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後半戦に向けた課題、中団争いを制するためのキーパーソン/今宮純のトロロッソ・ホンダF1『前半戦白書』

2018年8月16日

 F1ジャーナリストの今宮純氏が2018年シーズン前半戦のトロロッソ・ホンダを分析。後半戦に向けて4つのポイントを取り上げていく。


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ピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレー


 100ポイントまであと2点。2018年トロロッソと組むホンダは、2015年の復帰からここまで72戦で98ポイントをスコア。1レースあたり“1.3ポイント以上”、つまり10位入賞ラインはキープしてきた。しかし、言い方を変えれば全20台のど真ん中、新生トロロッソ・ホンダ『善戦苦闘』の2018年シーズン前半戦を多角的に見直してみよう。


*白書その1:中間戦績からトロロッソ・ホンダの現状
 あらためて、これまでの12戦時点における中間戦績を一覧する。


2015年:マクラーレン・ホンダ 17点/9位
2016年:マクラーレン・ホンダ 42点/7位
2017年:マクラーレン・ホンダ 11点/9位
2018年:トロロッソ・ホンダ  28点/8位


 2年目のマクラーレンには及ばないものの初年度トロロッソ・ホンダは、15&17年の合計点と同点。これは大きな〇だ。このチームは過去にコスワース〜フェラーリ〜ルノーと13シーズンの間、使用エンジンが次々に変わった。直近のルノーPU(パワーユニット/エンジン)初年度(14年)は中間12戦までに19点/7位、今年ホンダPUを得たトロロッソ・ホンダは得点力で2014年当時の成績を上回っている。これも〇だ。


*白書その2:トロロッソ・ホンダのBリーグ成績
 1グランプリ=101点の争奪レース(入賞合計得点)、ここまで12戦で1位メルセデス345点、2位フェラーリ335点、3位レッドブル223点、上位3チームが合計903点。つまり1212満点の74%以上を占める。ランク4位のルノーは、二ケタの82点にすぎず、絶対的な格差がある。そのためトップ3チームが『チャンピオンズ・リーグ』なら、ミドル以下の7チームは『Bリーグ』、そんな表現が使われるようになった。では前半12戦のBリーグ優勝チームと、トロロッソ・ホンダのリーグ内順位を一比較覧する。

レースBリーグ優勝チームトロロッソのBリーグ内順位
第1戦オーストラリアGPマクラーレン6位
第2戦バーレーンGPトロロッソ1位
第3戦中国GPルノー7位
第4戦アゼルバイジャンGPフォース・インディア5位
第5戦スペインGPハース7位
第6戦モナコGPフォース・インディア2位
第7戦カナダGPルノー4位
第8戦フランスGPハース6位
第9戦オーストリアGPハース5位
第10戦イギリスGPルノー6位
第11戦ドイツGPルノー5位
第12戦ハンガリーGPトロロッソ1位

 Bリーグ優勝回数は1位ルノー4回、2位ハース3回、3位トロロッソ・ホンダとフォース・インディアが2回、5位マクラーレン1回だ。トロロッソ・ホンダにとって第2戦バーレーンGPの4位入賞と第12戦ハンガリーGPの6位入賞が、彼らにとっての“優勝”にあたるが、逆に最下位を争うようなレースもかなりある。


 それは、開幕戦オーストラリアGP、第3戦中国GP、第5戦スペインGP,第8戦フランスGP、第10戦イギリスGPである。コース特性(マッチング)やセッティング最適化の問題点、トラブルやアクシデントなど負の要因も重なり、思わぬ大苦戦を強いられた。


 勝因と敗因、それぞれしっかり解析することが一進一退のレースパターンを改め、平均得点力アップにつながる。Bリーグ7チームのなかではワークスとして組織強化中のルノーが秀でており、財政難を抱えながらもフォース・インディアは手堅い。トロロッソ・ホンダはこの領域で彼らにやや劣っている状態で、後半戦から2019年シーズンに向けて課題の一つとなる。

■ピエール・ガスリーだけではなく、ブレンドン・ハートレーの奮起にも期待

*白書その3:懸念されるジェームス・キー移籍問題
 7月末に突如明らかになった、トロロッソ・ホンダのテクニカルディレクターであるジェームス・キーのマクラーレン移籍問題がどう推移していくか。政治的な契約うんぬんよりも、彼が抜けた穴を補填するシステム・リビルド・ワークに集中すべきだろう。


 またサマーブレイク期間に入りホンダの動向に関する情報は乏しいが、最新スペックのパワーユニット開発スピードと投入タイミングも気になってくる。一時は「第18戦アメリカGPか」という説が流れ、その前に第17戦日本GPを焦点に前倒し、という動きも考えられる。この案件にはレッドブル・グループの思惑もからみ、2019年の2チーム新体制移行にプラスとなる思い切った判断があるかもしれない。


*白書その4:ブレンドン・ハートレーの奮起に期待

ピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレー


 前半12戦で“DNF”が多かったチームは以下の通り。
1〜2位:トロロッソ・ホンダ、レッドブル 8回
3位:マクラーレン 7回
4位:ウイリアムズ 6回
5位:ハース&ザウバー 5回


 ドライバーに関しては、以下に記すようにどちらもレッドブル・グループ勢が“1-2”になってしまった。
1位:ブレンドン・ハートレー 5回
2位:ダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペン、フェルナンド・アロンソ、ロマン・グロージャン 全員4回


 ピエール・ガスリーとハートレーの予選/決勝成績には大きな差が見られ、ランキングも13位(26点) 対 19位(2点)。チームメイトとのギャップが広がり、ハートレー去就の噂が前半戦途中から広まっていった。


 すべてのフリー走行から予選セッションまでを一覧すると、ガスリーが37回先行しているのに対してハートレーは11回、クラッシュやスピンも目立った。さらに細かくチェックすると、ハートレーが初日フリー走行1回目でタイムを先行したのは3回(開幕戦、モナコGP、ドイツGP)。周回数をガスリーより多くこなし、徐々にタイムを上げていた。WEC耐久育ちだからとは言いきれないものの、ぐいぐいタイム・レベルを上げていくガスリーとの違いが、このあたりに潜んでいるのかも……。


 走り出しの差を取り戻そうとする彼にはメンタル面での焦り、迷いなどがうかがえ、流れにのれないまま予選〜決勝が苦しい状況になっていた。後半戦の彼自身の課題は、FP1でチームメイトに離されないよう“起動性”を早め、そこから流れをつかんでいくこと。トロロッソ・ホンダの後半戦キーパーソンはハートレーだ。ガスリーとフォーメーションを組み、さらなる激化が予想される“Bリーグ”に切り込んでいって欲しい。



(Jun Imamiya)




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