)は一時4万8000円を超え、終値でも過去最高値更新となる前日比2175円高の4万7944円76銭となりました。

 7日(火)の終値は前日比6円12銭高の4万7950円88銭に留まり、8日(水)の終値は前日比215円89銭安の4万7734円99銭。それでも9日(木)は反発して、終値は前日比845円45銭高の4万8580円44銭でした。終値で4万8000円台に乗せたのは史上初めてです。

 ところが10日(金)は反落して、終値は前日比491円64銭安の4万8088円80銭。しかも、東京株式市場が閉ったあと、公明党は自由民主党との連立から離脱すると発表しました。週末3連休明けとなる14日(火)の東京株式市場は、いったいどのような反応をするのでしょうか。

 このように右往左往の東京株式市場ですが、そもそも過熱感のあったところに先行き不透明な政治のニュースが降り注ぎ、もしも株価が大きく下げたら買い時と言えるかもしれません。では、具体的にどのような会社の株式購入がファンの“推し活”になるのでしょうか、見ていきましょう。

 候補となり得る会社の株価情報は下記のとおりです(10月10日終値時点)。なお、会社名の後ろに括弧付きで記した4桁の数字は、“証券コード”あるいは“銘柄コード”とも呼ばれるもの。この“数字”と“株価”を検索エンジンに打ち込めば、会社の最新株式情報にたどり着きます。

企業名(証券コード)株価配当利回り(会社予想)PER(会社予想)PBR(実績)Mix係数株主優待
トヨタ自動車(7203)2、895.5円3.28%14.2倍1.05倍14.91
本田技研工業(7267)1、556円4.50%15.57倍0.54倍8.4
日産自動車(7201)358.1円0.00%0.26倍×
SUBARU(7270)3、057円3.76%13.97倍0.83倍11.59×
オートバックスセブン(9832)1、528円3.93%14.63倍0.91倍13.31
東京ラヂエーター製造/TRS(7235)1、274円3.57%9.62倍0.55倍5.29
ウェッズ(7551)618円4.37%7.57倍0.59倍4.46
KDDI(9433)2、354.5円3.40%12.52倍1.82倍22.78
NTT(9432)152.8円3.47%12.16倍1.34倍16.29
Keeper技研(6036)3、615円1.66%13.70倍5.47倍74.93
サイバーエージェント(4751)1、660円1.02%27.12倍4.88倍132.34

 自動車メーカーは4社を採り上げました。トヨタ自動車と本田技研工業(ホンダ)は配当を実施しているだけでなく、抽選ながら自動車レース観戦の招待も実施しています。トヨタはWEC世界耐久選手権と全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパー耐久、本田技研工業はスーパーGTのほかにホンダジェット体験会も。なお、経営再建中の日産自動車(ニッサン)は、残念ながら配当も株主優待もありません。

 一方、モータースポーツにスポンサーする上場企業どうでしょう? スーパーGTに参戦しているTEAM IMPULのスポンサーを務める東京ラヂエーター製造(TRS)は、配当を実施しているだけでなく、1単元100株を保有すると500円相当のオリジナルQUOカードを貰えます。さらに1000株を1年以上継続保有すると、スーパーGT観戦チケットが抽選で貰えます。

 同じくスーパーGTに参戦しているTEAM UPGARAGEは、母体がアップガレージグループとして上場しています。配当を実施しているだけでなく、1単元100株を保有するだけで3000円相当のお買い物割引クーポン券、抽選でスーパーGT観戦チケット(グリッドウォーク/駐車券付き)を各大会2組が貰えます。

 スーパーGTだけでなくスーパーフォーミュラでもスポンサードを実施しているオートバックスの母体オートバックスセブン。こちらは配当を実施しているだけでなく、株主優待としてオートバックス限定Vポイントが保有株数に応じて貰えます。1単元100株で1000ポイントを頂けるという内容です。

 同じくスーパーGTに参戦しているTGR TEAM WedsSport BANDOH。アルミホイールを中心に自動車用品の卸売を展開する同チームのメインスポンサーであるウェッズは、配当を実施しているだけでなく、お買い物券やQUOカードを株主優待として用意しています。

