2019年F1第8戦フランスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

【】ハミルトン「レースが退屈でもルール制定に関わらないドライバーを責めないで」とファンに理解を求める

6月26日

 メルセデスのルイス・ハミルトンは、F1で退屈な内容のレースが続く現状について、責めを負うべきはドライバーではないとしたうえで、長年にわたりルール制定者たちによる誤った判断が繰り返されてきたことにその根本的な原因があると語った。

 日曜日に行われたF1第8戦フランスGPの決勝は、覇気に欠ける退屈なレースだったとして、ファンからもメディアからも批判を浴びた。1コーナーをトップで通過したハミルトンは、その後二度と後ろを振り返ることなく、誰からの追撃も受けないままで優勝したからだ。

 周回だけが重ねられ、ファイナルラップにおける劇的な戦いも見られず、また全体としても競り合いがほとんどない、良く言ってもつまらないレースだった。グランドスタンドの観客は退屈であくびをし、テレビで観戦していた人たちはソファでいびきをかいていたことだろう。

 5度の世界チャンピオンであるハミルトンは、現在のF1が本質的にあまりにも退屈なものとなってしまっていることを認めたうえで、その単調さはドライバーが責められるべきものではなく、スポーツの経営構造を根本的に見直すことでしか変わらないと語った。

「ドライバーたちを責めないでほしい。規則を作るのは僕たちではないのだからね」とハミルトンは語った。

「資金の流れだとか、そうしたもろもろのことに、僕たちは一切関わっていない。F1のトップにいる人たちにもっとプレッシャーをかけるべきだ」

「これは、F1で長年にわたって、それこそ僕が加わるよりも前から絶えず続いている流れだ。バーニー(・エクレストン、元F1最高権威者)が作り上げた方法と、そこから現在に至るまで続く数々の意志決定が原因なんだ」

「そうした経営構造が変わらないかぎり、同じ状況が続くと僕は思う。そして、僕の仕事はそこを変えることではなく、ドライバーとしてベストを尽くすことだ」

■トップの会合にドライバーの意見が反映されることはないと嘆くルイス・ハミルトン

 そしてハミルトンは迷うことなく、チームとともに、再び非常に高いハードルを自らに設定した。だが、今シーズンの一連の流れにひと味添えようとして、若干のスタンドプレーに走っているのではないか、と問われたハミルトンは、その考えを退けた。

「僕は自分がスタンドプレーをするような人間ではないと思っているよ。でも今の世の中においては、どちらにしても批判されてしまうだろうね」

「僕が何をしても、人々は意見をぶつけてくる。だから僕は、それについてはひたすら静かにしていようと思う。自分の仕事を地道にやり続けていくだけだよ」

「前回(カナダGP)のレースは本当に楽しかった。ああいうレースは楽しいよ。僕はそれを隠すつもりはない。ああいうレースこそが、人々にとって最も楽しめるものなんだと思う。そしてもちろん、今日のようなレースは、すごく楽しめるとは言い難いね」

「でも、それがドライバーの責任ではないとみんなが理解することは、とても重要だと思っている」

 ハミルトンはF1の現状について、当然ドライバーは責任を免れるとしつつも、ニコ・ヒュルケンベルグとGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)会長のアレクサンダー・ブルツとともに先週パリを訪れて、2021年のF1規則変更を議論するFIAの会合に立ち会ってきたことに言及した。

「これで物事が大きく変わると確信しているかって?より良い方向に行くだろうとは信じているよ。会合に参加するために先週パリに行った時点での印象だ」

「僕も会合の場にいた。F1のボスたち全員、FIA、各チームが揃っているところで、少しでも関わろうとしたんだ。僕自身はそこにいたところで何の得にもならない」

「彼らは多くの決定を下していたけれど、あの部屋でドライバーの意見が採用されることは一度もなかった」

「もしもあれが、ファンにより良いレースを届けるために構造を変える重要な転換点になり得るのだとしたら、僕は喜んでその一員になろうと思う」


この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(autosport web)