衝撃の事故でF1キャリアを終えたグロージャン、ハースで5年ぶりの走行「引退戦のやり直しができた」拍手喝采に涙
ロマン・グロージャンは、9月26日、ハースのTPC(Testing of Previous Cars/旧型車テスト)に参加し、約5年ぶりにF1マシンで走行する機会を得た。
2016年から2020年までハースに所属したグロージャンは、2020年バーレーンGP決勝1周目に衝撃的な大クラッシュを喫した。バリアに激突したグロージャンは、炎上するマシンから脱出、見守るすべての人々を安堵させたが、両手にやけどを負い、シーズン残り2戦は欠場しなければならなかった。そのため、このバーレーンGPが、グロージャンのF1キャリア最後のグランプリとなった。
今週ハースはイタリアのムジェロ・サーキットでのTPCを、グロージャンにとって約5年ぶりのF1走行の場として活用することを決めた。グロージャンは26日早朝、スペシャルデザインヘルメットをかぶって2023年型マシンVF-23に乗り込んだ。このヘルメットは、彼にとって最後のF1レースとなるはずだった2020年アブダビGPに向けて、子どもたちがデザインしたものだった。
この日は、グロージャンがハースに所属していた時代のオリジナルクルーたちが集結、かつてレースエンジニアを務めた現チーム代表小松礼雄らが、グロージャンをサポートした。
また、この日、ムジェロを訪れていたフェラーリ、ピレリ、レッドブルも、グロージャンの走行を見守った。ムジェロではピレリが2026年用タイヤテストを行っており、25日にはハース、26日にはフェラーリが走行。また、レッドブルは、ジュニアドライバーのアービッド・リンドブラッドのためのTPCテストを行っていたといわれている。
当日は雨が降り、あいにくの天候だったが、グロージャンにとって、素晴らしい一日になったという。
「あのバーレーンから5年たち、今日、ここムジェロにいる。マネーグラム・ハースF1チームに心から感謝したい。本当に特別な一日だった。(チームオーナーの)ジーン・ハースと小松礼雄、彼らのおかげで実現した」と走行後にグロージャンは語った。
「雨が降ったが、結婚式で『雨の日は幸せな結婚式』と言うように、雨の日は幸せな日だ。最初は少し勘が鈍っているように感じたが、すぐにすべてが戻ってきた。スタンディングスタートもやらせてもらえた。最後にスタンディングスタートをしたのは、2020年のバーレーンだったが、今回の方がずっと良かったよ!」
「本当に特別な機会だった。2016年オーストラリア(ハースのデビューレース)にいた人たちに再会でき、新世代のマシンを走らせることができた。素晴らしかった。心から感謝している。感謝の言葉しかない」
「最後には泣かされた。バイザーを下げたままにしていたが、最後のインラップではフェラーリ、レッドブル、ピレリ、そしてもちろんマネーグラム・ハースF1チームの皆が拍手を送ってくれて、スタンディングオベーションを受けたんだ。2020年アブダビで起こるはずだったことだけど、今日の方がはるかに良かったと思う」