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【F1第3戦中国GPの焦点】フラストレーションの溜まるフェラーリの戦略。“スクーデリア最優先”のロジックを通すべき

2019年4月17日

 他になす術もなく、フェラーリは22周目までルクレールをステイアウトさせた。「レース終盤のことを考えてできるだけ引っ張ろう」というピットからの指示は、ルクレールにとって“1ストップ作戦”の確認だと響いたに違いない。しかしフェルスタッペンから11秒遅れの第2スティントを走り始めたルクレールは、レッドブルとの間隔を1周あたり0.5〜0.8秒詰めつつ「タイヤを労わって走っていていいの?」とチームにたずねる。フェラーリが「プランB」すなわち2ストップ作戦の可能性を伝えたのは、30周目のことだ。

 そんなフェラーリを振り払うように、フェルスタッペンは34周目に2回目のピットイン。35周目にはベッテルが倣い、36周目にはメルセデスが同一周回で2台のタイヤを交換。再び取り残されたようにステイアウトしたルクレールは、38〜39周目にかけて事実上2番手のボッタスの行く手を阻み、3番手ベッテルがわずかに追い上げる。

 それが、ベッテルにチャンスを与えようというフェラーリの作戦だったかもしれない。意味不明なのは、ボッタスに抜かれた後も3周の間ルクレールをコースに留めた点だ。日曜の路面温度は低く、第2スティントのハードには誰もが苦労していたというのに──。フェルスタッペンが17周でハードを捨ててミディアムに履き替えた後、トップ3台が迷うことなく続いた所以だ。

Ferrari

 ピットイン前の3周の間に、フェルスタッペンに対するルクレールのリードは17秒から12秒まで減ってしまった。5秒を失った結果、42周目に2回目のタイヤ交換を済ませた時には、レッドブルが14秒も先行していた。残り14周で取り戻せる差ではない。たとえ追いついたとしても14秒も挽回するのではタイヤはフレッシュな力を失い、8周分の優位性を終盤のオーバーテイクに活かすことはできない。

 ボッタスに抜かれた直後にピットインしていれば、17周かけて9秒差のフェルスタッペンを追うことができた。絶望的な14秒差でも、第3スティントの全ラップをレッドブルより速いペースで走ったフェラーリは、4番手まで3.6秒のところでチェッカーフラッグを受けたのだから──。

 チームの作戦についてたずねられたルクレールは「レースの全体像を見ているのはチームだから、その意図を聞くまで馬鹿げたコメントはしたくない」と返答を避けた。自分からポジションを要求したのか記者会見でたずねられたベッテルは「コメントの一部を取ってあちこちで好きなように書かれるのはごめんだ」と言い「会見の後、書かない約束でオフレコなら答えてもいいけど」と続けた。

 スクーデリアの曖昧な態度は、こんなにドライバーを悩ませている。ふたりの速いドライバーを揃えて恵まれた環境にあるというのに、チェスの駒を動かすようにレースを俯瞰してふたりを活かすことができないでいる。それどころか、不用意に指をひっかけて倒してしまうようなことをしている。

 必要な作戦であっても、彼らが思うチームオーダーをレース中に出したくないなら、スタート前にあらゆる局面を想定してドライバーとともに作戦を決定しておくことだ。たとえチームに批判が集中しても、上層部が嫌われ者になったとしても、感情を持ち込まず、勇気を持って明確な意思を示しスクーデリア最優先のロジックを通すべき。それができないなら──ドライバーには情報を伝えるだけにして、レースはふたりに任せてほしい。

 1000戦目は“ドライバーズ選手権”が創設されて以来のグランプリを数えたもの。コンストラクターズ選手権のレース数ではない。いつも以上に、フェラーリの中途半端さにフラストレーションを感じてしまう。

(Masako Imamiya)





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