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グランプリのうわさ話:偶然が重なった元チームメイト同士の旅
事件はサーキットの外でも起きている。もちろん、サーキットの中で起きているのは言うまでもない。水面下で蠢くチーム、ドライバー、グランプリにまつわる未確認情報を調査員が独自に調査。送られてきた報告書を公開する。
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シャルル・ルクレールとカルロス・サインツは、一晩だけ“チームメイト”に戻った。彼らは日曜夕方にプライベートジェットでバクーを出発したが、目的地のニース・コートダジュール空港が嵐で閉鎖されたため、ジェノバのクリストフォロ・コロンボ空港に着陸せざるを得なくなったのだ。
F1ドライバーがグランプリへの往復にプライベートジェットを共有するのはよくあることだ。特にレースがヨーロッパや中東で開催される場合、かなり多くのドライバーがニースを拠点とするので、フライト費用を分担できるからだ。
たとえばマックス・フェルスタッペンは自分のプライベートジェットを所有しており、他のドライバーを同乗させてコストを削減している。またランド・ノリスはアゼルバイジャンGP前の水曜日に、ニコ・ヒュルケンベルグ、エステバン・オコン、オリバー・ベアマン、ジャック・ドゥーハンと、ニースからバクーまでプライベートジェットを乗り合わせた。一方でルクレールとサインツは、別の飛行機で一緒に移動した。
■regist■ふたりの元チームメイトは、飛行機がジェノバに着陸した後、月曜日の早朝に帰国する方法を見つけなければならなかった。驚いたことに、彼らの着陸時に営業していたレンタカー会社は1社だけだった。他のすべての会社は、午後11時以降は定期便が着陸しないため、その時間には閉店してしまうのだ。そして、レンタルできたクルマは商用バンだった!
それがきっかけで、ルクレールはソーシャルメディアに何度か面白い投稿をした。サインツはモナコまでの2時間強の旅でずっと運転手を務めた。モナコ出身のルクレールは、「バクーでのとても厳しい週末の後、これ以上悪くなることはないと思っていたけれど……」と自ら撮影し、その後サインツのほうを向くと、サインツは笑いながら「嵐のために迂回したので、ニースに着陸できなかった。それで僕たちはイタリアの真ん中に着陸し、バンを借りて、今はモナコに向かっているんだ」と説明した。
It was a tough weekend from the beginning to the end…
— Charles Leclerc (@Charles_Leclerc) September 23、 2025
10/10 Chauffeur to go back home though: @antoinetruchet pic.twitter.com/qyCwBLuRqF
F1パドックを包むよい雰囲気は、多くのドライバーが親しい友人同士であるというだけでなく、チーム代表同士も素晴らしい関係を築いているという事実があるためだ。トト・ウォルフとフレデリック・バスールが非常に親しいのはよく知られている。バスールは、ウォルフとスージー・ストッダートの結婚式で花婿介添人を務めたほどだ。フェラーリのボスは、ほぼ必ず時間を見つけて、レッドブルの新代表であるローレン・メキースや彼のテクニカルディレクターのピエール・ワシェと土曜の夜に一杯飲んでいる。また、パドックではライバル関係を捨てて、異なるチームの人々が親しい友人となる例が数多くある。
先週日曜日、バクーでカルロス・サインツが2台のメルセデス車の間を縫うような素晴らしいレースを展開して3位に入った後、トト・ウォルフは元メルセデスのジェームズ・ボウルズがチーム代表として初めて表彰台獲得を祝うのに手を貸すことにした。
AMGメルセデスの黒いバッグに、モエ・エ・シャンドンの伝統的なボトルのシャンパンと、ボウルズ好みのスナックであるマルティネリのアップルジュースの小瓶にナポリタン・マナーのウエハースの箱が詰められた。そして「幸運な奴め! TP(チームプリンシパル)として初の表彰台獲得おめでとう!」とのメッセージが添えられた。
ボウルズはテレビインタビューの最中にパドックで贈り物を受け取り、ソフトドリンクとウエハースは「私のお気に入りのもの」だと明かした。一方ウォルフは、「幸運な奴というのは、もっと陽気なものだ」と強調し、「チーム代表として、我々は多くの批判を受けるが、他の人が素晴らしい仕事をしているときには栄光がある。そして私は、ジェームズがチームの成功と長期的な考え方に大きく貢献していると100%確信している。全員が結果を出した。ドライバーが結果を出した。ピットストップは全体的に素晴らしかった。彼とチームによるこの軌跡を見るのは、私にとってうれしいことだ」と語った。
F1はバクーでの開催を機に、アゼルバイジャンとの契約をさらに3年間延長した。つまり、少なくとも2030年末までは同国の首都のストリートでグランプリが開催されることになる。アゼルバイジャンはサウジアラビアとカタールに次いで、最も高額の報酬を支払うプロモーターのリストに非常に近いため、契約延長の発表は驚きではない。なお、現在では契約終了が近づいている3つのグランプリに注目が集まっている。
バルセロナとオースティンの契約は双方とも今年末に終了するが、契約更新の交渉は行われていない。数週間前に明らかになったように、アメリカのプロモーターは契約延長に十分自信を持っており、来月のアメリカGP中に発表が行われる可能性が高い。
バルセロナも新たな契約を得られると確信している。しかしドメニカリが提供できるのは、ベルギーGPと、おそらくドイツとトルコのレースも含むローテーションシステムのなかの1枠だけなので、グランプリをカレンダーの恒久的なイベントとして維持するというカタルーニャ側の計画は達成が困難と思われる。
次にラスベガスのケースだが、同大会は2027年末までさらに2年間開催される予定だ。リバティ・メディアにとって、今年と来年の大会の商業的な成果は、このイベントへの投資を継続することが理にかなっているかどうかを判断する決め手となる。