2025.11.20
【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:レッドブルのマシンでスイートスポットを見つける難しさ
(c)XPB Images
F1第21戦サンパウロGPではピットレーンスタートから3位表彰台を獲得したマックス・フェルスタッペン。見事な追い上げのレースだったが、チャンピオンシップ争いではポイントがさらに広がってしまった。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがサンパウロGPの週末を語る。
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サンパウロGPの直前に、マックス・フェルスタッペンはこう語っていた。「タイトル防衛の希望をつなぐには、ブラジル、ラスベガス、カタール、アブダビでパーフェクトな週末を送る必要がある」
ところが、サンパウロ市内の伝統的サーキット、インテルラゴスでの週末は、とても完璧とは言えないものだった。スプリントは4位、そしてグランプリの予選も散々な結果で終えたのだ。マックスの予選Q1での敗退は、実に2021年のロシアGP以来のことだった。
選手権リーダーのランド・ノリスは、スプリントをポールポジションからスタートして優勝し、グランプリ予選でもポールを獲得した。これに対してフェルスタッペンは予選16位に甘んじたのである。グランプリ通算68勝をあげている彼は、すっかり打ちのめされていた。「何が起きているのか理解できない。いたるところでスライドしていて、まったくグリップがない。よほど慎重にドライブしないと、クラッシュしてしまいそうだった」
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それでもなお、フェルスタッペンのファンは望みを捨てなかった。2024年のここインテルラゴスでのレースで、彼は17番手グリッドから優勝しているからだ。
マックスは言う。「ああ。だけど、あの時はウェットコンディションのレースだったし、運にも恵まれた。クルマの仕上がりは良くて、ライバルたちのミスを有利に生かすこともできた。今回との比較はできないよ。少しでもポイントを持ち帰れたら、ラッキーと言っていいだろうね」
予選を終えて、レッドブル・レーシングはアグレッシブに事態に対応しようと決めた。なかなか思いどおりにならないRB21のセットアップを根本から変えたのである。フロアをテキサスで使ったものと交換し、車高の設定を変え、さらにフレッシュなエンジンを投入したため、フェルスタッペンはレースをピットレーンからスタートすることになった。
グランプリの決勝は、マクラーレンを駆るノリスの完勝だったが、現世界王者のマックスも驚くべきレースをしてみせた。ようやくスイートスポットをとらえたマシンで、フィールドを一気に駆け上がったのだ。結局のところ、ノリスの後ろ姿が見えるまでにはいたらず、メルセデスのティーンエイジャー、キミ・アントネッリにも巧みにポジションを守られて、フェルスタッペンは3位でフィニッシュを迎えた。それでも見事な挽回には違いない!
誰もが目を見張った戦いを終えて、マックスはこう語っている。「いまはちょっと複雑な気分だ。状況を好転させてくれたチームを誇りに思うけど、ランドには選手権争いでのリードを広げられてしまった。こうなってみると、もし僕らがもう少し早い段階でクルマのスイートスポットを見つけていたら、どうなっていただろうと考えてしまう」
レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは言う。「このクルマが飛躍的に速くなりうることを、今回のレースであらためて確認できた。完璧なワーキングウインドウに入れることさえできれば、だがね。路面温度のほんの2〜3℃の変化や、わずかなセットアップ変更によって、状況は一変する可能性がある」
「レース中にマックスは、いくつかの幸運に恵まれた。だが、その一方で不運もあり、レース序盤にはパンクに見舞われて、予定より早くピットストップをしなければならなかった。2位フィニッシュは十分に可能だったと思う。いずれにしてもノリスには点差を広げられたが、ポイントはもう少し獲れたはずだ」
フェルスタッペンは、選手権リーダーのノリスに49点のリードを許している。これはほぼ優勝2回分に相当する点差で、残るはグランプリ3戦とスプリント1戦しかない。マックスはあくまで正直だ。「タイトルを防衛できる可能性は、ますます希薄になってきたようだ。でも、アプローチを変えるつもりはないよ。このわずかな望みを絶やさないためには、クルマから最高のパーフォマンスを引き出して、ひとつひとつのレースを勝っていくしかない。とはいえ、ランドとのギャップは本当に大きい……」
(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)
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