【】【ホンダ密着】PU交換は予防措置。テストを妨げたくないホンダの判断が奏功/第1回F1バルセロナテスト2日目
2月21日
テスト2日目の昼。レッドブル・ホンダのガレージ前にはすき間なく仕切りパネルが置かれ、中の様子がのぞけなくなっていた。今季から禁止された仕切りパネルの設置は、フロアを外すなどの大がかりな作業の時だけは例外的に認められている。この日の走行を担当したアレクサンダー・アルボンは、しばらく前にコクピットから降りたままだ。何かのトラブルが起きていることは、明らかだった、
ホンダ関係者の話では、「パワーユニット(PU)に不具合が出る可能性がある」ことがわかり、パワーユニットの全交換を決断したとのことだった。それでもアルボンは午後3時過ぎから走行を再開し、134周を周回。固めのC2タイヤで総合4番手のタイムを出して、2日目を終えた。
セッション終了後の囲み取材に応じた田辺豊治テクニカルディレクター(TD)は、その間の事情をこう説明してくれた。
「HRD Sakuraのテストベンチで怪しいものが見つかって、こちらのパワーユニットにも影響がありそうだということで、きちんと確認することにしました。ただ外してチェックしてから戻すと、時間がかかってしまう。それでユニットごと交換することにしました」
さらに「まあ、実戦に向けての練習にもなるでしょうから」と付け加えてから、「でもそういうのを練習しても、しょうがないんですけどね」と自分で突っ込みをしていた。そんな田辺TDの雰囲気を見ても、トラブルが深刻なものでないのは明らかだった。実際、外してからのチェックで問題ないことがわかり、3日目には再びマシンに搭載するとのことだ。
2019年まではグランプリの週末にトラブルが出た場合、日本にパワーユニットを戻して検査しないと、原因その他の究明はできなかった。それが今回は、現場ですぐに異常なしと確認できる類いのトラブルだったという。さらにいえば、走行データのモニター中に異常が認められたわけでもない。
どうやら今回のPU交換はあくまで予防的措置で、何らかのパーツに問題が出る可能性がさくら側で判明し、大事を取って交換を決めたということのようだ。ひょっとしたらそのままテストを続けていても、問題は出なかったかもしれない。しかし万一コース上で止まってしまったりしたら、あっという間に貴重な時間が過ぎてしまう。
PU側の問題で開幕前テストに支障が出ることだけは避けたいというのが、田辺TDを始めとするホンダ側の基本スタンスである。確かに初日ほどの周回数を稼ぐことはできなかったが、「テストメニューは消化できた」とレッドブル・ホンダのレース現場責任者ギヨーム・ロケランはコメントしている。ホンダは正しい判断をしたのであり、レッドブルがそれを正当に評価していることは確かであろう。
(Kunio Shibata)
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