【】3分で読むF1ココだけの話:鈴鹿が2029年までF1契約更新。大阪でのF1誘致の今後は?

2月8日

 2月2日、F1界は3つのニュースに沸いた。ひとつはフェラーリがルイス・ハミルトン(メルセデス)の加入を発表したこと。もうひとつはハースの2024年マシンのカラーリングがお披露目されたこと。そして、3つ目がホンダモビリティランドが現在鈴鹿サーキットで開催している日本GPの開催権を2029年まで延長したと発表したことだ。

 鈴鹿での日本GP継続発表のニュースに、日本のファンは喜びと共に、やや驚いた。というのも、1月下旬に大阪府や大阪市、地元経済界でつくる大阪観光局の溝畑宏理事長が、F1の誘致に向け、観光やモータースポーツに詳しい有識者が参加する組織を立ち上げ、具体的な検討を進めると明らかにしていたからだった。

 その会見から10日後に発表された鈴鹿サーキットでの2029年までの契約更新に、大阪が目指すF1誘致は絵空事だったのではないかと指摘するファンが少なくなかった。

 確かに1月下旬の大阪観光局の会見では、大阪でF1を開催する場合のサーキットが明らかにされなかっただけでなく、「国内外の企業数社が興味を示している」と言うだけにとどまり、数十億円とも言われる開催権料を支払うための資金をどのように工面するか明確な回答がなかった。

 もちろん、多くのファンが指摘するように、今回の大阪観光局の会見はF1側との交渉を十分に行う前に、やや場当たり的な対応だった可能性は否定できない。ただし、F1側とまったく話し合う前に勝手に行われたものだとは考えにくい。

 もし大阪がF1側と何らかの接触を行ったうえで、1月下旬に発表したのなら、F1側もその10日後に鈴鹿サーキットでのF1開催延長を発表するとは思えない。そうなると、考えられるのは、今回の大阪のF1誘致と鈴鹿での日本GP契約更新は、F1側にとって別々の案件ではないかということだ。

 そう考える理由は、アメリカでの複数開催だ。常設サーキットでのアメリカGP(テキサス州)のほかに半公道コースのマイアミGP(フロリダ州)と公道コースのラスベガスGP(ネバダ州)でもF1を行なっている。

 したがって、鈴鹿での日本GP開催の契約が延長されたからといって、大阪でのF1開催の可能性が完全に消滅したわけでもないかもしれない。

 大阪がF1開催誘致の会見を行う前日、F1は新たに設置したチーフコマーシャルオフィサー(CCO)に、イベント運営の専門家であるエミリー・プラゼールを抜擢したと発表。プラゼールはF1が主催者となって開催したラスベガスGPの立役者だった。

 F1がチケットセールスを行うことで大阪は高い開催権料を支払うことなく、グランプリを開催できる。会場の設営などの設備費はかかるが、観客の宿泊費や飲食・娯楽費などによる経済効果を考えれば、メリットのほうが大きい。

 もし、大阪がこのような方法でF1を誘致しようと考えているのなら、鈴鹿でのF1開催が2029年まで更新されても、F1との話し合いは今後も続くものと考えられる。



(Masahiro Owari)