今季未勝利のフェラーリ、代表は「あらゆる面で改善が必要なのは明らか」と認める一方で人材流出報道を否定
フェラーリのフレデリック・バスール代表は、今年フェラーリの勝利がないのは、多くの優秀な人材を主にアストンマーティン、また現在ではキック・ザウバーに取られたためだという噂を激しく非難し、F1第17戦アゼルバイジャンGPの終わりにイタリアのF1のテレビ放映権を持つ『Sky Sport』から質問された際、そのような話は「冗談だ」と主張した。
フェラーリが勝てなくなると、イタリアは危機に陥る。それは何十年も前からよく知られていることだ。国の経済がよいか悪いか、国が自然災害に見舞われたか、政府が崩壊したかどうかは、実際には問題ではない。イタリアで国を停止させる可能性があることはふたつしかない。教皇の死か、フェラーリがレースに勝てないことだ。そして今年、イタリア国内ではこのふたつの出来事が起きているため、他の事柄がトップ記事になることはほとんどない。
しかしながらバスールは、自身についての報道にはまったく取り合わず、イタリア人記者に「マラネロから人が流出しているという話は冗談だ」と率直に語った。
「人材の入れ替わりは常にある。この18カ月に他のチームから60人を採用したが、他チームからの流出の記事は一切ない」
「我々は勝てるチームだと確信しているが、あらゆる面で改善の必要があるのは明らかだ。しかし、私はこうしたすべてのことをまったく恐れていない。我々はプッシュし続け、より積極的に機会を捉える必要がある」
パワーユニット部門のエンジニアの多くがマラネロを離れ、元フェラーリ代表のマッティア・ビノットが率いるアウディのF1プロジェクトに参加している。その一方、レッドブル・パワートレインズの高額な給与のオファーに誘い込まれた者もおり、こうしたニュースが一面を飾ってはいるものの、内容についてはほとんど何も書かれていない。
「平均すると、我々は年間約100名を採用するが、さらに100名が退職する。我々は、優秀な成績で大学を卒業した新卒者の約30%から40%を採用している。また、他のチームの人材もターゲットにしているので、ほぼ毎年、50人から60人がパドックからやって来る。それは他のチームも同じだ」
どうやら、イタリアのメディアはフェラーリに特に焦点を当て、マラネロでの採用や退職について詳細に記事を書いているのに対し、イギリス、ドイツ、フランスのメディアは、自国に拠点を置くチームやマニュファクチャラーに何が起きているかということを、イタリアのように詳しく追求していないところに違いがあるようだ。しかし、フェラーリはイタリアでは宗教のようなもので、バスールはそのことと共存する方法を学んでいる。そして彼の主な課題は、マラネロのような労働環境を大きく混乱させる可能性のある記事から、チームを隔離し続けることだ。