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【津川哲夫の私的F1メカ鈴鹿特別編3】F1のピットストップ作業で重要なフロント、リヤ以外の隠れた3つめのジャッキ

2018年10月13日

 F1のピットストップの要は、もちろん、素早いタイヤ交換作業だ。4つのタイヤを交換するために用意されたインパクトレンチ(エアガン)にエアを送るガンツリーが各種の作業の管制塔を務めているわけだが、もうひとつ、重要な工具を忘れてはいけない。


 ピットストップの鍵を握る工具はエアガンとアクスル、ホイールナットが主役だが、ホイールを素早くきっちりと交換するには、当たり前だがタイヤが路面に接触していては交換できない。そう、ジャッキアップして車体ごと宙に浮かせなければタイヤは交換できないのだ。


 そのジャッキアップの動作を担うのは、ピットインと同時にマシンを前後から持ち上げるフロント、リヤのジャッキ。ジャッキとマシンが触れる場所は、フロントはウイングセンター部下面、そしてリヤはバンパーエンドのフックであったり、バンパーそのものであったり、チームごとに違っている。


 ピットストップと同時にノーズ前端は待ちかまえているジャッキの上部に止まり、止まると同時にリヤジャッキがジャッキマンによってリヤエンドに装着され、最速ピットストップでは前後同時にジャッキアップするタイミングが必須になる。前後どちらかが早くなっても遅くなっても、素早い作業に支障をきたしてしまうのだ。


 実際の作業では、マシンが止まり、フロントがジャッキアップすると同時にジャッキマンはピット側に逃げる。ジャッキのリーバーはスイブル(旋回型)になっていて、リーバーはジャッキマンと一緒にピット側に向き、ピット作業が終わるとジャッキマンはクイック・リリース・トリガーを引いてジャッキダウンフォースと同時に振り回すようにジャッキ本体をピット側に引き込む。


 前後のジャッキともクイック・リリースシステムが設けられているため、ジャッキマンがトリガーを引くと自動的にジャッキダウンするのだ。そして、前後のジャッキからのラインがガンツリーを通りスタートシグナルに繋がっていて、前後ジャッキがリリースされるとシグナルがグリーンに変わり、ゴーとなる。


 ここでもうひとつ、実は前後のジャッキだけではなく、もうひとつ隠れたジャッキがあるのをご存知だろうか。それは、サイド(センター)ジャッキというもの。アクシデント等でフロントジャッキが使えない時には、ピックアップ面が長いサイド(センター)ジャッキが真横からフロアに押し込まれ、横からマシンを持ち上げるのだ。

2018年F1日本グランプリ鈴鹿サーキット ピットストップのジャッキ
F1のピットストップでまず重要になるマシンを持ち上げるジャッキ。F1では3種類用意されている


 ノーズウイングが壊れて交換が必要な時には、横からサイドジャッキによってジャッキアップすることでノーズ交換やタイヤ交換が可能になる。これらの3種類のジャッキには、もちろんスペアジャッキが用意されていて、ジャッキそのものにトラブルが発生したときに備えている。


 タイヤ交換のピットストップ作業にはハード面でのすまじいハイテクと、運用面でのピットクルー(人間)と言うアナログな作業が、膨大な数の練習によって融合した1000分の1秒を争う、わずか3秒以内のプロフェッショナルたちのショーと言うわけだ。



(Tetsuo Tsugawa)




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