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【トロロッソ・ホンダ/ガスリー密着コラム】ホンダUK初訪問で見せた、異常なまでのどん欲さ

2018年7月16日

 2018年、ホンダF1はトロロッソと組んで新しいスタートを切った。新プロジェクトの成功のカギを握る期待の新人ピエール・ガスリーのグランプリウイークエンドに密着し、ガスリーとトロロッソ・ホンダの戦いの舞台裏を伝える。


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 6月下旬のフランスGPから始まった怒濤の3連戦。残念ながらピエール・ガスリーは、1ポイントも獲ることなく3レースを終えた。最後のイギリスGPは10位でチェッカーを受けたが、チェッカー2周前にセルジオ・ペレスを抜いた際の接触事故の責任を問われ、5秒ペナルティ。13位への降格で、入賞はならなかった。


 これでガスリーは第6戦モナコGPで7位入賞して以来、ここまで4戦ノーポイントのレースが続いている。さらにここ数戦深刻なのは、予選でのパフォーマンスも低下していることだ。Q3に進んだのは、やはりモナコGPが最後。しかも第7戦カナダGP以降は、Q2進出もやっとという状況だ。


 となるとガスリーのトロロッソ・ホンダへのコメントも、厳しくならざるをえない。中でも彼が問題視しているのが、「ホンダの遅さ」である。今回のイギリスGPでも、こんなことを言っていた。


「ザウバーやフォース・インディアは、エンジンパワーに優れる分、ダウンフォースを付けられる。僕らはそれができない。その違いは、大きいよ」。


 中でもガスリーは、去年まで最下位常連だったザウバーが、今季はしばしばQ3に進み、ポイントも獲り続けていることに焦りを隠さない。


「車体は、まだ僕らの方がいいと思う。でもパワーユニットの差は、かなり大きい。(エキストラパワーを発揮する)パーティモードが、今は喉から手が出るほどほしい。予選でも、レースでもね」。


 そんな思いを抱きつつ、ガスリーはイギリスGP直前の水曜日、チームメイトのブレンドン・ハートレーとともに、ミルトンキーンズにあるホンダF1のヨーロッパ前線基地を訪れた。二人はファクトリーに着くとすぐに、全従業員が待つ社員食堂に向かった。ホンダUKのスタッフと親睦を深め、ドライバーと間近に接することで、彼らのモチベーションをいっそう高めることが目的だった。


 ガスリー自身、レッドブルのリザーブドライバー時代はミルトンキーンズに住み、すぐ近くのレッドブルのファクトリーでシミュレーターを操る日々を送っていた。その頃の想い出話や、今季これまでの戦いなどを、聴き手をそらさない軽妙な口調で話すガスリー。彼がマイクを握っている時には、食堂内は何度も笑いで湧いた。一方のハートレーは、どちらかというと理詰めの語り口だった。パワーユニットの実際の使い方についてのエンジニアからの質問に、真摯に答え続ける。両者の個性の違いが鮮やかに表れて、聴いていて実に興味深かった。


 スタッフとの交流会のあと、二人はファクトリー内の施設を順に見て回った。ここでも二人の個性の違いを感じさせる出来事があった。案内する田辺豊治テクニカルディレクターを、ガスリーが独占して離さないのである。テストベンチやミーティングルームなどで終始横にいて、質問攻めだった。それは視察が終わって、建物を出てからも続いた。一方のハートレーは、手持ちぶさたに一人で歩いていることが多かった。

離れて歩いていたハートレーが合流したのは、最後の記念撮影になってからだった

 ガスリーが具体的にどんな質問を発しているのか、言葉は聞こえなかったけれども、とにかくずっと田辺エンジニアの横に寄り添っていたのである。何かを知りたいという欲求もあったことだろうが、同時にライバルでもあるチームメイトに、田辺エンジニアと話させたくないという欲求も感じたといったら、うがち過ぎだろうか。しかし僕といっしょに取材していた本サイトでもおなじみの尾張くんも、ガスリーのその密着ぶりを「まるでセナみたいですね」と言っていた。     


 ガスリーがはたしてアイルトン・セナのようなドライバーに、成長するかどうかは今はまだわからない。しかしあのはた目には異常なほどのどん欲さが、レーシングドライバーに必須の能力であることは間違いないだろう。      



(取材・文 柴田久仁夫)




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