サーキットだけではないモナコGPの特殊さ、その理由は?

5月30日

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 モナコGPは市街地サーキットで行なわれる数少ないグランプリのひとつですが、その特殊性はコースだけに留まりません。

 確かにモナコはコース全周がガードレールに囲まれた特殊な環境で行なわれますが、特殊なのはそれだけでなく、F1開催に必要とされるグレード1認証の条件のひとつである最小全長距離3.5 km を下回る3.340kmであることや、最小コース幅12m(スターティンググリッドは15m)を満たしていないことにも表われています。
 かつてはF1の規格に合わせて305kmを走行していたレース距離も、レース時間が2時間を越えドライバーの身体的負担が厳しすぎるという理由で260.52kmに留められています。

 ちなみに、モナコのコース設営に使用されているガードレールの総延長は21kmにもなり、事故が起きやすいターン1やタバココーナーなどには総計700mにも及ぶテックプロバリアが並べられています。滑りやすくバンピーと言われる路面も、今年の開催に先立って5分の3がサーキット舗装になりました。それでも安全性という点では他のグレード1認証サーキットには及ばず、特例としてグランプリ開催が認められているのが実態です。

 また、サポートレースの開催様式も通常のグランプリとは大きく異なります。F1が休日となる金曜日も午前中だけはサーキットがクローズされ、サポートレースが行なわれます。
 通常は土曜と日曜にレース1と2がそれぞれ行なわれるGP2は、モナコでは金曜と土曜にレースを行ない、土曜の夕方にはモナコから撤収します。その代わり、通常のグランプリでは絶対に併催されないワールド・シリーズ・バイ・ルノーのフォーミュラ・ルノー3.5が開催され、このレースだけは独自の掲示システムが使用され、放映権もFOMが管轄するグランプリの枠内には収まらず完全に独自管理となっています。

 これはどうしてかというと、モナコGPの主催者であるACM(モナコ自動車クラブ)が強大な権限を持っているからです。F1側としてもモナコGPは絶対に必要な存在であるため、FOMが大幅に譲歩してACMの要求をのんでいるかたちです。
 通常は全てFOMが管轄するコース上の看板広告も、モナコGPだけはACMの独自管轄部分があり、同じ高級腕時計メーカーであるロレックス(F1公式パートナー)とタグホイヤー(モナコGP公式パートナー)が共存するという不思議な光景が見られるのもそのためです。

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 表彰式も特殊で、通常はFOMが用意する表彰台が使用されますが、モナコだけは王室関係者の列席のもと、彼らよりも高い位置に立たないよう3人ともにロイヤルボックスの床と同じ高さでトロフィーを授与されます。そして優勝者・優勝チームを讃える国歌も生演奏で奏でられ、シャンパンファイトはロイヤルボックスの下で行なうことになっています。

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 今年はさらにグリッドガールではなくグリッドボーイが登場するという特殊さまで加わったモナコGPですが、その背景にはFOMですら譲歩を余儀なくされるほどの歴史とACMの強大な権限があるのです。