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サインツJr.のフェラーリ加入で、過去のリベンジに燃える母国のファンたち/スペイン人ライターのF1便り

2020年6月1日

 2021年からカルロス・サインツJr.がフェラーリに加入することが決まり、歓喜に沸くスペイン人ファンたち。誰もが認める速さをもつサインツJr.だが、果たしてシャルル・ルクレールと対等の立場で走ることができるのだろうか。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアが2021年のフェラーリについて語る。
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 スペインのスポーツ界のアイドルというと、いくつか際立つ名前が出てくる。パウ・ガソル(バスケットボール)、ラファ・ナダル(テニス)、マルク・マルケス(MotoGP)といった人々がとても有名だ。だがスペインの誰もが知っているレーシングドライバーということになると、フェルナンド・アロンソとカルロス・サインツ(シニア、ラリードライバー)が最も有名だろう。


 そういうわけで、カルロス・サインツJr.(F1ドライバー)が父親のようにラリードライバーになる代わりに、アロンソに触発されてサーキットドライバーになり、F1における彼のスペイン人後継者となっていることは、当然ながらもっともなことだ。やはりモータースポーツ界の5月のビッグニュースは、サインツJr.が2021年にフェラーリのドライバーとなり、ルクレールのチームメイトになるというものだろう。


 サインツJr.のF1を巡る経歴は、意外にもアロンソとかなり似ている。トロロッソから始まり、ルノーを経てマクラーレンに行き、最終的にフェラーリに行き着いたのだ。もちろん彼らの成功の度合いは違っている。アロンソはフェラーリのドライバーになった頃には世界タイトルを2度獲得していたが、サインツJr.はあまりない状況のなかで表彰台に1度立っただけだ。しかしそれでも面白い偶然がある。もちろんサインツJr.はフェラーリに入ることで、念願の世界チャンピオンのタイトルを獲得したいと望んでいるだろう。


 実際、サインツJr.とアロンソをともにフェラーリに結びつけるストーリーは非常に面白く、この状況で新たな意味を見いだせる。アロンソが2014年にフェラーリを去り、その空席にはセバスチャン・ベッテルが収まった。ベッテルはレッドブルから移ったばかりで、ミハエル・シューマッハーが過去にやり遂げたように、フェラーリで世界タイトルを取る夢を達成することを望んでいた。スペインの多くのファンにとって、これは非常に屈辱的なことだった。つまるところベッテルは2010年と2012年にタイトルを取ってアロンソを否定したし、アロンソができなかったフェラーリでのタイトル獲得を、ドイツ人のベッテルがやろうとしていることに、多くのスペイン人たちは気に入らなかったのだ。


 結果としてスペインの多くのファン(そしてメディアまでもが!)がベッテルを嫌い、彼がフェラーリで世界チャンピオンになれないように願った。もちろん2020年シーズンがまだあるので、彼がタイトルを獲得する可能性はある。そうしたわけで、サインツJr.がフェラーリで4度のF1世界チャンピオンに取って代わるというニュースが出た時、多くのスペイン人ファンは大喜びした。同国人が競争力のあるマシンに乗ることが素晴らしいだけでなく、ある意味でこれはベッテルに対する“復讐”なのだ。スペイン人はスポーツに多大な情熱を持っているのだ!だが少し持ち過ぎかもしれない.……。


 サインツJr.が2021年にフェラーリに加入するにあたっては、多くの興味深い疑問が湧いてくる。なぜフェラーリはサインツJr.を選んだのか?サインツJr.が2020年を素晴らしいシーズンにするであろうことは疑いの余地はないが、もしフェラーリが世界タイトルを争えるドライバーを欲しているのなら、おそらく他にさらなる競争力を持つドライバーの選択肢があっただろう。ひょっとして、フェラーリはルクレールをサポートするセカンドドライバーを探しているのだろうか?


