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【F1第6戦モナコGPの焦点】見る者の心を惹きつけた60周を超える接近戦。伝統のモナコに立ちはだかる“抜けない”現実

2019年5月29日

 セーフティカー後のリスタートは14周終了時点。そこからわずか5周ほど走ったところでハミルトンの疑問が膨らみ始める。「このタイヤで最後まで保つとは思えない」──第1スティントより2〜3秒も抑えたラップタイムで走りながら、ハミルトンはピットに不安を訴えた。ミディアムに交換して20周ほど走行した30周目の時点で、メルセデスの左フロントには帯のように黒い部分が目立ち始めた。その5周後には、「ハードに交換しなきゃいけないんじゃないの?」とたずねるハミルトンの無線が流れる。

 その度、ピットは不安を払拭しようと答えを探した。「ハードを履いたフェルスタッペンも左フロントにグレイニングが出ているから」「後ろのドライバーもオーバーテイクがどれだけ難しいか気づいているから大丈夫」「(ロマン)グロージャンはソフトで39周を走ってもいいペースだ」etc…

 残り30周の時点でハミルトンが「左フロントが終わった」と訴えると、チームはストレートに「ピットインするわけにはいかない」と答えていた。不安と不満を訴えるハミルトンの無線は叫び声に近くなり「後ろを抑え込むなんてできない。見ていてそれが分からないの!?」と悲痛になっていく。最後はチーフストラテジストのジェームス・バレスから「君ならできる。信じてるから!」と励ましの声──。“ハミルトン劇場”とでも言うべきやりとりが、ここで一段落した。

 本当はピットインするつもりなどなかった、「ゴールするかクラッシュするか、どっちかだと思って走っていた」と、レース後のハミルトンは言った。

XPB Images

「最終コーナーの立ち上がりでは少し引き離すことができた。ターン1はすごく遅かった。でもターン3(カジノ入り口の左コーナー)では右側のタイヤが作動していたし、ダウンフォースを得れば大丈夫だった。その後ターン4、5、6、7、8(カジノ出口からミラボー、ヘアピン、ポルチエ)にかけては、タイヤのグリップがまったくないのを感じた。ブレーキバランスを後ろに振ったり、エンジンブレーキを使ったり、ディファレンシャルを操作して、なんとかクルマを旋回させようとしていた。彼(フェルスタッペン)はヘアピンでインに飛び込んでくるだろうと、ずっと警戒していた。僕はマシンが旋回してくれるのを待つだけの状態だったから」

「マシンのポジショニングを工夫し、出口ではいい加速を得られるように努め……戦略という意味では、僕が今まで経験したなかでも最も“戦略的なドライビング”だった」

 チームはレース後、振り返って見ればミディアムという選択が間違いであったと認めた。ハミルトンも、エンジニアたちともっと話し合わなければいけないと言った。それでも“ニキ・ラウダに捧げるレース”で飾った勝利は、ドライバーとチームの信頼関係を際立たせるものだった──。

 どれだけ不満を口にしてもハミルトンには走り切る能力があるとチームは信じていたし、チームが稀な判断ミスを犯したとしてもカバーするのが自分の仕事だということがハミルトンには分かっていたから。見事なのは、左フロントを失い、リヤのトラクションに頼りながら、リヤタイヤを守り切ったことだ。

 モナコのオートモビルクラブは、1911年からモンテカルロラリーを主催していた。彼らが“モナコGP”という着想を得たのは“公国の領土内で完結する自動車レース”を望んだからで、それが公国の小さなコースで1929年以来開催されているモナコGPの起源だ。





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