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発表前から中止の雰囲気ただよったパドック。現状では「オランダ、スペイン、モナコも難しい」との声/2020年F1オーストラリアGP現地情報

2020年3月13日

 FIAは3月13日(金)の現地10時7分、2020年のF1第1戦オーストラリアGP中止を正式に発表した。フリー走行1回目の開始まで2時間を切った、ギリギリのタイミングでの発表だった。


 とはいえ、13日朝のパドックにはすでに中止が決まっているような雰囲気が流れており、各チームのスタッフたちは所在なさげにホスピタリティで休んでいた。当然、走行に向けた準備をしているチームは皆無だった。

全員揃ってガレージへと向かうアルファタウリのスタッフたち
全員揃ってガレージへと向かうアルファタウリのスタッフたち


 正式発表の直前には、ホンダのスタッフも含めたスクーデリア・アルファタウリのメンバーが揃ってガレージへと向かった。フランツ・トスト代表が、ここで中止を伝えたようだ。

深刻な表情で中止の経緯を伝えるオーストラリアGPコーポレーションCEOアンドリュー・ウェスタコット
深刻な表情で中止の経緯を伝えるオーストラリアGPコーポレーションCEOアンドリュー・ウェスタコット


 前夜、メルボルン市内でマクラーレンを除く9チームの代表らが集まって行われたミーティングは深夜までおよんだ。大部分の出席者が中止もやむなしという意見に傾くなか、レッドブルとアルファタウリの代表だけは、予定どおりの開催を主張したという。


 しかし最終的に彼らも折れ、中止が決まった。それ以降の議論は“第2戦以降の開催をどうするか”に絞られたという。連戦となる第2戦バーレーンGPは、いくら主催者側が開催したがっていても、状況的に開催はほぼ不可能と見ていい。


 第3戦ベトナムGPは開幕戦が中止になる前から「オーストラリアGPのレースウイーク中に延期の発表がある」と言われていた。そして第4戦中国GPは、すでに予定されたスケジュールでの開催が取りやめになっている。


 アルファロメオ・レーシングORLENのフレッド・バスール代表によれば、前夜の話し合いでは「ヨーロッパの感染者数も激増しており、現状では(第5〜7戦の)オランダ、スペイン、モナコも開催は難しい」という認識が示されたという。


 実際F1のテレビ中継などを統括するFOM(フォーミュラワン・マネジメント)から各国のTV局に対しては、非公式に「開幕戦は(6月5〜7日開催の第8戦)アゼルバイジャンになる」という通知が送られたという。一方で某チーム関係者によれば、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「あくまで状況次第だが、(第6戦)スペイン、(第7戦)モナコまでには、なんとか開催にこぎつけたい」と語ったという。


 万が一、F1開幕が6月の第8戦アゼルバイジャンGPまでずれ込み、さらに中止になったグランプリがその後行われなかった場合、2020年シーズンはわずか14戦での開催になってしまう。これは放映権料を大きな収入の柱としている各チームにとって大打撃となる。


 さらにFOMと各国TV局が交わしている契約には「年間開催数は最低16戦」という条項が入っており、契約違反という問題にも発展しかねない。


 そこでチーム代表たちは、夏休みを返上し、この期間に最低でも2レースを開催するスケジュールを組みつつあるとのことだ。F1にしてみれば、多額の開催権料が見込める中国GPは、ぜひともそのひとつとして入れたいところだろう。


 さらに北半球が冬季を迎えてもレースを開催可能なバーレーンやオーストラリアは、12月以降に復活させたいところ。ただし11月27〜29日のアブダビGPとは最終戦開催の特別契約が結ばれていること、さらに車両規則が大きく変わる2021年に向けた新車開発との兼ね合いもあることから、代替レース開催の調整は決して簡単ではない。


 コロナウィルスがF1に与える影響は、今後さらに甚大なものになりそうだ。



(Kunio Shibata)




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