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【アゼルバイジャンGPの焦点】メルセデス独走の戦犯のひとつは、“熱しにくく、冷めやすい”ピレリタイヤ

2019年4月30日

XPB Images

 日曜のレース序盤を見てから振り返ると、フェラーリがミディアムでのスタートを望んだ理由も理解できる。しかし、それは“優れた作戦でライバルを出し抜こう”という攻撃的な意志よりも、タイヤに悩んだ末の彼らの、精一杯の防御を示す選択だったのだ。

 フェラーリは低い路面温度に弱い。ここ数年で薄らいでいたこの傾向は、今シーズンのタイヤに薄いトレッドコンパウンドが採用されたことで再び強調されることになってしまった。

 トレッド面のコンパウンドは、ゴムが動くことによって発熱する──。ゴムが動いて過熱し、コンパウンドの中の気化しやすい成分が気泡に変るのがブリスター。ピレリはこのブリスターを抑えるために0.4mm薄いトレッドを採用したが、ゴムの動きが小さくなる、過熱しにくいという長所は、多くのサーキットとマシンにとって“作動温度に到達しない”ことを意味している。

 熱しにくく、冷めやすいタイヤなのだ。路面温度が少しでも下がると、あるいはセーフティカーが入ってペースを落とすと、タイヤは作動領域の下限を下回ってしまう。

 フェラーリの作戦の拙さや信頼性の問題などほかにも理由は山ほどあるだろうけれど、メルセデスの開幕4戦1-2フィニッシュの理由のひとつは今年のピレリタイヤにある。

 もともとタイヤのウォームアップより過熱に悩む彼らは、昨年から薄いトレッドの導入を訴えてきた。スペイン、フランスと薄いトレッドが採用されたグランプリで勝利したハミルトンは「なぜ、シーズン全戦で薄いトレッドが採用されないのか分からない」とプレッシャーをかけた。メルセデスにとっては然り。

 しかし路面温度が低い、タイヤの温度が上がりにくいコースでは、メルセデス以外の大半のチームが“そもそもタイヤが作動できる温度に到達しない”悩みを抱えてきたのだ。ブリスターは絵的にタイヤの問題を露呈するが、使う側にとっては“きれいなままでグリップしない”タイヤの悩みの方がずっと大きい。

XPB Images

 アゼルバイジャンを例に採るなら、ピエール・ガスリーがソフト1セットでQ1トップタイムを記録。マックス・フェルスタッペンはQ1で2セットのソフトを費やしたが、Q2は1セットでトップに躍り出た。路面温度が下がっても、レッドブルはタイヤのウォームアップ性に優れている。

 レースではミディアムを履いてピットレーンからスタートしたガスリーが第1スティントを好調に走り、その後半は同じミディアムスタートのルクレールをペースで上回った。しかしドライブシャフトのトラブルでガスリーのマシンが止まり、バーチャルセーフティカー(VSC)が発動されると、首位バルテリ・ボッタスを上回るペースで走ってベッテル攻略を目指していたフェルスタッペンがリズムを失った。

 短いVSCの間にも、タイヤは作動温度の下限を下回ってしまったのだ。走行を続けてトレッド面がさらに薄くなると、タイヤの温度を保つのはさらに至難の技なのだ。ウォームアップに優れたレッドブルでさえ──。

 希望どおりの薄いトレッドを手に入れたメルセデスは、冬のテストでも徹底的に“コンディションに対して広い汎用性を持ってタイヤを使えるマシン”を目指しただろう。これが、今シーズンのメルセデスが2台そろって一定の速さを維持している理由のひとつだ。

 フェラーリにとっては、好調だった冬のテストが災いした。「テストで仕上がらないまま開幕戦から改良を加えたこれまでに対して、今年はテストが好調だっただけにどこを改良していいのか分からない」とは、メルボルンの後のベッテルの言葉。うまく命中すればバーレーンのルクレールのような速さを発揮できるが、ベッテルはバーレーンでさえタイヤに苦しんだ。

 アゼルバイジャンに投入した改良は一定の効果をもたらした。でも、それよりも大きな課題は「タイヤを作動させること」にあるとベッテルは言い切った。

 開幕4戦では、本格的なアップデートの投入は難しい。中団グループのチームがあるグランプリでは突出し、他のグランプリでは沈み……と上下する原因もタイヤに拠るところが大きい。





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