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ジョギングもままならなず、日常生活はほぼ停止。F1フランスGPの開催も微妙に/海外ジャーナリストF1特別コラム

2020年4月6日

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響を受けて、国内外を問わずモータースポーツではレースの延期、中止を余儀なくされている。F1も、未だ2020年シーズン開幕の目処は立っていない。


 今回のコラムでは、ヨーロッパ各国の新型コロナウイルスとモータースポーツ事情をご紹介。F1を全戦取材している若手ジャーナリストがフランスの事情を語った。


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 フランス人の日常生活は、ほぼ停止状態にある。エマニュエル・マクロン大統領が「今、我が国はウイルスという見えざる敵と戦争を戦っている」という声明を発してから、すでに2週間。外出規制はいっそう厳しさを増し、食料品や医薬品の購入や通院などを除けば、もはや犬の散歩やジョギングもままならない。


 私自身は首都圏がロックダウンされる直前に、フランス西部ブルターニュ半島にある妻の実家に身を寄せている。パリの狭いアパートで暮らす人々に比べれば、自然に囲まれて新鮮な空気が吸えるだけでも、私たちは恵まれているというべきだろう。


 外出するのは必需品の買い物など、最低限に控えている。その時には必ず、外科手術などに用いられるFFP2という医療用マスクを装着している。もしもの時にと、オーストラリアGPに行く前に購入しておいた備品だ。その時には、こんな事態になるとは想像もしていなかったが。

海外ジャーナリストF1特別コラム
外出時は『FFP2』という医療用マスクを装着するというビリオット氏


 そんな状況にモータースポーツ界が無縁でいられるはずもなく、例年4月に南仏ノガロ・サーキットで行われる国内選手権『クープ・ドゥ・パック』(復活祭杯)が4月11〜13日から7月10〜12日に延期になった。「開催費用に30万ユーロ(約3600万円)かけており、中止はあり得ない」と主催者は強気だが、7月に感染が収束している保証はない。


 その意味では6月26〜28日に予定されているF1フランスGPも、開催は微妙といわざるを得ない。今季前半の8戦が中止ないし延期となって、今のところ開幕戦は第9戦カナダGP、2週間後のフランスGPが第2戦ということになっている。しかし予定通り実施されるかどうか、マクラーレンのチーム代表から同グランプリ主催者に転身したエリック・ブーリエは『オートエブド』誌のインタビューにこう答えている。


「今はとにかく事態の推移を見守ることしかできない。我々が最重要視するのは、いうまでもなく観客や関係者の安全だからね」


そして、こう結んだ。


「今から3か月先のことなど、今や誰も予測できない」


 もしフランスGPも中止ということになれば、主催者は3000〜3500万ユーロ(約36〜42億円)もの入場料収入を失うことになる。


 フランスGPの舞台ポールリカール・サーキットから、東に車で4時間ほど。モナコ公国での伝統のレースは、すでに中止が決まっている。


「5月の開催に備えて、サーキット工事は始めていた」とモナコ自動車クラブのミシェル・ボエリ会長は語る。


「しかしコロナウイルスが爆発的に広がり、開催は断念せざるを得なかった。一方で市外地レースという性格上、延期の選択肢もなかった。モナコの狭い旧市街を、1年に二度も作り替えることはできないからね」


 モナコGPの2週間前に予定されていたヒストリックGPも中止が決まった。両レース合わせて、モナコは1億2000万ユーロ(約144億円)もの経済効果をふいにしてしまったのだった。


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Julien Billiotte ジュリアン・ビリオット
 パリ近郊生まれの31歳。ソルボンヌ大学で英文学修士号取得後、フォーミュラ・ルノーなど下位カテゴリーでの広報活動を経て、2017年に『オートエブド』誌の記者に。昨シーズンからF1全戦取材を開始する。キャリアは浅いものの、緻密な取材には定評がある。



(Julien Billiotte)




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