第4期に近い数の“優秀で適切な人材”を確保し「振動をどういなすか」に取り組む/ホンダ武石四輪レース部部長インタビュー(2)
メルボルンのアルバートパーク・サーキットで開催されている2026年シーズンのF1開幕戦オーストラリアGPを訪れたホンダ・レーシング(HRC)の武石伊久雄専務取締役兼四輪レース部部長。インタビューのなかで、振動の問題にが表面化した時期や、スタッフの雇用状況などについて語った。
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──2月27日のプレスミーティングで「走行中の複合要因による異常振動によって、バッテリーのシステムがダメージを受けた。それをアストンマーティンと共に解決しようと、開幕に向けて動いています」と語っていました。その対策というのはどのようなものなのですか?
武石伊久雄HRC専務取締役兼四輪レース部部長(以下、武石部長):「エンジンが振動しているのは間違いないですが、その振動をどういなすかというのが対策になってきます」

──振動の問題が表面化したのは、いつくらいからですか?
武石部長:「大きな問題だと認識したのは実走のタイミングなので、1月末のスペイン・バルセロナでのシェイクダウンのときです」
──VTT(Virtual Track Test)を始めたのはいつごろですか?
武石部長:「(2025年の)年末あたりです」
──VTTでは振動はそこまで大きくなかったのでしょうか?
武石部長:「振動はある程度はありました。ただ、ここまで大きなものだと認識したのは実車を走らせたときでした」
──ホンダはこれまでたくさんのエンジンを作り、レースをしてきたわけですが、なぜ今回のエンジンはこれほどまでに振動に悩まされているのですか?
武石部長:「どう言えばいいのかなぁ。エンジンは車体にマウントされていて、エンジンが揺れれば、車体が揺れて、そこに積んであるバッテリーパックなどが揺らされるということです」
──パワーユニット(PU)だけをベンチでテストしていたときも異常振動はあったのですか?
武石部長:「やっぱり、車体との組み合わせのなかで(起きたこと)です。バッテリーパックはダイレクトにエンジンに付いているわけではないですから」
──エンジンが主な振動源であるというわけですが、MGU-Kも振動源になりうる存在だと思います。2025年までと異なるのは、MGU-Kがバッテリーの横に配置されていることです。MGU-Kが原因という可能性はないですか?
武石部長:「もちろん影響がないわけではありませんが、モーターそのものの振動というのは、エンジンに比べたら微々たるものです」

──金曜日の会見でエイドリアン・ニューウェイ代表が「ホンダが再参入を発表したとき、わずか30%程度しかスタッフがいなかった」という主旨の発言をしました。これは本当ですか?
武石部長:「確かに2022年の2月末で開発を止めてからは、さくらから多くのスタッフが別の部署に出て行ったことは事実です。その後、第4期のメンバーも相当戻しました。また、新たに優秀な人材も入れました。私は新たなメンバーだからダメだとは思っていません。経験だけを考えれば、第4期のメンバーよりも少ないかもしれません。でも、優秀で適切な人材を入れています。総数に関しても、第4期に近い数のスタッフが集まっています。ただ、いまの人数にするまでに時間を要したことは認めざるを得ません」
──一部、海外の報道で「ローレンス・ストロールがホンダとの契約破棄を模索している」という報道があります。それは本当ですか?
武石部長:「少なくとも、私は直接、聞いていないというのが事実です。私たちがやるべきことは信頼性を確保して、これからパフォーマンスを上げていくこと。そこに集中してやっていきたいです」