GT300クラス決勝スタート
GT300クラス決勝スタート 2025スーパーGT第6戦SUGO

「そんな二桁万円の投資は無理!」という方は、スーパーフォーミュラに参戦するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGに関連してNTTなどもあります。NTTドコモはNTTの完全子会社で、NTTの10月10日(金)の終値は153円。1単元100株なので、1万5620円で株主になれます。配当も実施され、1単元100株を保有すると2年以上3年未満の保有で1500dポイント、5年以上6年未満の保有で3000dポイントが貰えます。

 F1ファンに向けては前出の本田技研工業以外、F1の運営権を持つリバティメディアが米国のNASDAQに上場しています。FWONA(リバティ・メディア・コーポレーション・フォーミュラ・ワン)は10月10日(金)の寄り付き前時点で95ドル33セント。1株単位での取り引きが可能で、日本円にすると1万4567円42銭とお手頃です。しかし、ドル円という為替の影響を受けますし、株式初心者には少々ハードルが高いでしょう。

 では、積極的な“推し”が無いモータースポーツファンにはサイバーエージェントなども選択肢になるでしょう。こちらは配当を実施しているだけでなく、モータースポーツ番組の配信に積極的なABEMA TVへ経営的に深く関与しています。そして株主優待として、1単元100株を保有すれば3ヵ月の利用料無料クーポン、5単元500株以上を保有すれば12ヵ月の利用料無料クーポンを貰えます。

 いずれにせよ、自動車メーカーや/チームのグッズを買って応援する以外にも、自動車レースに関わる会社の株主になって、配当や優待を毎年頂きながら応援というかたちがあるのです。銀行預金は相変わらずの低金利でなかなか増えない、その一方で円安が進んで日本円の価値がますます低下し、並行して物価高も進んでいるのが実情です。

 日本政府はNISAという仕組みを用意して、銀行預貯金から株式投資へ日本国民に奨励しています。もし、ファンの皆さんが低金利の銀行預金で「ぜーんぜん利子が付かないなー」と感じていらっしゃるとしたら、株式投資はひとつの手段。もちろん、株式投資は自己責任です!

投資を通じたモータースポーツへの“推し活”の極端な例であるローレンス・ストロール。推しである息子ランスのためにF1チームを買収するだけでなく、チーム力強化へ向けた投資を継続している

■本記事内株価情報の表組みについて

※株価/配当利回り/PER/PBRは2025年10月10日(金)、東京証券取引所における大引け後の数値で、Yahooファイナンスを参照しています。
※配当利回り/PER/PBR/Mix係数は、株価の上げ下げなどによって変動します。
※PERとは株価収益率(Price Earnings Ratio)」の略で、現在の株価がその会社の利益に対して割高か割安かを判断するための代表的な指標。簡単に言えばPERが10倍であれば、会社の利益の10年分先まで信用して投資家が買っているイメージ。PERが30倍であれば、会社の利益の30年分先まで投資家が信用して買っているイメージ。PERが高いほど将来を期待されている会社であると理解してください。
※PBRとは株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)の略で、会社が保有している純資産に対して株価が高いか安いかを見る代表的な指標です。たとえばPBRが1倍というのは、仮に会社がいますぐ解散しても現在の株価と同じだけの株価で売れるという意味。PBRが0.5倍というのは、仮に会社がいますぐ解散しても現在と同じだけの株価で売れるだけでなく、しかも会社には資産が残されるという意味。株価は割安と言えますが、一方で投資家からは将来性や成長性の無い会社と見なされている可能性があります。PBRが3倍というのは、純資産の3倍でも買いたいという積極的な投資家の居る会社で、成長性や今後の収益が期待されているという意味です。
※Mix係数はPER×PBRで算出され、10倍以下は株価的に割安、10〜25倍は標準、25倍以上は割高とされています。もっとも、Mix係数が低ければ良いというものではなく将来性や成長力が期待されていない会社かもしれません。反面、Mix係数が高いほど将来性や成長力が期待されている会社とも言えます。
※株主優待を導入している会社は〇、導入していない会社は×で表記しています。株主優待の内容は会社により、また保有株数や保有期間によって異なります。配当にしても株主優待にしても、株主として記載される時期は会社によって異なりますので、それを逃すと権利を得られません。配当も株主優待も内容の変更、廃止や新設などがありますので、該当する会社のホームページで必ず確認してください。


(Text:Kojiro Ishii)

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