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【津川哲夫の私的F1メカチェック】開幕6戦6勝のメルセデスW10を支える、極限の最新サスペンション開発

2019年6月3日

 オフのテストではフェラーリが好調だったが、今シーズン、いざ開幕してみると開幕6戦のすべてをメルセデスが制圧。今季から導入された新規則は本来、接近戦を可能にするはずだったが……結果はメルセデス独走に拍車をかけることになった。


 もちろん、ライバルであるフェラーリの不甲斐ない采配がメルセデス独走を許したのも事実だが(モナコの予選Q1のように)、それでもメルセデスW10のパフォーマンスは完成域に入っている。


 新規則施行に合わせて他チームは大幅な開発マシンを投入し、さまざまな新しいアプローチを見せるなか、メルセデスは保守的な連続開発・正常進化を選び、もちろん進化はしているが、見た目の変化は少ない。


 その保守的なメルセデスW10は一見、外観からは僅かな変化に見えるが、実は中身は大きく変わっていたことが判明した。それもサスペンションやモノコック等の大幅な変更ではなく、各部を徹底的にリファインしてきたのだ。


 この写真はフロントアップライト。アッパーアーム(1)のハイマウントもサスペンション形状やジオメトリーも目立つ変化はないが、驚くのは本体のベアリングキャリア(2)が極めて小さくなり、各部のマウント部がまるで網のように張り巡らされたトラス上にマウントされていることだ。

【津川哲夫の私的F1メカチェック】開幕6戦6勝のメルセデスW10を支える、極限のサスペンション王道開発
開幕戦からぶっちぎりのパフォーマンスを見せるメルセデスF1。軽量化という王道の開発が今年のパフォーマンスを支えている


 アップライトと一体のトラス(3)にはトラックロッド(4)、上方に向けてA型に組まれているのがハイマウントブラケット(5)、さらにこのブラケットにはプッシュロッド(6)のエクステンションマウントブラケット(7)がボルトオン(8)されている。


 ベアリングッキャリア(2)はおそらくアルミニウムのキャスティング(鋳造)、ハイマウントブラケットはおそらくリチウムで、キャスティングかマルチタスク・ツールステーション等での機械加工、あるいは3Dプリンターのラピッドプロトタイプか。ただ、メルセデスはあまり3Dプリンターなどの機械を使ってはいないので、疑問符がつく。


 そして、なぜこれほど細身のトラスを採用したのだろう? そのひとつには今季からスルーアクスル・エアロが禁止されたことで、アップライト周りの冷却効率が落ちるのを防ぐためにトラス化して冷却エアフローの動線を確保したのだと考えられる。


 もうひとつは軽量化の徹底だろう。昨年から軽量化は進められ、フロントサスペンションのシングルトーションバー化、ロールロックでのアンチロールバーの排除も軽量化につながっている。フロントの徹底軽量化は床下へのバラスト搭載量が増加し、回頭性やロールフォースの制御に効果的になっているはずだ。


 今シーズンのメルセデスW10は地味ながらも、こう言った開発の王道を踏んできた。ベーシックな開発をエクストリーム(極限)にまで引き上げた、まさに王者の開発志向と言えるだろう。



(Tetsuo Tsugawa)




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