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【F1バーレーンGP無線レビュー】アロンソの悲痛な叫び「なんでも好きなようにやってくれ!」

2017年4月19日

 2017年F1第3戦バーレーンGP、フリー走行から度重なるトラブルで苦戦を強いられたマクラーレン・ホンダ。決勝はパワーユニットのトラブルによってストフェル・バンドーンは出走できずリタイアを喫し、ポイント圏内で戦っていたフェルナンド・アロンソは、パワーユニットの非力さにフラストレーションを募らせていた。 


――――――――――–


アロンソ(以下、ALO)「ストレートの立ち上がりが遅い。こんなにレスパワーでレースしたことは今までに一度もないよ!」


 24周目、バーレーンGPでアロンソの怒りは爆発寸前だった。
 もちろんマシンに搭載されているICEは開幕戦から使っているのと同じスペックで、土曜の夜に交換したばかりの新品だった。全開率で言えばメルボルンの方が5%以上は高く、ストレートの長さは上海の方が長い。


 しかし、ストレートが4本もあるバーレーンでは、決勝での非力さの影響は大きかった。


ALO「XXX! ストレートの立ち上がりで300mも後ろにいたのに(ターン1のブレーキングで)横に並ばれた!」


 38周目、アロンソがそう無線で叫んだのが放送されたが、状況から見てこれは数周前のロマン・グロージャンとのバトルのことだろう。相手は新品のソフト、一方のアロンソは20周以上走ったソフトタイヤという差もあった。


「今日の僕らがストレートで抱えていた不利は驚くべきものだった。ストレートの立ち上がりでミラーを見て、後ろのクルマが300mとか400m後方にいたから彼の存在は気にすることなくステアリングのボタン操作変更をしていたら、気付いたらブレーキング時には彼がすぐ隣にいたんだ。あれにはビックリしたよ。ストレート1本で300mもギャップを縮められてしまうんだよ? フラストレーションを感じるよ」


 予選Q1でアロンソはこんなやりとりもしていた。相次ぐMGU-Hトラブルに、エンジン出力に敏感になっていたことが分かる。


ALO「少しパワーが下がっていたように感じたんだけど、単に風向きのせい?」


 辛うじて予選Q1突破は果たしたが、今季初出場のザウバーのパスカル・ウェーレインにすら敵わず、マクラーレン・ホンダのパフォーマンス不足はいよいよ現実的な数字となって突き付けられつつあった。


MCL「Q1通過だ。1回目のアタックよりあらゆる場所で速かったけど、ターン4だけは違った。そこは分かっている?」
ALO「ターン4は少しコンサバティブだったかもしれないけど、ラップ自体は悪くなかったと思う」


 Q2ではMGU-Hのトラブルで走ることができず、15番グリッドからの決勝。担当レースエンジニアのマーク・テンプルはタイヤ戦略に活路を見出そうとタイヤ状況を逐次尋ねていた。


MCL「(マーカス・)エリクソンだけがプライムタイヤでスタートする」


 FIA F2がそうだったように、この週末のバーレーンはタイヤのデグラデーション予想が難しく、スーパーソフトのデグラデーションいかんによっては1ストップか2ストップかが大きく分かれるところだった。スタートして3周後にはもうタイヤ状況を聞く。


MCL「タイヤはどうだ?」
ALO「まだ分からない。多分OKだと思う」


 周りがピットインを始めた13周目には、マクラーレンもピットストップを視野に入れてプッシュの指示を出す。その矢先にランス・ストロールとカルロス・サインツJr.のクラッシュでセーフティカーが導入された。


MCL「100%のペースで走ってくれ。タイヤはどうだ? セーフティカーだ。(SCラップタイムの)デルタ表示に合わせて走ってくれ。BOX、BOX」


 セーフティカー走行中に、戦略について打合せをする。ソフトタイヤに換えたアロンソが狙うのは、1ストップ作戦だ。


MCL「さっきのタイヤを見ると摩耗は予想通り。後ろのPAL(ジョリオン・パーマー)、KVY(ダニール・クビアト)、WEH(ウェーレイン)は我々と同じプライムタイヤを履いている。セクター1はもうクリアだ、準備してくれ。ブレーキのウォームアップをしてくれ。セーフティカーがこの周に入る。メインストレートではまだタイヤは温まっていないから気をつけてくれ。できるだけ熱を入れてくれ」


 しかし前述の通り、ストレートの伸びを欠くアロンソのフラストレーションは溜まる一方だった。このままでは入賞の望みがないと判断したマクラーレンは、2ストップ作戦に変えて活路を見出そうとする。


MCL「プランBを考えているけど、どう思う?」
ALO「なんでも好きなようにやってくれ!」
MCL「OK、最大限のペースで走ってくれ」


 36周目にピットインし、新品のスーパーソフトに換えてプッシュする作戦。ソフトで45周ものロングスティントを保たせて1ストップで走り切ろうとしている前のウェーレインとの差を見る間に縮めていく。


MCL「このペースならWEHを捕まえられる。抜けばP11だ」
 しかし後方からはクビアトがエリクソンを抜いて迫ってくる。


MCL「後ろはKVYになった。2.9秒差だ」
MCL「後ろのKVYはVET(セバスチャン・ベッテル)のためのブルーフラッグを受けている。ターン4はイエローフラッグが出ている」


 前のウェーレインを追いながらも、懸命にクビアトをブロックして三つ巴の戦いを演じていたアロンソだったが、54周目の1コーナーでタイヤをロックさせてしまい、クビアトにポジションを奪われた。これで入賞の望みはなくなり、アロンソの糸も切れてしまったようだ。


ALO「エンジン! エンジントラブルだ! BOXする」


 そういってアロンソは一方的にピットに戻ってきたが、データ上は何の問題も見つからず、アロンソは「詳しいことは分からない。いつもよりパワーが低いと感じたから、エンジンをセーブするためにピットに戻ったんだ」と釈明したが、チームは「ドライバーが異常を感じたため予備的措置としてリタイアを決めた」とだけ公表した。


 それはまさに、最後まで何もかもが上手くいかなかったマクラーレン・ホンダのバーレーンGPを象徴するような幕切れだった。



(Mineoki Yoneya)




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