2025.09.25

「変な音がする」「まだパワーがない」PU関連のトラブルに見舞われたハジャー【F1第17戦無線レビュー(1)】


2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)
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 2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP。赤旗中断を6回も挟んだ波乱の予選を経て迎えた決勝レースは、なんと選手権首位のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がスタートに失敗し、さらにはクラッシュを喫するという、こちらも開始早々に波乱の展開を迎えた。アゼルバイジャンGP前半を無線とともに振り返る。

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 グリッドに向かう周回で、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)がパワーユニット関連の異常を訴えた。

ハジャー:スロットルを開けた時、なんか変な音がする。
ピエール・アムラン:わかった。チェックする。

 ハジャーはいったんガレージに戻り、再びコースに出て行った。

ハジャー:まだパワーがない。
アムラン:わかった。ゆっくりグリッドに戻ってこい。

 油圧系の問題だったようだが、無事にスタートすることができた。

 9番グリッドのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がスタートで大きく出遅れた。挽回に焦ったか、ターン5でクラッシュ。早々にレースを終えた。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が決勝1周目にクラッシュ

トム・スタラード:オスカー、大丈夫か?
ピアストリ:ああ。

 スタート直前に動いてしまい、慌てて止めようとしてアンチストールに入ってしまったようだった。いつも沈着冷静なピアストリにしては珍しいミス。リタイアに加えて、5秒ペナルティも科された。

 左後方にいたルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、これを見逃さなかった。

リカルド・アダミ:(クラッシュは)ピアストリだ。
ハミルトン:ジャンプスタートもやらかしているぞ。

 すぐ後ろ、11番グリッドのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)も、同じように動いていた。

クリス・クローニン:ジャンプスタートで5秒ペナルティだ。
アロンソ:ああ、ピアストリにつられたよ。
クローニン:落ち着こう。レースはまだ始まったばかりだ。

 前方では、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)がエステバン・オコン(ハース)と接触する事故も起きていた。

ヒュルケンベルグ:接触した。(ダメージを)チェックしてくれ。
スティーブン・ぺトリック:タイヤの内圧は問題ない。
ヒュルケンベルグ:どちらかというとフロントウイングだ。ターン6の出口、左フロントのダメージだ。

オコン:右リヤをぶつけられた。
ラウラ・ミュラー:チェックしているが、ダメージはない。

 5周目。7番手のハジャーはパワーユニットの不具合をまだ引きずっているのか、ランド・ノリス(マクラーレン)にあっさり抜かれていった。

ハジャー:申し訳ない。
アムラン:モード9、モード9だ。

ランド・ノリス(マクラーレン)&アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP ランド・ノリス(マクラーレン)がアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)をオーバーテイク

 カルロス・サインツ(ウイリアムズ)は2番手を死守していた。

ガエタン・イエゴ:ターン16の出口で、もうちょっとうまくやろう。
サインツ:無線、少なめにしてくれ。

 10周目、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が角田裕毅(レッドブル)をDRSで抜いて5番手を取り返した。

角田裕毅(レッドブル)&ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP ポジションを争う角田裕毅(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)

マーカス・ダドリー(→ラッセル):グッジョブ。キミ(アンドレア・キミ・アントネッリ)は2秒6前方だ。

 決勝日の降水確率は10%ながら、空はどんよりと曇り、いつ雨粒が落ちてきても不思議ではなかった。

ロナン・オヘア(→オリバー・ベアマン):20分後に雨が降るかもしれない。

11周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):作戦、わかっているよな。マネージメントをしっかりな。

 ハードタイヤでスタートし、第1スティントをできるだけ引っ張る作戦のようだった。

 一方12番手のアロンソは渋滞にハマって、思うように順位を上げられない。

15周目
クローニン:タイヤはいい感じだ。必要なら、いつでもプッシュしていいぞ。
アロンソ:ありがとう。でも君たちはどれほど状況が悪いか、わかっていないみたいだね。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

16周目
ラッセル:ローソンを抜くのに、僕の方がタイヤアドバンテージがある。
ダドリー:OK、ジョージ。

 アントネッリに順位を譲らせろという主張だった。しかしラッセルはしばらく後ろを走り続け、18周目のアントネッリのピットインでようやく前が空いた。

 17周目、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がフランコ・コラピント(アルピーヌ)のイン側を刺そうとして、両者接触した。

アルボン:ブレーキングで(コラピントが)動いた。
ジェームズ・アーウィン:(タイヤの)内圧は大丈夫だ。

コラピント:冗談じゃない!
スチュアート・バーロウ:わかっている。無理な動きだった。

 コラピントはウォールまで弾き飛ばされたが、自力でレース復帰した。

バーロウ(→コラピント):ダメージはなさそうだ。

 この事故はアルボンに非があるとして、10秒のタイムペナルティが科された。

 上位勢は18周目のアントネッリを皮切りに、ミディアムタイヤでスタートしたドライバーたちがピットに続々と向かい始めた。

21周目
ダドリー(→ラッセル):ローソン、ルクレール、ミディアム勢がハードに換え始めたぞ。

 20周目にハードに換えたリアム・ローソン(レーシングブルズ)は、サインツを凌ぐペースを出し始めていた。ミディアムを引っ張るサインツが、アンダーカットの不安を訴えた。

イエゴ:ローソンがピットインした。
サインツ:ペースが落ちている。カバーしないと。
イエゴ:ピットウインドウが、まだ23秒だ。もっと広げないと。

 担当エンジニアのイエゴは、ローソンよりラッセルに2番手を奪われることを恐れているようだった。

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F1第17戦無線レビュー(2)に続く



(Text : Kunio Shibata)

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