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【小松礼雄のF1本音コラム】タイヤを保たせられず痛恨のノーポイント。マグヌッセンが最速タイム記録も「価値はない」

2018年9月28日

 現役日本人F1エンジニアとして、ハースF1でチーフを務める小松礼雄エンジニア。F1速報サイトで好評連載中のコラム、今回は第15戦シンガポールGPをふり返り。現在のF1で起きている真相と、現場エンジニアの本音を読者のみなさまにお届けします。

* * * * * * *

 シンガポールGPはハイパーソフトタイヤのグレイニングがひどく、長い周回数が保たないことは、早い段階から分かっていました。予選ではロマン(・グロージャン)がQ3に進出して7番手を獲得していましたが、逆にフリー走行で速いタイムを記録していながらも、Q2で敗退していたマクラーレンの(フェルナンド・)アロンソ(11番手)とルノーの(カルロス・)サインツJr.(12番手)がレースでは怖い存在になるということは明らかでした。

 というのは、ハイパーソフトを履いて7、8、9、10番グリッドからスタートするよりも、ウルトラソフトを履いて決勝をスタートできる11、12番グリッドの方がレースでは有利になるからです。仮にトップ3チームの速さがあれば、第1スティント中に後ろとの差を広げて、ピットストップ後に遅いクルマに引っかかることもありません。

 ハイパーソフトでスタートしたドライバーは、タイヤの摩耗的にどうしても15、16周でピットインせざるを得ないわけですが、その時点ではまだバックマーカーをクリアできるほどのタイムを築くことは中団のチームには不可能です(セルジオ・ペレスが良い例でした)。
 
 しかもシンガポールはモナコの次に抜けないサーキットですので、いったん遅いクルマに引っかかると、どんどんタイムをロスして、どうしても不利な展開となってしまいます。

 さらにロマンの状況を悪くしたのが、ウイリアムズの(セルゲイ・)シロトキンの存在でした。セーフティカー導入中の3周目にピットインしたシロトキンは、その後ゆっくりしたペースで走行を続けていました。できる限り周回数を伸ばそうという考えだったと思いますが、彼の後ろにつまったことでロマンのレースは事実上、終わってしまいましたね。でもハイパーソフトがまったく保たなかったので、どうしてもあのタイミングでピットインせざるを得なかったんです。

 同じハイパーソフトでスタートした(ピエール・)ガスリーや(ダニエル・)リカルドが26、27周目までハイパーソフトを保たせたのはすごいと思いますが、仮にロマンがその周回までピットストップを延ばせたとしても、ウイリアムズはクリアできてもザウバー勢の後ろでコースに戻ることになったと思います。彼らにつまっている間に、結局アロンソとサインツJr.に抜かれてしまうので、状況はあまり変わらなかったと考えています。

■グロージャンの青旗無視は10秒ペナルティでも仕方ない



 また、ロマンはシロトキンとのバトルによる青旗無視で5秒ペナルティを科されましたが、あれは当然の裁定だと思っています。レギュレーションでは、対象車が1.2秒以内の差に入って青旗が振られた場合、最初の機会で抜かせるようにと定められています。

 ロマンの場合、ターン22の手前で青旗が振られていたので、ターン1までとは言わなくても、ターン7のブレーキングでは絶対にレースリーダーの(ルイス)ハミルトンを抜かせるべきでした。しかし、シロトキンとのバトルで熱くなっていたロマンがハミルトンを先行させたのはターン14の手前でした。
 
 しかもハミルトンはロマンとシロトキンのバトルにつまった結果、2番手の(マックス)フェルスタッペンとの差をすべて失っていました。それだけに、ペナルティを科されたのは当たり前だと考えています。仮に5秒ではなく10秒のペナルティを科されても仕方がないくらいです。

 僕らがレース中にドライバーに伝えているのは、「あとX周でリーダーの青旗にかかるから、抜くチャンスはそれまで。だからX周以内に抜かないとダメ」ということです。
 
 逆に、バトルの最中に自分たちのドライバーが前にいる場合は、「あとX周で後ろのドライバーに対して青旗が出る。そうすれば少し余裕ができるから、それまで絶対我慢しろ」というように伝えます。

 今回のケースに関して言えば、エンジニアがロマンに青旗を伝えるタイミングが少し遅かったことに関しては、反省しなければいけません。実際にはターン3で彼に伝えているのですが、もしターン1よりも前に伝えていれば、メインストレートが1本目、ターン7でストレートが2本目という意識になるので、ターン7で抜かせないとダメだということはロマンにももっと明らかになったと思います。
 
 でも、ドライバーのステアリングに青旗の表示はずっと出ているわけですから、ロマン自身ももっとしっかりと対応するべきでした。

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