フェルスタッペン戴冠の可能性は「ゼロじゃない」とノリス。敬意と他カテゴリー出場への羨望を語る/F1第18戦木曜会見
今週末の2025年F1第18戦シンガポールGPでは、F1史上初めて『熱中症警報』が発令され、クーリングベストの着用か、ベストを着用しない場合は同じ重量のバラストを搭載することが義務付けられた。この措置はドライバーにとって、どんな意味があるのだろう。
Q:F1で初めて、『ヒートハザード』が出ました。
ジョージ・ラッセル:義務化されたのはいいことだと思う。全員が快適に感じるわけではないけど、人によっては問題なく使えるし、好みに合わせて調整もできる。湿度90%で、コックピットのなかが60度近くになるここの状況は、まるでサウナみたいだからね。みんな歓迎していると思う。
Q:ドライバーによっては「走っていて不快だ」と言っています。具体的に、どう不快なんでしょう? 動きのせいですか? あるいは単に一枚余分に着るからですか?
ラッセル:僕の場合でいうと、背中のチューブと前のチューブが繋がっていて、それが肋骨のあたりを回ってくる。そうすると高速コーナーを通過するときに横Gでそのチューブが肋骨の横に当たる。それが最初はかなり問題だった。改良されてよくなったけど、それでもチューブが肋骨のあたりを通っているのは事実で、ベストな位置とは言えない。ただ、シンガポールは高速コーナーや横Gが大きい場面は少ないから、大きな問題にはならないと思う。
今週末のシンガポールは、ピットレーン速度制限も緩和された。これまではピットロスが大きいことから1ストップが主流だったが、これで戦略は変わるだろうか。
Q:ピットレーンの速度が時速60kmから時速80kmに変更されました。戦略にどう影響しますか?
アイザック・ハジャー:シンガポールは初体験だからね。時速60kmさえ経験したことないから気にならないよ。2ストップが現実的になるなら、いいことだと思うけど。
シャルル・ルクレール:ピットでのロスが減るから、2ストップの可能性は高くなりそうだ。でも抜きにくいコースだから、頻繁に止まりたくはない。タイヤのデグラデーション次第だね。
アレクサンダー・アルボン:選択肢は増えるけど、抜きにくいのは変わらないからね。
F1主催者側は今季いくつかのサーキットで、タイヤコンパウンドを一段階ずつ柔らかくするなどして、なんとか2ストップレースを増やそうと躍起だった。しかし結果的に1ストップが主流の状況は変わっていない。
直近2連勝でチャンピオン候補に再び名乗りを上げた形のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のことも、会見では色々と話題に上がった。まずはフェルスタッペンのタイトル獲得の可能性についてだ。
Q:フェルスタッペンがタイトルを獲る可能性をパーセンテージで表すとどれくらいですか?
ランド・ノリス:可能性はある。ゼロじゃない。正確な数字は分からないけどね。でもチャンスはある。
エステバン・オコン:マックスがチャンスを見つけた時にどれだけ危険な存在になるか、僕らはみんな知ってる。だから、競争力のあるクルマがシーズン最後まであれば、取り返す可能性は十分あるよ。
Q:ジョージは?
ラッセル:100%!
オコン:いい友達だね(笑)。
Q:シャルルは?
ルクレール:20%というところかな。ポイント差がかなり開いてるしね。確かに低ダウンフォースのモンツァ、バクーではレッドブルはすごく強かった。でもここからはマクラーレンがシーズンの大半で見せてきた速さに戻ると思う。モンツァで持ち込んだアップデートはかなり効いていたみたいだけど、高ダウンフォースのトラックでマクラーレンを倒すほどではないと思う。奇跡は起きにくいと思うけど、まあ何があるかは分からないね。
Q:アイザックは?
ハジャー:シャルルの言う通りだと思う。20%くらいかな。いや、それでも高い気もするから、10%くらい? もちろん10%でも十分可能性はあるけどね。
Q:アレックスはどうでしょうか?
アレックス・アルボン:ランドとオスカーが1回クラッシュすれば、一気に混戦になる。でも今は、15%にするよ。
フェルスタッペンはシンガポールに来る前に、ニュルブルクリンクでGT3レースに出場した。これには特にノリスが、羨望を隠さなかった。
Q:F1ドライバーが完全に違うカテゴリーのイベントに出ることについてどう思いますか? あなたも将来ル・マン24時間レース参戦の希望を話していましたね。
ノリス:すごくクールだよ。自分がやりたいことをやれるのは素晴らしい。4回も世界タイトルを獲れば、好きなことを選んでやる権利もあるだろうし。ニュルの北コースは僕も大好きだし、いつか走ってみたい場所のひとつだね。ずっと言っているけど、マックスは生まれながらにして最高のドライバーのひとりだし、歴代最高になるかもしれない人だ。彼に挑んで勝つのは本当に難しい。彼に対しては尊敬しかないし、(他カテゴリーへの出場は)本当に素晴らしいことだと思う。僕も機会があればぜひやりたいね。でも将来どうするかは、まだわからないな。ゴルフを楽しんでいるかもしれないし(笑)。
直近2戦で最大のライバルであるチームメイトのオスカー・ピアストリとのポイント差は縮めたものの、伏兵フェルスタッペンが追い上げつつある。今のノリスはF1以外のレースのことより、タイトル獲得のことで頭がいっぱいなのだろう。