徐々に縮まるマクラーレン勢との差。レッドブルはマシン開発を継続、今後もアップデートを予定【トップチーム密着】
マクラーレンがF1第18戦シンガポールGPでコンストラクターズ選手権2連覇を達成した。マクラーレンが2年連続でコンストラクターズチャンピオンに輝くのは、アイルトン・セナがいた時代の1990年と1991年のマクラーレン・ホンダ以来、実に34年ぶりの快挙。このときのマクラーレン・ホンダはその2年前の1988年から4連覇だった。
この4連覇中のマクラーレンは、ドライバーズ選手権も同時に4連覇し、4年連続でダブルタイトルを獲得していた。昨年、ドライバーズ選手権を逃しているマクラーレンとしては、ランキングでトップ2を独占している今年こそは、是が非でもダブルタイトルで現行レギュレーション最終年を締めくくりたいところだ。
しかし、ランド・ノリスがポール・トゥ・ウィンを飾った昨年の強さは今年のシンガポールGPでは感じられなかった。アンドレア・ステラ代表によれば、「ストップ・アンド・ゴー・タイプのコースは、今の我々のマシンには向いていない。アンダーステアを抱えているため、ステアリングを切ってもフロントが入らず、マシンが曲がらない」という。
そして、厳しい表情でこう続けた。
「昨年のラスベガスGPと同じ症状だ。フロントタイヤが入りにくいコース、たとえば今年のモントリオールでもメルセデスが勝った。フロントタイヤが入りにくいコースではメルセデスが上位に来る(注:ジョージ・ラッセルは昨年のラスベガスGPも今年のカナダGPも優勝している)」
また前半戦の状況を考えて、開発を早期に2026年へ移行していることも、終盤戦に向けてマクラーレンとしては懸念しているところだ。
これに対して、今年のシンガポールGPでメルセデスに続いて2位でフィニッシュしたマックス・フェルスタッペンが所属するレッドブルは、シンガポールGPでも新しいパーツを投入してきた。その理由をローラン・メキース代表は自信のある表情でこう説明した。
「2026年にレギュレーションが大きく変更するものの、そのレギュレーションに合わせたマシンの開発は、同じツールと同じ方法論で行う。今年の前半まで我々が苦しんでいたのは、まさにそこだ。データ解析の方法が正しいのか、あるいは開発手法が正しいのかを検証するためには、開発を止めないほうがいいという結論に達した」
チーム関係者によれば、第19戦アメリカGP以降もなんらかのアップデートパーツを投入する予定だという。
2024年と2025年のシンガポールGPを追えた段階でのドライバーズ選手権のトップ3のポイントは以下の通りだ。
■2024年
1位:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)/331点
2位:ランド・ノリス(マクラーレン)/279点(-52点)
3位:シャルル・ルクレール(フェラーリ)/245点(-86点)
■2025年
1位:オスカー・ピアストリ(マクラーレン)/336点
2位:ランド・ノリス(マクラーレン)/314点(-22点)
3位:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)/273点(-63点)
コンストラクターズ選手権は制したものの、イタリアGPから3戦連続でポールポジションと優勝を逃しているマクラーレン。一方、直近の3戦で2勝、2位1回のフェルスタッペン。ドライバーズ選手権においては、マクラーレンとレッドブルの力関係は前半と逆転しようとしている。