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【レースの焦点】“同一周回のポジション争い”と“1ラップの間隔がある場合”を混同していたオコン/F1第20戦ブラジルGP

2018年11月14日

 レッドブルのマシンは前方からの乱気流に強く、同じタイヤで走り続ける限りメルセデスの方が先に力尽きる。予想通どおり18周目にボッタスがピットインすると、19周目にはハミルトンもミディアムに交換。トップに立ったフェルスタッペンは前が開けた分ペースを上げるが、ピットからは「落ち着いていこう」と無線が飛ぶ──。フレッシュタイヤを履いたハミルトンがベストラップを記録しても、レッドブルが“1ストップ分のギャップ”を目指してペースアップすることはなかった。

 パワー不足を車体の性能で補ってきたレッドブルには、トップスピードで負けていてもオーバーテイクする自信がある──。自力のストレート速度だけでなく、前のマシンに近づける能力をスリップストリームに変換し、DRSを得てさらに接近し、最後はブレーキング能力で相手を上回る。相手とは異なるスペックや履歴の若いタイヤを使うことで、持ち前のダウンフォースにメカニカルグリップの大きなアドバンテージが加わり、馬力で上回る相手を倒すことが可能になる。NAエンジン時代終盤の13年に圧倒的な9連勝を飾ったレッドブルは、ベッテルとともに“トラックポジション重視”だけではない、自分たちの作戦に磨きをかけた。

 フェルスタッペンが目指したのは、スーパーソフトの第1スティントをできるだけ長く走り、ソフトに交換した直後にトップに立ち、ゴールまで健全なタイヤで走ることだった。

 ピットインする前のハミルトンとの間隔は19秒。ピットアウトした時点でメルセデスが2.5秒前方にいたのは想定どおり。ミディアムですでに16周を走行していたハミルトンはフレッシュなソフトを履いたフェルスタッペンに抵抗する術もなく、39周目のホームストレートであっさりポジションを譲るしかなかった。

 同時に、39周目までステイアウトしていたリカルドがピットイン。首位に立ったフェルスタッペンは1秒ペースを落とし、残り32周を堅実に走ろうと努めた。

 首位グループと同一ラップのエステバン・オコンがソフトからスーパーソフトに交換したのは40周目のことだ。このピットインによってオコンは周回遅れとなり、2秒間隔で走行していたフェルスタッペンとハミルトンの間に入った。

XPB Images

 たしかに、フレッシュなスーパーソフトを履いたオコンのペースは1分12秒8と速く、1分13秒台前半でコントロールしていたフェルスタッペンを抜こうとした気持ちも理解できる──。周回遅れのマシンがリードラップを走るドライバーを抜いてはならないという規則はない。残り30周の勝負を最も軟らかいコンパウンドに懸け、10秒前方を行くカルロス・サインツJr.やトロロッソの2台を攻略しようと目指した作戦もまったく間違いではない。

 ただし──リードラップを行くドライバーと周回遅れのドライバーに通常の“接近戦”は認められない。もともと後方にいるオコンはブルーフラッグを受けなくても、フェルスタッペンを抜くならストレート上でリスクなく、クリアに前に出ることが必須だった。

 44周目のターン1入り口、アウトから仕掛けたオコンに対して、イン側のフェルスタッペンがブレーキング性能を活かしてノーズを前に出し“抜かせない意志”を示した時点で、オコンが挑む権利は消失していた。同一周回のバトルの“規範”は1ラップの差があれば適用されない──。ブルーフラッグがなくとも、周回が異なるドライバーのレースを阻んではならないというブルーフラッグの“精神”はそこにある。

 ターン2で迷いなくクリッピングポイントに向かったフェルスタッペンは、まさか14番手のオコンが右後方から“攻め続けている”とは思わなかったのだろう。2台は接触──。その後の顛末は多く報道されているとおりだ。「他の相手はスペースを残してくれた」と自らの正当性を主張するオコンの言葉は“同一周回のポジション争い”と“1ラップの間隔がある場合”を混同している。

 それでもハミルトンのようなタイトル経験者、ライコネンのように無為な接触を嫌う慎重派、リカルドのように相手を読む能力に長けたドライバーなら、おそらく、身を守るために右側にスペースを残しただろう。勝利がかかったフェルスタッペンは、失うものの大きさを考えると慎重にいくべきだったという意見もある。だからといって、フェルスタッペンの前に出たオコンが驚異的な速さで一気に間隔を広げない限り即座にブルーフラッグを受けることは確実で、マックスが自らの哲学を変えないかぎりオコンの行為は“理解できない”範疇であり、だから予想もできなかった。





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