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フェラーリ失速の遠因となった初日のPUトラブル【今宮純のF1スペイン決勝分析】

2018年5月15日

 2018年F1第5戦スペインGP決勝はルイス・ハミルトンが優勝、バルテリ・ボッタスが2位となりメルセデスが制圧した。フェラーリのセバスチャン・ベッテルはタイヤがもたず2ストップ戦略で表彰台から脱落することに。F1ジャーナリストの今宮純氏がスペインGPを振り返り、その深層に迫る──。 


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 全開率が驚異的に高まり大幅にタイムアップした第5戦『新スペインGP』を見たような気がする。今季最も激しいアクシデントで始まったが、ぐいぐいリードを広げてポールトゥウィンのルイス・ハミルトン。

2018年F1第5戦スペインGPはメルセデスが1−2を達成

 通算41回目はミハエル・シューマッハー超えの新記録、そして30戦連続入賞によって2位セバスチャン・ベッテルを18点リード、『メルセデスの逆襲』を見せつけた。


 このバルセロナでは14年シーズンからPPを奪取してきたメルセデスだが、ライバルに対するタイムアドバンテージは、1.053秒(14年)→0.777秒(15年)→0.680秒(16年)→0.051秒差(17年)と年々目減っている。


 その危機感に加えスペインGP前まで、フェラーリに3戦連続PPを奪われてきた。危機感が高まり、W09にはフロントウイングやフロアなどアップデートが盛り込まれた。


 FP1セッション開始早々から、新しくなった薄いトレッドのピレリタイヤをチェック。ふたりがセッティング方向を分け、同じソフトでそのデータを収集しながら1-2に立つ。


 最速バルテリ・ボッタス1分18秒148は昨年PPハミルトンより1.001秒速く、アップデート効果を確認。ちなみにハミルトンより10周多い32周、トップ3チーム勢の最多周回数だ。


 強まる風と40度以上に上昇した路面温度の影響でFP2トップのハミルトンは1分18秒259。FP1より伸びなかったものの感触は良さそうだ。


 一方ボッタスはまた異なるセッティングをトライ、それがまとまらないとすぐにFP1仕様に戻した。こうした動きから、今回メルセデスはいつも以上にさまざまなアプローチを2台で分けて探り、豊富な収集データを現場とファクトリーで解析していたと読みとれる。


 ところがフェラーリはFP2のキミ・ライコネンにPUトラブルが発生。ICE、ターボ、MGU-H交換となり、ロングランができない。


 2台を有効活用する意味においてフェラーリは明らかにハンデを負った。セットアップもタイヤマッチングも“1台半”によるデータで進めざるを得ない。


 そしてこれが決勝レースでのベッテルのタイヤ早期変調にも繋がり、2ストップ戦略を実行するしかなくなったと思われる。


 あえて言うならこの金曜のPUトラブル、さらなる決勝でのPUパワーダウン(リタイア)、ライコネンにふりかかった不具合の連鎖は今後に向け気がかりな不安要素だ……。

2018年F1第5戦スペインGP キミ・ライコネン(フェラーリ)がリタイア


 今年、土曜FP3でフェラーリはすべてトップを握りしめ、ベッテルが直近3戦の予選PPにつなげてきた。そのパターンを遂にハミルトン&ボッタス1-2で崩し、メルセデスが今季初めてフロントロウを独占。まさに形勢逆転である。


 PPハミルトン1分16秒173は『ハイパー・ラップ』。セクター3にシケインが無かった最後の06年、PPフェルナンド・アロンソは1分14秒648で約1.5秒しか違わない。


 人気沸騰のMotoGP開催があり(要請によって)1月に全面新舗装され、バンプが無くなり、スムーズ路面に変わり、まったく似て非なる新コースになったカタロニアである。


 あのロマン・グロージャン事故に関して。スチュワードは『次戦3グリッド降格とペナルティ2点(現在5点)』を科した。いわば“高速渋滞中”の1〜2コーナーのど真ん中を、左から右へ横切ろうとしたその行為が罰せられた。



2018年F1第5戦スペインGP決勝 ロマン・グロージャンのスピンでニコ・ヒュルケンベルグとピエール・ガスリーの3人がリタイア

 ニコ・ヒュルケンベルグとピエール・ガスリーの2台しか、衝突しなかったのは奇跡に近い。アロンソが左アウト側に瞬間回避していなければ、数台以上の多重事故に陥りハロがあっても、どうなっていたことか。


 直前でケビン・マグヌッセンが乱れ、とっさに反応したグロージャンがスピン状態になったところまでは“レーシング・アクシデント”。


 しかし、直後のあのプレーは自分も被害を受けるリスクがあった。全員うまく避けてくれると彼は思ったのだろうか……。


 レースに戻ろう。風も弱まり、雨雲も近寄らず、路面温度30度前後のコンディションは先頭を行くハミルトンにとって快適空間そのもの。パルクフェルメでの左後輪タイヤ交換を認められ、25周目にソフトから予定通りミディアムへ。


 1ストップ・レースなど8年間ここではありえなかった。それくらい今年のスペインGPはなにもかもが目新しかった。最後に加えると、ダニエル・リカルドの最速ラップ1分18秒441は昨年PPを超えて実に5.152秒も更新。凄まじい“超速化”を表す――。



(Jun Imamiya)




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