 私の意見では、答えはイエスだ。バルテリ・ボッタスやアレクサンダー・アルボンといったドライバーに見られるように、これは現在のF1における傾向だ。非常に競争力のあるドライバーが調子の良い日に勝てるのは間違いないが、セカンドドライバーはチームメイトの半歩後を行くのだ。ボッタスがハミルトンに匹敵するとか、アルボンがフェルスタッペンと肩を並べているとは、誰も言わないだろう。


 ライバルチームがエースドライバーのチャンスを最大限に高めている時に、ふたりのドライバーが互いにポイントを盗み合うような状況をフェラーリが求めていないのなら、それは理にかなっている。だがサインツJr.はこうしたすべてのことについてどう考えるだろう?奇妙な比較かもしれないが、サインツJr.について考えるとき、私はかつてフェラーリのF1ドライバーとして活躍したエディ・アーバインとルーベンス・バリチェロのことを思い出す。

2005年F1:ミハエル・シューマッハーとルーベンス・バリチェロ
2005年F1:ミハエル・シューマッハーとルーベンス・バリチェロ


 ふたりともミハエル・シューマッハーのチームメイトだったことがあり、印象強い優勝を飾っていた。しかし結局のところ彼らにはシューマッハーほどの速さがなく、フェラーリのセカンドドライバーとなったのだ。しかしながらバリチェロは、彼の契約書には最初からセカンドドライバーになることを強いるようなことは書かれていなかったと常に語っていた。もしバリチェロがシューマッハーより速かったら、彼は自由に勝利を争うことができただろう。


 私にとって、これはフェラーリにおけるサインツJr.の状況の鍵となる要素だ。サインツJr.の契約書は、彼をセカンドドライバーとして扱っていないことを私は確信している。結局のところ、もしサインツJr.がルクレールより速くなれたら、どうして彼を止めたいと思うだろうか?


 だが、サインツJr.の契約書には、ルクレールがタイトルを争っているときには、彼をサポートしなければならないと書いてあることを、私は100パーセント確信している。これがスクーデリア・フェラーリの過酷な現実だ。例を挙げてほしいだろうか?2008年、キミ・ライコネンは前年にタイトルを獲得して彼のマシンはナンバーワンとなった。しかしそれでもライコネンは、フェリペ・マッサがタイトルを争っているときにはサポート役に回らなければならなかった。そうするドライバーは多くないだろう!


 これがサインツJr.とアロンソの違いかもしれない。若いサインツJr.は頭脳明晰だ。サインツJr.はインタビューでも慎重で、丁寧に言葉を選び、誰とも良い関係を維持しようとしている。元世界チャンピオンのアロンソの物怖じしない性格は、フェラーリで落ち着く助けにはならなかった。この点で、サインツJr.はフェラーリで成功するかもしれない。だがひとつ明らかなことがある。もしサインツJr.が優勝したければ、彼はまず“ムッシュ”ルクレールを倒さなければならない。過去数十年で最も有望な若手ドライバーのひとりである彼をだ。


 そしてアロンソについてだが、スペインでの噂によると、彼はルノーから復帰するという。サインツJr.がフェラーリと契約してから、マスコミはこの件について報じるようになったが、今では国際的な噂となっている。私がこの噂を初めて耳にしたのは、2月のプレシーズンテスト中のことだった。


 ある人物が私に、もしアロンソが2021年にF1に復帰するとしたら、それはルノーからしかあり得ないと言ったのだ。私は笑って、それは不可能だと言った。だが数カ月後、その噂は舞い戻ってきてかつてないほど真実味が増している。そして私は、コロナウイルスの件があってもなお、我々はF1を楽しむことができることに気づいた。結局、我々はアロンソとベッテルが2021年をどうするのかについては、まだ知らないのだ……。



(Alex Garcia)




レース

4/19(金) フリー走行 結果 / レポート
スプリント予選 結果 / レポート
4/20(土) スプリント 12:00〜13:00
予選 16:00〜
4/21(日) 決勝 16:00〜


ドライバーズランキング

※日本GP終了時点
1位マックス・フェルスタッペン77
2位セルジオ・ペレス64
3位シャルル・ルクレール59
4位カルロス・サインツ55
5位ランド・ノリス37
6位オスカー・ピアストリ32
7位ジョージ・ラッセル24
8位フェルナンド・アロンソ24
9位ルイス・ハミルトン10
10位ランス・ストロール9

チームランキング

※日本GP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング141
2位スクーデリア・フェラーリ120
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム69
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム34
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム33
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム7
7位マネーグラム・ハースF1チーム4
8位ウイリアムズ・レーシング0
9位ステークF1チーム・キック・ザウバー0
10位BWTアルピーヌF1チーム0

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