キャデラックF1初年度のマシン開発は、アメリカの拠点で実施へ。シミュレータードライバーの選択にも影響
キャデラックF1チームのシミュレータードライバーの選択は、同チームが2026年シーズン中は完全に開発されたシミュレーターを持たず、新車の開発とセットアップに関してレースチームを支援するのにアメリカの拠点での作業に頼らなければならないことを明確に示している。
キャデラックF1のCEOであるダン・タウリスが任命した3人のシミュレータードライバーは、全員アメリカを拠点としているため、必要に応じてインディアナ州フィッシャーにあるチームの新ファクトリーに出向いて作業するのに適している。3人のドライバーのうち、ピエトロ・フィッティパルディだけがF1での経験を持つ人物だ。彼は長年ハースのリザーブドライバーやテストドライバーを務め、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年シーズンの最後の2レースでは、負傷したロマン・グロージャンの代役として2回のグランプリに出場した。
フランス人のシモン・パジェノーは、経験豊富ではあるがドライバーとしてF1の経験がなく、彼のレーシングキャリアは終わったように見える。2023年シーズン序盤に遭った大事故の影響をまだ感じているこの41歳のドライバーが、ふたたびレーシングカーのコクピットに戻ることはまずないだろうが、シミュレーターでの作業は実際のレースよりもはるかに体力的負担が少ないため、これが元インディカースターの新たなキャリアの始まりとなるかもしれない。またフィッティパルディはNTTインディカー・シリーズのシートを維持できず、今年はスポーツカーでのレースに移っているため、彼のシングルシーターのキャリアも同様の流れになりそうだ。
チャーリー・イーストウッドという名前はF1ファンにはあまり知られていないが、コルベットのドライバーである彼は、過去にメルセデスのシミュレータードライバーを務めたひとりだ。そのためこのテクノロジーに通じており、当時F1を席巻していたチームで得た経験をチームに持ち込むことができるだろう。
なお、キャデラックのリザーブドライバーが誰になるかは、まだわからない。コルトン・ハータがテストドライバーに任命されたものの、彼はスーパーライセンスの資格がないため、チームはバルテリ・ボッタスまたはセルジオ・ペレスが突然欠場する場合に代役を務める別のドライバーと、来年4回のFP1セッションに参加できる資格を持つドライバーを必要としている。FIA F2に参戦しているレオナルド・フォルナローリとジャック・クロフォードはキャデラックと交渉中とみられているが、アンドレッティのフォーミュラEチームの新ドライバーであるフェリペ・ドルゴヴィッチも、キャデラックのデビューシーズンのレースシートを僅差で逃したため、この候補リストに挙がっているかもしれない。