2025.09.29

2026年契約がいまだまとまらず。希望条件がことごとく却下されたラッセル、将来のメルセデス離れに向けて準備を始めるか


2025年F1イタリアGP メルセデスのジョージ・ラッセル、アンドレア・キミ・アントネッリ、トト・ウォルフ代表
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 メルセデスのジョージ・ラッセルとトト・ウォルフは、2026年の契約をめぐり、まるでチキンレースをしているかのようだ。メルセデスにとっては、来年に向けて、ラッセル以外のトップドライバーが市場に存在せず、一方でラッセルにとっても、競争力のあるチームに移籍可能な空席はない。

 そのため、ラッセルとメルセデスは遅かれ早かれ契約を更新せざるを得ないことは明らかであり、チーム代表ウォルフが何度か説明しているように、「急いでいるわけではない。更新は必ずなされるが、まだ完了してはいない」という状況なのである。

 ラッセルは、マックス・フェルスタッペンがレッドブルを離れてメルセデスに移籍する可能性がまだ残されていたシーズン前半には、自分がシートを失う脅威にさらされていることを認識していた。ウォルフは、フェルスタッペンの来季加入の可能性を交渉カードとして利用し、ラッセルに対して彼が要求していたよりもはるかに低い年俸を提示し、1年契約のみという条件から決して譲歩しなかった。

メルセデスのジョージ・ラッセルとトト・ウォルフ代表
2025年フィルミングデー メルセデスのジョージ・ラッセルとトト・ウォルフ代表

 メルセデスの関係者によれば、ラッセルの要求は3年間の契約と、マクラーレンがランド・ノリスに支払っている年額(約2000万ドル=約30億円と考えられている)と同等の年俸を受け取ることだったという。しかしウォルフはラッセルのサラリーを増額する用意はあるものの、彼が希望する半額以上は支払うつもりがなかった。

 現在ラッセルは、1年契約を受け入れることに決めたとされているが、給与面での要求は譲らず、契約にパフォーマンス条項を組み込むことを望んでいる。その条項により、フェルスタッペンがメルセデスに移籍する可能性がある2027年以降も、自分の契約を維持できるような状況を整えたいとラッセルは考えているのだ。

 ラッセルは、ルーキーのチームメイト、アンドレア・キミ・アントネッリとの相対的なパフォーマンスに基づく条件を盛り込むことを希望しているようだ。現時点ではラッセルはアントネッリより速く、安定している。強い自信を抱いているラッセルは、チームメイトをある程度のポイント差で上回り続けた場合、新契約を得られるという取り決めを望んでいる。

 一方、ウォルフはラッセルの新契約に特別な条件を付けるつもりはなく、単純な1年契約を提示しているようだ。

 両者の交渉に詳しい関係者によれば、合意を遅らせているのはウォルフの方であり、彼はひたすら自分が望む条件をラッセルに受け入れさせようとしているという。

 ラッセルはメルセデスのマネジメント下にあるものの、2027年以降のドライバーマーケットにおいてより有利な立場を得るため、独立したマネージャーを雇うことを真剣に検討している。

 2026年末には多くのドライバーの契約が切れるため、ラッセルは可能な限り早く、活動を始めたいと考えている。フェルスタッペンがメルセデスに加入し、ウォルフがお気に入りのアントネッリをチームにとどめることにこだわる可能性をラッセルは恐れている。その場合に備えて、ラッセルはチームと結んでいるマネジメント契約から脱却し、自分の市場価値を高めたいと考えているのだ。

優勝のジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第10戦カナダGP 優勝のジョージ・ラッセル(メルセデス)



(Text : GrandPrix.com)

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