2024.05.02

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:圧勝の裏でチーム全員がヒヤリとした瞬間


(c)XPB Images
 F1第5戦中国GPで通算58勝目をあげたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。圧倒的な走りを示したが実際のレース中に3回危ない場面があったという。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがレース週末を語る。
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 F1が上海インターナショナル・サーキットを訪れるのは、2019年以来のことだった。また、様々な議論がある新スプリントフォーマットも、ここで初めて実施された。だが、開催地がどこであろうと、どんなフォーマットが用いられようと、マックス・フェルスタッペンの群を抜くパフォーマンスに変わりはなかった。

 スプリント予選は、刻々と変化する風と空模様もあって慌ただしいものとなり、現世界選手権王者は4番手グリッドを確保するにとどまった。ポールポジションはランド・ノリス、これにルイス・ハミルトンとフェルナンド・アロンソが続いた。

 しかし、マックスは落ち着き払っていた。「すごくトリッキーなコンディションで、まるで氷の上を走っているような場面もあった。リヤタイヤの温度を上げることができなくてね。4番手は当然の結果だったとも言える」

 スプリントでも、彼はトラブルに見舞われた。「バッテリーからの出力が正常値より低かったんだ。でも、幸いなことに、ピットから助言を受けながらステアリングホイールのダイヤルで設定を変えて、修正することができた。4周か5周後には、すっかりいつもの状態に戻っていたよ」
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 「いつもの状態」が何を意味するかは、言うまでもない。フェルスタッペンは圧倒的な速さで自身のスプリント通算8勝目をマークした。2023年のオースティンとインテルラゴスから数えると3連勝、過去6回のスプリントでの5勝目だった。「最終的には、このクルマの本来のスピードを引き出すことができた。おかげでいろいろと学べたよ。グランプリの予選セッションに向けてもね」

 自信に満ちたフェルスタッペンは、予選では3つのセクターのすべてで最速タイムを記録し、通算37回目のポールポジションを獲得した。彼としては昨年から6戦連続であり、レッドブル・レーシングにとってF1での通算100回目のポールでもあった。また、シーズン開幕から第5戦まで、ずっと同じドライバーがポールポジションにつくのは、1999年のミカ・ハッキネン以来、実に25年ぶりのことだった。

 マックスはいかにも満足気だった。「こんなふうにクルマが元気になってくると、こっちも自信を持って速く走らせることができる」

 そして、彼は実際に速かった。何の苦もなくとさえ言えそうな完勝で、グランプリ通算58勝目をあげたのである。だが、レース後にフェルスタッペンは、こう明かしている。「勝ちを逃すかもしれないと思ったことがレース中に3回あった。まず、2回目のリスタートの直後に、ターン6でロックアップしてしまった。あれはよろしくなかったね。そして、ティアオフバイザーを捨てたときに、運悪くエアボックスの入口の近くに引っかかってしまうという出来事もあった。そいつが風に煽られて、僕のヘルメットにパタパタと当たっていたんだ!」

「さらには、300km/hを超える速度でデブリを踏んでしまった。あれには本当にヒヤリとさせられた。長いストレートが複数あるコースをダメージを負ったタイヤで走るなんて、勘弁してほしいからね。でも、それも結果的には大丈夫で、フィニッシュを迎えたときにはホッとしたよ」

 レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは言う。「マックスがデブリを踏んだ瞬間には、チームの誰もが固唾を呑んだ。だが、データの示すところでは、タイヤにダメージはなかった。その点では幸運だった」

「中国では私たちのパッケージに競争力があり、マックスもいつものように最高のパフォーマンスを見せてくれた。タイヤのマネージメントも巧みにやってのけたし、この調子なら、そろそろダブルタイトルの防衛について考え始めてもいいだろう」

(c)XPB Images
(c)XPB Images

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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