2025.10.06

【決勝日レポート】
【F1第18戦決勝の要点】伏兵ラッセルの勝利がドライバーズタイトル争いに与えた影響


2025年F1第18戦シンガポールGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)
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 2025年F1第18戦シンガポールGPにおいて、2位となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)をまったく寄せ付けず、ポール・トゥ・ウィンを果たしたジョージ・ラッセル(メルセデス)はレース後、「僕らはここでは、速くないはずだったのにね」と話した。

 前日の予選で圧巻のポールポジションを獲得した際も、ラッセルは同じようなコメントを残していた。

 メルセデスは確かに、ストップ&ゴーレイアウトのマリーナベイ市街地サーキットを苦手にしてきた。コロナ禍以降の過去3年の戦績を見ても、最高位は2023年のルイス・ハミルトンによる3位表彰台に過ぎない。

 それが今年は、予選でコースレコードを2回も更新。とはいえ、長丁場の決勝レースは、リヤタイヤがオーバーヒートしやすいメルセデスにとって苦しい展開になるはずだった。

 ところがその予想に反し、レース周回を重ねても、ラッセルのペースにまったく衰えは見られず。フェルスタッペンに一時は10秒以上の差をつけ、チェッカーまで余裕のクルージングを続けた。

 そんなラッセルの優勝は、ドライバーズ選手権の行方にも少なからぬ影響を与えたと言える。

2025年F1第18戦シンガポールGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

 前戦終了時点では、首位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)を25点差でランド・ノリス(マクラーレン)が追い、フェルスタッペンがさらに44点差の3位という状況だった。マクラーレンふたりとの点差は確かに大きいが、直近の2連勝でフェルスタッペンは勢いに乗っていた。

 しかしそこに、“伏兵”ラッセルが現れた。シンガポールGPは、2008年の初開催からこれまでの15戦でポール・トゥ・ウィンが10回と、モナコGP以上にグリッド順が勝敗を大きく左右する。もしフェルスタッペンがポールポジションを獲得していたら、そのまま3連勝していた可能性は十分にあった。

 しかし、実際にはラッセルがポール・トゥ・ウィンを飾った。2位フェルスタッペン、3位ノリス、4位ピアストリという順でレースを終えた。その結果、ドライバーズ選手権上位3人のポイント差は、ピアストリとノリスが25点差から22点差、ノリスとフェルスタッペンが44点差から41点差と、わずかしか縮まらなかった。

 ピアストリは前戦アゼルバイジャンGPでのリタイアに続き、今回は3番手スタートから4位チェッカーと精彩を欠いた。それでも今回ラッセルが勝ってくれたことで、ノリス、フェルスタッペンとの差はわずかに縮まっただけで済んだ。ピアストリが2戦連続して表彰台を逃したのは今季初めてとなるが、ピアストリにとっては最小限のダメージで済んだ1戦だったと言っていいだろう。

2025年F1第18戦シンガポールGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第18戦シンガポールGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)、ランド・ノリス(マクラーレン)


(Text:Kunio Shibata)

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