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F1 Topic:3輪走行での優勝は選手権史上初。ルイス・ハミルトンが“伝説の走り”に並ぶ

2020年8月6日

 第4戦イギリスGPのレース後に開かれた記者会見で、司会者はこんな言葉でルイス・ハミルトン(メルセデス)の劇的な優勝を称えた。


「ルイス、おめでとうございます。なんという週末でしょう! シルバーストンであなたの勝利は何度も見てきましたが、3輪でチェッカーフラッグを受けたレースは見たことがありません」


 この司会者が指摘したように、シルバーストンで行われたF1イギリスGPで、3輪走行したマシンがトップチェッカーを受けたことは70年という長いF1の歴史でも今回が初めてのことだった。


 ハミルトン自身も、3輪でチェッカーフラッグを受けたのは「フォーミュラ・ルノー時代にクロフトで行われたレース以来かな。ただ、あのときは左リヤサスペンションがトラブルを抱えての3輪走行だったけど、今回のようにフロントを1輪失っての優勝は初めてだと思う」と、約20年ぶりの3輪ゴールに信じられないという表情だった。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2020年F1第4戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 ただし、F1やイギリスGP、トップチェッカーという条件にとらわなければ、3輪走行自体はこれまでまったくなかったわけではない。


 直近のF1で、3輪走行でフィニッシュラインを通過したのは、1987年のドイツGPでステファン・ヨハンソン(マクラーレン)が右フロントタイヤをバースト(破裂)させて、3輪走行でチェッカーフラッグを受けた。ただし、ヨハンソンはトップから1分39秒遅れの2位。優勝したのはネルソン・ピケ(ウイリアムズ)だった。


 それ以前に、F1での3輪走行で多くの人々の記憶に残っているのが、ジル・ビルヌーブ(フェラーリ)だろう。それは1979年のオランダGPだ。予選で6番手に終わったビルヌーブだったが、レースではスタート直後から好調な走りを披露。前を走るマシンを次々に抜き去り、ついにはトップを走るアラン・ジョーンズ(ウイリアムズ)に追いつく。


 そして、そのジョーンズも11周目にオーバーテイクし、トップに立つ。その後、ビルヌーブは46周目までトップを走行するものの、左リヤタイヤがパンク。スピンしてサンドトラップの餌食となる。


 だれもがビルヌーブはマシンを降りてリタイアすると思ったが、ビルヌーブはコクピットを降りない。なんとかコースに復帰したビルヌーブは3輪走行のまま、ピットへ向かったのである。つまり、ビルヌーブはピットインしてタイヤを交換し、再びレースを続行しようとしていた。


 少しでも早くピットインしてレースに復帰したかったビルヌーブは、3輪走行にも関わらずアクセルを緩めることなく、全力でピットを目指した。しかし、右回りのザンドフールト・サーキットで左リアタイヤを失った3輪のビルヌーブのマシンは、右コーナーで左リアが大きく沈み、ホイールの根元から折れてしまう。それでも、マシンを止めることなく、ピットを目指したビルヌーブは、なんとかピットインしたが、リアサスペンションのダメージがひどく、そのままリタイアとなった。


 だが、あきらめないその姿勢は多くのファンの胸を打ち、いまでは伝説の走りと称えられている。


 当時フェラーリを指揮していたエンツォ・フェラーリは、「まるでヌボラーリのようだった」とビルヌーブの果敢な姿勢を称賛した。ヌボラーリとは、1930年代に活躍したタツィオ・ヌヴォラーリのことで、1937年のチェコスロバキア(現在のチェコ)で行われたブルノ・グランプリでは左リヤタイヤがパンクするも、そのまま走行を続け、3輪状態で優勝した伝説のドライバーだ。


 つまり、世界最高峰のレースでの3輪優勝は、1937年のヌボラーリ以来、83年ぶりの偉業となる。ただし、F1が開始されたのは1950年で、このブルノGPはF1以前の話。したがって、ハミルトンの3輪優勝はシルバーストンに限ったことではなく、F1としても史上初の快挙だった。

2020年F1第4戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2020年F1第4戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

2020年F1第4戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)のパンクしたタイヤ
2020年F1第4戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)のパンクしたタイヤ

2020年F1第4戦イギリスGP 優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)、パンクしたタイヤをチェック
2020年F1第4戦イギリスGP 優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)、パンクしたタイヤをチェック



(Masahiro Owari)




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