2025.10.10

マクラーレンとパロウ側が法廷で真っ向対立。契約違反で30億円の賠償求めるブラウンに対し「F1を餌にだました」との糾弾


2025年インディカー第16戦ミルウォーキー アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)
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 今週、ロンドンの高等法院で、マクラーレン・レーシングCEOザク・ブラウンと、4度のインディカー王者アレックス・パロウ側の弁護士団との間で激しい応酬が繰り広げられた。両者は2000万ドル(約30億円)規模の損害賠償をめぐる契約紛争を繰り広げている。

 マクラーレン・レーシングは、パロウが2023年にアロー・マクラーレンでレースに参戦する契約を破棄したとして、彼に対して約2000万ドルの損害賠償を求めている。一方パロウ側は、ブラウンはF1の栄光を約束する虚偽の発言を常習的に行い、人々をその気にさせておいて裏切ってきたと批判、パロウもそのひとりであると主張した。

 ロイター通信の報道によれば、法廷では、約束違反や削除されたメッセージをめぐる告発が飛び交い、非常に緊迫した雰囲気に包まれていたという。

 火曜日、鋭い舌鋒で知られるニック・デ・マルコ弁護士率いるパロウ側の法務チームは、パロウには何の支払い義務もないと主張、マクラーレンはF1の夢を餌にしてパロウをだましたと非難した。彼らによれば、チームはパロウに「実現することのないF1シート」という幻想を与えたという。

 デ・マルコにより、ブラウンは「F1での栄光という虚偽の約束」をしたこと、さらにはドライバーたちを煽っておきながら「最終的には裏切った」と糾弾された。

 パロウがマクラーレンと契約した唯一の理由は、F1に参戦することだったと、デ・マルコは主張した。ところが、2023年シーズンに向けて、ランド・ノリスのチームメイトとしてオスカー・ピアストリの名が発表され、パロウは自分は「だまされた」と悟ったという。

アレックス・パロウ(マクラーレン)
2022年F1第19戦アメリカGP アレックス・パロウ(マクラーレン)

 しかし、ブラウンはこれに真っ向から反論した。

「私はアレックスをだましたことなど一度もない。彼が2023年の候補になるとは一度も言っていない……F1に参戦する可能性がある状態だっただけだ」とブラウンは断言し、マクラーレンがパロウを欺いたという主張を完全に否定した。

 ブラウンは証言書の中で、パロウを「真の才能の持ち主」でありF1で成功できる可能性を持った人物と評したが、期待値は常に明確に管理されていたと強調した。

 ピアストリは1年契約での採用であり、パロウはマクラーレンのF1ドライバーのどちらかが負傷で欠場した場合の「プランB」として位置づけられていたと、ブラウンは指摘した。

「プランCは、ルーキーのピアストリが結果を出せなかった場合、2024年にパロウをその後任とすることだった」とブラウンは主張した。

 ブラウンはまた、代役出走をきっかけにフルタイムのF1ドライバーへと昇格したオリバー・ベアマンやニック・デ・フリースの事例にも触れた。

ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシングCEO)
2025年F1第14戦ハンガリーGP マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウン

 ブラウンが冷静さを保とうとするなか、反対尋問は次第に攻撃的な色を強めていった。デ・マルコはマクラーレンのCEOは「証言が回避的で不誠実だ」と非難し、パト・オワードを含む他のドライバーとのWhatsAppメッセージの消去についても問い詰めた。

「あなたはこの事件に関する証拠を破壊した」とデ・マルコは言い放った。

「あなたは、メッセージ消去機能をオフにするよう指示されていたにもかかわらず、そうしなかった。不利な結果を恐れたからだ」

「弁護士たちからメッセージを削除するなと言われた後も削除を続け、スタッフにも同様に指示した」

 シンガポールGPでマクラーレンの2年連続F1コンストラクターズタイトル獲得を祝った後、帰国したばかりのブラウンは、あまりに踏み込みすぎる質問に対しては容赦しなかった。

 デ・マルコが「あなたの証言はまったくのでたらめで、その場で作り上げたものだ」と言い放つと、ブラウンは「でたらめを言っているのはあなたの方だ」と即座に反撃した。

 審問は水曜日以降も続けられており、新たにどのような証言が出てくるのかが注目される。



(autosport web)

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