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【レースの焦点】ハンデを背負いながら果敢にレースを戦い抜いたガスリー、ほろ苦い経験を経て、成長を続けるトロロッソ・ホンダ

2018年10月10日

 誰よりも多忙なスケジュールをこなしながら、全力を注いだトロロッソ・ホンダの1週間。「イタリアよりずっと大きな声援」に後押しされながら、密度の高い仕事が続けられた。

 ファンの前では、思わず笑みがこぼれる。土曜の予選後、賑やかなトロロッソのホスピタリティにはいくつもの笑顔が溢れた。それでも──「お祝いはなしだよ」とピエール・ガスリーが言った。日曜のレースに向け、複雑なパズルを可能な限り埋めていく作業は予選の後も続いていた。100%仕上げるにはいくつかのピースが欠けていることも、分かっていた。

「この週末、みんなで笑い合うような瞬間はなかったです」と、田辺豊治テクニカルディレクター(TD)が振り返る。明るく楽しい人柄が多いトロロッソでも、息が詰まるような作業に集中していたのだ。

 ローラーコースターのような週末だった。ブレンドン・ハートレーが順調に走行を重ねていく一方で、ガスリーはFP2で燃料ポンプ、FP3でパワーユニットのキャリブレーションに問題を抱えた。ふたつのトラブルは関連するものではなかったが、FP2を15分しか走れなかったことが土曜の予選、そしてとりわけ日曜のレースに影響した。

「FP1ではマシンのフィーリングがすごく良かったし“いけるぞ”って感じた。でもFP2はみんながロングランを行っているタイミングになってコースインしたから、ショートランのアタックも叶わなかったし、ロングランももちろんできなかった」

 順調に走っていれば金曜のうちにキャリブレーションの問題も洗い出すことができたはずだし、対策を施したうえでFP3に臨むことができたと思う。しかしFP2で10周しか走れなかったことによって、土曜の朝に問題を持ちこしてしまった。そのためFP3も十分に走ることができず……。予選でも「ブレンドンと同じアグレッシブなモードを使うことができなかった」

XPB Images

 それでも、小雨交じりの難しいコンディションで行われた予選ではチームが的確な判断を下し、2台そろってQ3に進出。5位も狙えたと思うと悔しいけれど、チームとしてベストの6、7番手という予選結果でファンの声援に応えられたことを、ガスリーは素直に喜んだ。

「ガスリーはすごく冷静なドライバーだと思います。それに明るくて、笑顔がすごくいいよね」と、田辺TD。予選の勢いをレースでも維持するため、エンジニアたちの格闘は続いた。ガスリーのパワーユニットを理想のドライバビリティに近づけるため、方策を練り、チームはFIAとの交渉も続けた。

 ロシアGPの金曜日に投入した通称“スペック3”。鈴鹿でハートレーが順調なら、ソフト面で同じ“使い方”をガスリーのパワーユニットにも採用することで問題が解決するかというと、そうはいかないのが今日の複雑なシステム。ハートレーの場合はソチの予選後に7基目のターボチャージャーとMGU-H(熱エネルギー回生システム)に交換したため、鈴鹿で再度スペック3を使う際にもコンポーネントの組み合わせがまったく同じではないのだ。

「スペック3はスペック2と比べてもパフォーマンス面で大きく進化したと思う。その一方で、ドライバビリティ面ではスペック2の方が扱いやすかった。でも、これは“使い方”の問題。ホンダはスペック3を早い段階で実戦投入しているから、本当の力を引き出していくためにはまだ研究が必要なんだ。大きなポテンシャルがあることは事実だよ」とガスリーが説明する。